バッテリーが減ったらエンジンで充電

12月1日、都内で発表会が行われ、BYDが日本市場に放つ初のPHV「シーライオン6」が正式発表された。日本に本格参入して以来、「ドルフィン」や「アット3」などBEVのみを発売してきたが、新たにPHVを加えたことで商品ラインナップはさらなる広がりを見せることになる。
BYDがスーパーハイブリッドと呼ぶPHVのシステムは、BYDが独自開発したDM(デュアルモード)-iで、専用のブレードバッテリーをフロア下に搭載し、FWD仕様は最高出力145kW(197PS)/最大トルク300Nm(30.6kgm)の性能を誇る電気モーターに72kW(98PS)/122Nm(12.4kgm)を発揮する1.5リッター4気筒ガソリンエンジンを組み合わせる。
最大航続距離は1200kmを実現

通常はEV走行のみで、バッテリーの電力量が減ってきたらエンジンを始動して充電、さらにパワーが必要な時はモーターとエンジンの両方で駆動する。市街地では81%をEVで走行、18%でエンジンが始動し充電、モーターとエンジンの両方を使って走行するのはわずか1%だと謳う。一方、高速道路では4%がEV走行、29%がエンジンによる充電、そして67%がモーターとエンジンの両方による駆動になるとBYDは説明する。満充電でのEV走行可能距離は約100km(FWD)、ガソリン満タンの状態からだとFWD仕様でトータル約1200kmという長距離走行を可能としている。
「シーライオン6」の主役となるのはやはりバッテリーだ。ブレード方式によって65%という高い空間利用率を実現、世界初の全領域パルス加熱や直冷方式の採用によって低温時から高温時まで安定した性能を発揮するという。また、12Vの補強バッテリーも鉛式ではなくリン酸リチウム式を採用。従来の鉛バッテリーが約12kgもあるのに対し、わずか2.2kgという軽量を実現。充放電効率にも優れ、自己放電も少ないという。
発電と駆動の両方を担うエンジンにはアトキンソンサイクル(バルブタイミングによって圧縮比と膨張比を可変するシステム)によって15.5という高圧縮比を実現。高度な冷却システムによってノッキング対策も万全だ。市販車用エンジンでは良くても40%と言われる熱効率は43.04%という高い数字を達成したという。またAWD仕様はターボ化することで96kW(267PS)/220Nm(22.4kgm)にパワーアップ、0-100km/h加速わずか5.9秒という速さを実現した。
先進的な装備を満載




SUVスタイルのボディは全長4775mm、全幅1890mm、全国1670mmと日本の道でも持て余さないサイズ。ボディサイドの鋭いエッジや19インチホイールなど、存在感もタップリだ。
インテリアはセンターに15.6インチモニター、ドライバー正面に12.3インチの大型モニターを備え、全席によるボイスコントロールが可能。Infinityオーディオシステムや大型パノラミックサンルーフを備え、アプリによる遠隔操作も可能としている。ラゲッジルームは通常時425L、後席を倒すと1440Lまで拡大する。
日本でのデリバリーは2026年1月から


BYDというとBEVというイメージが強いが、BYDは2008年に世界初の量産PHVを発売するなど、PHVでも高い実績を持つ。さらに3モーター独立駆動制御の易三方技術プラットフォーム(PHV)やオフロード車専用のDMO(BEV)、ハイパフォーマンスモデル用のDM-p(PHV)など、独自のテクノロジーによるプラットフォームを続々と開発しており、小型BEVのブランド、というイメージはもはや過去のものとなりつつある。日本ではまだ販売台数は多くないが、2024年には世界で400万台を超える販売台数を達成した。今後、その勢いがさらに増していくのかどうかはわからないが、そのポテンシャルは十分にある。初のPHVの導入で、2026年は日本の路上でもBYDを見る機会が多くなるかもしれない。
価格はFWDが398万2000円、AWDが448万8000円。納車はFWDが2026年1月、AWDが同3月になる予定だ。
【SPECIFICATIONS]
BYD シーライオン6[AWD]
ボディサイズ:全長:4775×全幅1890×全高1670mm
ホイールベース:2765mm
車両重量:1940(2100)kg
モーター
最高出力:145kW(197PS)/[後270kW(367PS)]
最大トルク:300Nm(30.6kgm)/[後550Nm(56.1kgm)]
エンジン:直列4気筒
総排気量:1498cc
最高出力:71kW(177PS)[96kW(131PS)]/6000rpm
最大トルク:122Nm(12.4kgm)[220Nm(22.4kgm)]/4000~4500rpm
駆動方式:FWD[AWD]
バッテリー容量:18.3kWh
サスペンション形式:前マクファーソンストラット 後ダブルウイッシュボーン
ブレーキ:前ベンチレーテッドディスク 後ディスク
タイヤサイズ:235/50R19
燃料消費率(FWD):22.4km/L(WLTC)
価格:398万2000円[448万8000円]
