ショーカーと割り切ったことで実現したハイレベルなメイキング!

RB26&ビッグシングルタービンで走りの楽しさも引き出す

5年前に北海道札幌市で自身のカスタムショップ『クラウドナインオートサービス』を開業した目黒康太さん。現在34歳の若きビルダーが、開業間もないショップの名刺代わりとして完成させたのが、HCR32スカイラインのRB26スワップ仕様だ。

ショップはカスタム全般から一般整備までカバーし、国産車か輸入車かも問わないが、お店の看板にもなるデモカーのベースにHCR32を選択したのは、「自分と同年代のクルマで、いつか乗ってみたいと憧れていたから」とのこと。

「WekFestやスタンスネーションなど、本州のイベントにも参加して名前を知ってもらえるよう、ショーカーとして割り切って製作しました。パンデムのキットとエアサスありきでスタートして、RB26スワップも見た目を意識して作り込んであります」。

ワイド化したボディはミレニアムジェイドで塗装し、JDMコンセプトとワークのコラボホイールGT6-3P(12Jマイナス39)はアッシュドチタンというブロンズ系カラーを選択。タイヤはプロクセスR888Rで、サイズは295/30−18。BCNR33純正を流用したブレーキキャリパーはイエローで塗装し、全体的にR35のプレミアムエディションTスペックを意識したカラーコーデを取り入れている。

全長調整式ダンパーとエアバッグを組み合わせるプルームのエアサスは、物理ハイトセンサーも備わるエアリフトの3Hシステムで制御。ショーで映える極限のローダウンと走行に適した高さ瞬時に切り替えられる利便性を実現させた。

エンジンの載せ替え作業は、地元のドラッグシーンで活躍する帯広の『NRC』が担当。Z33純正を用いた電スロ化やワイヤータックなど、モダンなトレンドも取り入れたRB26DETTスワップを実現。エンジンのカバー類はミッドナイトパープルで塗装し、GT-Rのヘリテージ感も表現した。ポンカムと大径シングルタービンでピークパワーとレスポンスをバランスよく高めている。

タービンはアペックスAX75F82を搭載。エキマニにはWPC加工を施し、熱による割れ防止など耐久性を高めている。

HKSのクランク角コンバージョンキットを使用して、純正よりも高精度な点火時期の検出を実現。純正センサー位置に新たにカム角センサーを装着し、クランク軸に歯車型のクランク角センサーを装備する。

インテリアはレナウンのステアリングやニスモのシフトノブでドレスアップ。ブリッドのジータ4とロールケージ、ムーンテックのレーシングハーネスも備わる。

また、ガレージアクティブのリヤシートレスキットを使って、後席を撤去した後に剥き出しになりがちなフロアを美しくカバーしているのもポイントだ。

エンジンの制御にはLINKのG4Xを使用。高精度なセンサーとの組み合わせによりRB26のポテンシャルを引き出す。

もともと純正のサンルーフが備わり、フルチューンのRB26スワップ車両ながら、ストリートっぽい少し力の抜けた感覚も演出。

ショーカーと割り切ったため、現状ではエアコンレス&パワステレスだが、ステアリングは今後MR2のシステムを流用した電動油圧にコンバートする予定。最近は北海道も夏が暑くなってきたので、できればエアコンも機を見て付け直したいとのことだ。

「本州のイベントは審査に通って参加するだけでも楽しいですけど、いずれはアワードも狙っていきたいと思っています。北海道は一度海を渡らないとならないので、それだけでもハードルは高いんですが、目標は大きく持ちたいですね」。

次なるプロジェクトとコンセプトも温めている最中だと話す目黒さん。若い力で北海道のカスタムシーンを引っ張り、札幌にクラウド9ありと言われる存在になるべく飛躍を誓った。

Photo:Akio HIRANO  Text:Hideo KOBAYASHI

「スカイラインGTS-tを愛し続けて34年」HCR32新車ワンオーナー370馬力仕様の軌跡

R32スカイラインGTS-tは、RB20改2.3L+HKS GT2535タービンで372psを発揮。内外装は純正を極限までキープしつつ、BNR34シートやNISMOフルスケールメーターで走行性能も追求。34年間オーナーに愛され続ける一台は、ナンバー付きながら筑波でも現役バリバリの走りを楽しめるマシンに仕上がった。