Bowers & Wilkins Px8 S2 McLaren Edition

マクラーレンの美学を反映したスタイリング

英国のハイエンド・オーディオブランド「バウワース アンド ウィルキンズ」(B&W)が、フラグシップワイヤレスヘッドフォン「Px8 S2」をベースに、マクラーレンのDNAを色濃く反映した特別仕様「Px8 S2 McLaren Edition」を発売した。2015年から続く両社のパートナーシップ10周年を祝うコラボレーションモデルで、日本では限定1000台の希少モデルとなる。

エクステリアは、マクラーレンを象徴するパパイヤ・オレンジとアンスラサイト・グレーが特徴的だ。イヤーカップにマクラーレンのスピードマークを配して、アルミダイキャスト製アーム、ダイヤモンドカットのロゴプレート、ナッパレザー仕上げのヘッドバンドなど、見える部分、触れる部分にプラスチック素材を使用しないこだわりを見せる。マクラーレン車と同様に触感を重視した仕立てで、プロダクトの所有欲を一層かき立てるだろう。

2015年デビューの「540C」から始まったB&Wとマクラーレンによる車両オーディオの共同開発は、現在最新のハイパーカー「W1」に至るまで続いている。B&Wの技術力を象徴するコンティニュアム・コーンを採用したスピーカーがマクラーレン車にオプションながら選択できるのは、そのパートナーシップの深さを物語っている。

B&W最高峰のサウンド

東京・青山のBowers & Wilkins AOYAMAで行われた説明会に参加して、実際にPx8 S2 McLaren Editionを試聴してみたところ、ハイブリッド・アクティブノイズキャンセリングだけでなく、外音を遮断しつつ音楽のニュアンスを損なわない“静寂のチューニング”に圧倒された。普段、他社製ノイズキャンセリングイヤホンを使用しているが、当然ながらそれとは桁違いだった。その没入感はマクラーレンのようなスーパースポーツカーをワインディングで走らせることにも通じ、まるでステアリングから感じる微細なロードインフォメーションのように、音の一つひとつが豊かに息づいている、というと言い過ぎだろうか。

ベースモデルのPx8 S2の核心は多数あるが、その最たるものは左右に最適角度でマウントされた新開発40mmカーボンコーン・ドライバーだという。同ユニットは振動板、シャシー、ボイスコイル、サスペンション、磁気回路すべてを再設計し、定位・解像度・空間表現が大幅に進化しているそうで、さらに「aptX Adaptive(96kHz/24bit)」「aptX Losslessコーデック」「DSP+高精度DAC+アンプ」を組み合わせることで、フラッグシップらしい圧倒的な情報量と臨場感を再現したと謳う。カーボンという素材もまたマクラーレンをイメージさせるこの限定モデルは、その土台をベースに10年に及ぶコラボの集大成とも言えるだろう。

なおベースモデルは、今シーズン好調のF1チームのドライバーはもちろんスタッフにも供給されているそうで、転戦に継ぐ転戦で移動時間の多い関係者の心を音楽で癒しているという。現在ドライバーズランキングでトップを走るランド・ノリスも着用している(かもしれない)。ちなみにこの限定モデルは、ベースモデル比で約2万〜3万円高となるが、チームとの一体感が得られるという意味でも非常に魅力的なモデルだ。

PHOTO/GENROQ、McLaren Automotive、B&W

Specifications

バウワース アンド ウィルキンズ Px8 S2 マクラーレンエディション

ドライバー:40mmダイナミック型(カーボンコーン)
Bluetooth:aptX Lossless / aptX Adaptive / aptX HD / AAC / SBC
ノイズキャンセリング:ハイブリッドANC
バッテリー:30時間(急速充電15分で7時間使用可)
重量:310g
付属品:USB-Cケーブル、USB-C–3.5mmケーブル、キャリングケース
カラー:アンスラサイト・グレー×パパイヤ

発売日:2025年11月20日
日本限定販売数:1000台
想定実勢税込価格:15万7300円
取扱店舗:マクラーレン正規販売店、百貨店、B&W AOYAMA、家電量販店ほか

常に“より速く、より美しく”を追い求めるマクラーレン。そのエンブレムは、人と技術が共に挑戦を続ける姿勢を象徴している(写真はハイブリッドモデルの「アルトゥーラ」)。

「キウイからスピードマークへ」マクラーレンのエンブレムの進化【自動車エンブレム秘話21:マクラーレン】

マクラーレンは、ニュージーランド出身のレーシングドライバー、ブルース・マクラーレンが1963年に英国で創設したレーシングチームを起源とする。現在はマクラーレンレーシングとしてF1やインディカーなどのレース活動を行っている。ロードカーの製造は同じマクラーレングループのマクラーレンオートモーティブが行い、サーキットで培ったDNAを市販車へ転用する役割を担う。ここでは、その象徴ともいえるエンブレムの変遷を軸に、ブランドの歩みをたどってみたい。