TOYOTA 2000GT、Lexus LFAに続く、トヨタフラッグシップスポーツの道、新たに
「式年遷宮」とは聞き慣れないだろうが、正確には「式年遷宮祭(しきねんせんぐうさい)」と呼び、神社で一定の感覚を置いて神殿を営み、旧殿から神体を移す祭りのことだ。
伊勢神宮では20年ごとに行われる。
この3台は、自動車メーカーが残していくべき技能を次代に継承すべきという豊田章男会長の思想のもと生み出され、古くは1967年の「TOYOTA 2000GT」、21世紀に入ってからなら2010年末の500台限定生産車「LEXUS LFA」に続く「トヨタの式年遷宮」と位置付けている。
本家の式年遷宮は20年ごとと定期的だが、トヨタの式年遷宮は不定期だ。


本来ならここに、第28回の東京モーターショー(1989年)に、市販の心づもりで出品された「TOYOTA 4500GT」が入ってしかるべきだが、市販されなかったがためにここにはない。

1.GR GT
さて、2025年版トヨタ式年遷宮の3台は、同じ基本ボディながらキャラクター分けは明快で、筆頭に掲げられているのは、TOYOTA GAZOO Racing(以下。TGR)の「GT GT」だ。


「圧倒的なパフォーマンスを求めた新しいフラッグシップモデル」の位置づけで、「『モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり』を、さらに深化させたGRのフラッグシップスポーツカー」と謳う。
コンセプトは「公道を走るレーシングカー」。
スポーツカーとして、またレーシングカーとして高い運動性能を実現することはもちろん、クルマとの一体感が得られ、どこまでもクルマと対話し続けられることをめざしたという。
パワートレーンは、新開発の4L V8ツインターボと1モーターの組み合わせ。
システムの最高出力/最大トルクは650ps以上/850Nm(いずれも開発目標値)だが、これも「低重心」「軽量・高剛性」「空力性能の追求」という3つのキー要素があってこそのものだろう。


いずれもスポーツカーではよく語られるキー要素だが、注目は軽量化達成のためのオールアルミニウム骨格。
「トヨタ初採用」が意外だが、初代NSXのように「オールアルミボディ」ではなく、「オールアルミニウム骨格」であることに要注意。
骨格以外はスチールかと思いきやそうではなく、外板にはカーボンや樹脂などを使用し、軽量化の徹底に努めている。


空力性能の追求もおもしろい。
「通常はクルマの外装デザインを決めてから空力性能を考慮するが、GR GTでは空力性能の理想像を定めてからデザインの検討を進めた」と。
つまり「形ありき」じゃなく、「空力の性能ありき」で造形されたわけで、いうなれば風が外形デザインを決めたわけだ。


2.GR GT3
前項GR GTが「公道のレーシングカー」なら、こちら「GR GT3」は世界中のレース舞台で活躍することをめざした本格版のレーシングカー。
3台の中で、「ドライバーファーストを追求したFIA GT3規格の新しいレーシングカー」に定義づけられている。



市販車をベースとするカスタマーモータースポーツのトップカテゴリーのFIA GT3規格に沿い、勝ちたいひとに選ばれる、誰が載っても乗りやすいクルマをめざしてもいるという。
オールアルミ骨格のボディや4L V8ツインターボエンジンなどをGR GTから継承しているのは当然だ。

3.Lexus LFA Concept
そしてLEXUSブランドモデルのLFAである。
3台中、「お客様の想像を超えるBEVスポーツカーの実現を目指して」というポジショニング。
こちらもGR GT、GR GT3と母体を同にするが、こちらは純バッテリーEVスポーツカーとなる。
LFAのスピリットを継承・進化させ、デザインと走りの両立を追求する。


低重心、軽量・高剛性、空力性能の追求も他の2車と同じだが、こちらは純電動スポーツカーゆえ、BEVとして最適なパッケージングを追求し、GR GT、GR GT3由来の高い走行パフォーマンスと次代に於いても色あせない価値を宿すデザインとの融合を実現したという。
ノーズからリヤに続く、低くのびやかなシルエットで、LFAの造形美を継承しながら正統派クーペのプロポーションを表現。


インテリアもGR GT、GR GT3と共通で、室内全体はシンプルに造形。
機能部品を運転席に集約し、そうだとブラインドタッチが可能なスイッチレイアウトとし、直感的な車両コントロールをめざした。



GR GT、GR GT3はプロトタイプ、LFA Conceptは名のとおりコンセプトモデルであり、いずれも発表時期はもちろん、価格も公表していないが、トヨタは今後も随時、情報を公開していくという。
