992.2 GTSに搭載されたT-Hybridパワートレーンを移植

先日、ポルシェは次世代718シリーズの内燃機関バージョンを開発中であることをお伝えしたが、開発コスト削減のため、パワートレーンはポルシェ992.2 GTSから流用される可能性があることがわかった。

ポルシェ 718ケイマン EV 新型 予想CG

ポルシェは最近、完全電気自動車化の開発を劇的に転換したりするなど、EV戦略の見直しに躍起になっているようだ。その最たる例は、つい最近までバッテリー電気自動車のみの搭載が予定されていた次世代718ケイマン/ボクスターに、内燃機関を復活させるという決定と、次世代フラッグシップSUV「K1」のBEV見送りという決定だ。

ポルシェ 718ケイマン EV 新型プロトタイプ スパイショット

この動きはICE純粋主義者を大いに喜ばせるニュースかと思われたが、718シリーズにおいては、ひとつ注意点がある。内燃機関のオプションは最上級グレードのみに設定されるということだ。

そして今、新たな情報によると、ミッドシップエンジンに固執するこれらのモデルに、911から流用したハイブリッド水平対向6気筒エンジンを流用する可能性が高いようなのだ。

これは開発コストを削減するための措置とみられ、次期718シリーズの内燃機関モデルは911と部品を共用する必要があり、欧州の厳しい排出ガス規制への適合も容易になる。

Autocar誌によると、最上級モデルである、次期ケイマンGT4 RSとボクスター スパイダーRSに搭載される可能性がもっとも高いのは、992.2 GTSに搭載されたT-Hybridパワートレーンのようだ。このシステムは、3.6L水平対向6気筒ツインターボエンジンと1基の電気モーターを組み合わせ、最高出力540ps/ 397kW、最大トルク609Nmを発揮する。

これは、現行型ケイマンGT4 RSに搭載されていた自然吸気4.0L水平対向6気筒エンジンが発揮する最高出力500ps/368kW、最大トルク450Nmと比べて大幅な向上となる。

T-Hybridユニットは、標準の911カレラに搭載される非電動水平対向6気筒エンジンに比べて全長が110mm(4.3インチ)短いというコンパクトなパッケージングであることも718シリーズには朗報かもしれない。

もちろん、リヤエンジンの911とは異なり、718ケイマン/ボクスターはミッドシップレイアウトを維持し、そのハンドリングバランスを継承する。唯一の難点は、ハイブリッドパワートレーンが現在8速PDKトランスミッションのみで提供されることだろう。

ハイブリッドバージョンは十分なパワーを発揮するが、直線では電気自動車の718モデルよりも遅くなると予想される。しかし、サーキット走行では、軽量化、シャープなシャシー、そしてより最適化された空力特性により、内燃機関搭載モデルが優位を取り戻す可能性が高いと予想されている。

スクープ班では、開発テスト中の次期718シリーズのプロトタイプを数多く捉えてきたが、それらはすべて電気自動車のパワートレーンを搭載していた。一刻も早くこのニュースが事実である証明となるスパイショットを撮影できることを願っている。

独立系CGIアーティストのアントワーヌ・ブリゴット氏が、内燃機関搭載の新型ケイマンGT4のレンダリング画像を作成し協力してくれた。そこには、大型化されたアグレッシブなリヤウィング、911を彷彿させるスリムなLEDテールライト、円形の極太デュアルエキゾーストパイプなどが確認できる。

718ボクスター/ケイマンEVは、2026年にデビュー予定で、内燃機関を搭載するGT4 RSとSpyder RSの後継となるハイブリッドモデルは、モデルサイクルの後半で導入されると思われる。

この段階的な導入からは、EVプラットフォームを水平対向6気筒ハイブリッドに適合させるにまだ時間を要するということかも知れない。