今年のイヤーカーを選ぶ最終確認

試乗会に集められた2025-2026『日本カー・オブ・ザ・イヤー』の10ベストカー。

2025-2026『日本カー・オブ・ザ・イヤー』は35台のノミネートカーから一次選考により10台に絞られるのが10ベストカー。選考委員各者はすでに試乗会や個別の試乗機会ですでにノミネートカーに触れる機会は多数あるが、最終選考投票前に改めて10ベストカーを確認する機会が10ベスト試乗会として設定される。

第46回 2025-2026 日本カー・オブ・ザ・イヤー ノミネート車 | 日本カー・オブ・ザ・イヤー公式サイト

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2025-2026『日本カー・オブ・ザ・イヤー』のノミネートカー35台はこちら。

試乗自体はナンバー取得前のクルマもあることから、袖ヶ浦フォレストレースウェイのコースのみではあるものの、ノミネートカーの自動車メーカー/インポーター各社の関係者が多数集まっており、疑問をぶつけたり詳細な話を訊いてクルマへの理解を深める機会にもなっている。

試乗会に集まった選考委員と自動車メーカー/インポーターの皆さん。

2025-2026『日本カー・オブ・ザ・イヤー』の10ベストカー

35台から選ばれた10ベストカーは以下の通り。2025-2026の傾向としては、35台のノミネートカーのうち25台がインポートカーという輸入車偏重があったものの、10ベストカーに選ばれたインポートカーは4台。しかも、欧州メーカーにとどまらず、アジアメーカーも残るという結果だった。

アジアメーカーではヒョンデのインスターが10ベストに残った。写真はSUVテイストの「クロス」グレード。

また、10台中9台はハイブリッドやプラグインハイブリッドも含む電動車で、BEVが4台というEVの伸長を感じさせる結果となっていた。それだけに、唯一の純ガソリンエンジン車であり唯一の軽自動車であるダイハツ・ムーヴは健闘していると言えるだろう。

10ベストカーの中で唯一の純エンジン車であり、同時に唯一の軽自動車でもあるダイハツ・ムーヴ。

なお、10ベストカーは車種ごとのノミネートながら、会場に持ち込まれたのはグレードや仕様違いなど複数台用意されていた。

トヨタは10ベストカーノミネートのクラウンエステートのハイブリッド車とプラグインハイブリッド車を用意した。

■eビターラ(スズキ)

スズキ初のBEVとなるeビターラ。試乗車はFFと4WDが用意され、選考委員の中では4WDの評判が特に良かったようだ。

■フォレスター(スバル)

フルモデルチェンジでストロングハイブリッドを採用し、スバル車の懸念であって燃費性能を改善。スバル自信のAWDも含め、優れたコストパフォーマンスが評価された。試乗車はストロングハイブリッド、ターボの全グレードが用意された。

■ムーヴ(ダイハツ)

11年ぶりのフルモデルチェンジでDNGAボディとスライドドアの採用が話題となったダイハツ・ムーヴ。サーキット試乗でも軽自動車離れしたクオリティが賞賛されていた。もちろん、試乗車はターボの「RS」とNAの「X」が用意された。

■クラウンエステート(トヨタ)

クラウンに久々に追加されたステーションワゴンモデルだが、時代相応にSUV的なルックスが特徴的。トヨタ得意のハイブリッドに加え、プラグインハイブリッドも素晴らしい仕上がり。

■リーフ(日産)

フルモデルチェンジにより航続距離を700km台に高めた日産リーフ。ブースには技術説明パネルも設置し、その進化ポイントをアピールしていた。試乗車は18インチタイヤのB7「X」と19インチタイヤのB7「G」を用意。

■プレリュード(ホンダ)

元祖デートカーの名跡が復活したホンダ・プレリュードは発表から常に注目の的。この時代にあえて2ドアクーペを発売することへの期待度は高い。反面、その価格設定が成功に懐疑的になる見方もある。

■2シリーズ・グランクーペ(BMW)

BMW 2シリーズ・グランクーペは「220」「220d」「M235」を用意。

■インスター(ヒョンデ)

EVで日本市場に再参入しているヒョンデのコンパクトEVインスター。上級グレードの「ラウンジ」とSUVテイストの「クロス」を持ち込んでいた。写真はどちらも「ラウンジ」。

■3008(プジョー)

フルモデルチェンジされてより近未来的なスタイリッシュさを身につけたデザインと質感が高く評価されているプジョー3008。

■ID.Buzz(フォルクスワーゲン)

ワーゲンバス(VWタイプII)がEVで復活すると、発表から話題を呼んでいたID.Buzzがついに日本発売となった。試乗車は標準とロングを用意していたが、ロングがメイン的な扱いだったようだ。

選考委員に訊く10ベストカー

選考委員は総勢60名。雑誌やWebなど自動車メディアの推薦を受ける実績のあるモータージャーナリストたちだ。その中から、何名か今年の10ベストカーについて話をうかがった。
( )内は推薦メディア

■瀨在仁志(MotorFan.jp)
クラウンエステートの試乗では、その仕上がりを讃えつつも”この1台”的なクルマは明言しなかった瀬在氏。10ベストカーに選ばれたのはどれも珠玉のクルマだけに選出は悩ましい様子。ただ、投票先はすでに決めているようだ。

MotorFan.jp推薦の瀨在仁志氏。
瀨在 仁志 | Motor-Fan[モーターファン] 自動車関連記事を中心に配信するメディアプラットフォーム

子どものころからモータースポーツをこよなく愛し、学生時代にはカート、その後国内外のラリーやレースに多数参戦。スーパー耐久レースではふたつのクラスで優勝経験をもつ。30年近くのモータースポーツ参戦と並行してモータージャーナリストとして主にサーキット試乗やタイヤインプレッションなどの走り系テストを中心に活動する。 走る楽しさを伝えることを念頭においてMotorFan.jp、MotorFan illustrated誌などに寄稿。ユーザーに直接走る楽しさを伝えるためにサーキット走行会をこれまでに70回以上も開催した実績も持つ。ドライビングインストラクターとしても活動するほか、自動車専門大学校の特別講師として学生にもクルマの魅力を伝え続けている。 2023-2024年日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員

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■山田弘樹(MotorFan.jp)
山田氏の注目は話題性も含めてやはりホンダ・プレリュード。そして、MotorFan.jpの試乗記でも絶賛していたダイハツ・ムーヴを挙げた。他には、スバル・フォレスターはサイズ感やバランス、コストパフォーマンスに優れている点も魅力の1台とした。

MotorFan.jp推薦の山田弘樹氏。

ノミネート車の傾向として、アジア系インポートカーとEVの躍進、特にスズキ初のeビターラについては応援したい気持ちもあるそうだ。なお、ノミネート35台から10ベストカーに選ばれた中では山田氏のセレクトはかなり外れてしまったとのこと。

山田 弘樹 | Motor-Fan[モーターファン] 自動車関連記事を中心に配信するメディアプラットフォーム

自動車雑誌の編集部員を経てフリーランスに。編集部在籍時代に「VW GTi CUP」でレースを経験し、その後は各種ワンメイクレースやスーパー耐久に参戦。こうした経験を活かしながら、現在はモータージャーナリストとして活動中。愛車は86年式のスプリンタートレノと、95年式の911カレラ(Type993)。 2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。 A.J.A.J.(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。

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■島崎七生人(オートメッセウェブ)
35台中25台がインポートカーというノミネート車から、10ベストに選ばれたのは4台とインポートカーは非常に狭き門となった反面、残り10台の国産車はそのうちの6台が10ベストカー入りと、国産車の健闘を挙げた。とはいえ、それも国産ノミネート車の仕上がりの良さを考えれば妥当な結果であろうと語った。

コンセプトモデルの公開から常に注目され続けてきたプレリュードを始め、フルモデルチェンジされたリーフ、ムーヴ、フォレスターなど期待の新型が揃った。
島崎 七生人 | Motor-Fan[モーターファン] 自動車関連記事を中心に配信するメディアプラットフォーム

東京都生まれ。大学卒業後、編集制作会社を経てフリーランスに。試乗記であれば眉間にシワを寄せずに、インタビューなら日本一カジュアルに。気取らず、一般ユーザーに通じる言葉でレポートを書くことを心がけている。デザイン、オーディオ、写真、ペット関連なども守備範囲。趣味は子供の頃からのクルマ関係を中心としたカタログ収集、ミニチュアカー収集、音楽鑑賞、柴犬の飼育と散歩と撮影など。A.J.A.J.会員、2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

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■工藤貴宏(VAGUE)
今回の『日本カー・オブ・ザ・イヤー』の10ベストカーでは10台中4台がEVと、EVの躍進に注目する工藤氏。しかし、一方で日本の自動車市場におけるEVのシェアはわずか2%。クルマの良し悪しと市場が必ずしも直結するわけでは無いにしても、この乖離について危惧を示した。そんなEVも含め、2025-2026の10ベストカーはいずれも甲乙つけ難いと語る。

eビターラはスズキがいよいよ市場に投入する初のBEVだけに注目度は高い。
工藤 貴宏 | Motor-Fan[モーターファン] 自動車関連記事を中心に配信するメディアプラットフォーム

自動車ライターとして生計を立てて暮らしている、単なるクルマ好き。 大学在学中の自動車雑誌編集部アルバイトを経て、1998年に月刊新車誌「XaCAR」の編集部員となる。その後、編集プロダクションや電機メーカー勤務を経て、2005年からフリーランスの自動車ライターとして独立。使い勝手やバイヤーズガイドなども含め国内外の新車紹介を中心に雑誌やWEBに寄稿している。また、国内外のモーターショーなども積極的に取材。執筆記事においては「このクルマは誰を幸せにできるか?」を常に考え、車両とユーザーとの最適なマッチングについてのガイドを心がけている。 人生最初にクラッチをつないだクルマは、R30型スカイラインのTI。はじめて所有したクルマはS13型シルビアで、その後S15型シルビア、アコードワゴン、ポルシェ・ボクスター、ルノー・ルーテシアRS、マツダ・プレマシー、そしてマツダCX-5などを乗り継ぐ。そろそろ10気筒のクルマを買ってみたい今日この頃。久しぶりにオープンカーも欲しい。日本カー・オブ・ザ・イヤー2000-2021選考委員/日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。

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自動車メーカー関係者による相互試乗会

実は選考委員の市場終了後に、この日参加している自動車メーカー各社の関係者が自社以外の10ベストカーに乗ることができる相互試乗会が実施されているのはご存知だろうか?

プレリュードはメーカー関係者からも熱視線。「昔乗っていたので」や「スポーツカーが好き」と言った声が聞かれた。

無論、投票権があるわけではないので選考に影響するものではないが、自社開発車のベンチマークなどで研究する以外は他者のクルマに乗る機会が少ない自動車メーカー関係者には興味深い催しと言えるだろう。

試乗の前後には他メーカー同士で活発な意見交換も行なわれていた。

10ベストカーの中には発表され、試乗会などは開催されてはいてもまだ市場には出ていないクルマもあり、参加車は興味津々の様子だった。

試乗のコースイン待機列は、試乗時間が短いとはいえ選考委員の時より長くなるほどだった。
ヒョンデ・インスターの試乗順を待つ日産とトヨタのスタッフ。

最終選考会と結果発表は12月4日

すでに選考委員は2025-2026『日本カー・オブ・ザ・イヤー』各賞の投票を済ませており、その最終選考会と結果発表が12月4日(木)に行なわれる。その様子は公式YouTubeでライブ配信される予定だ。はたして、2025年の”今年の1台”はどのクルマになるのだろうか?

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