雪で隠れたナンバープレートはどこまで違反か

ナンバーが雪で覆われている写真
このように、雪道を走っているとナンバープレートが雪で覆われてしまうことがある。

冬季は、雪景色を目的にドライブに出かけるドライバーが増える時期である。そして、雪天のなかを走り終わったクルマを見ると、ナンバーが雪に覆われ、真っ白になっていることも少なくない。

実はこうした「雪まみれのナンバープレート」を放置しておくと、法律違反とみなされるおそれが高いという。

まず前提として押さえておきたいのが、道路運送車両法第19条である。これによると、クルマの使用者は交付された番号標を取り付け、「見やすいように表示」しなければならないという。

つまり、走行中かどうかにかかわらず、番号が読める状態で付いていること自体が、クルマを使うための前提条件になっているというわけだ。

さらに、同法の施行規則第8条の2には、番号標は「被覆せず、かつ識別に支障がないように表示」しなければならないと規定されている。

ここでいう「被覆」は、カバーやプレートの折り曲げといった意図的な隠し方だけを指しているわけではなく、結果として数字や文字が判読できない状態になっていれば、「識別に支障がある表示」に該当するようだ。

意図的なナンバー隠しの他、雪、その他の汚れも注意しなければならない。

また、国土交通省の周知文書でも、ナンバープレートは汚れなどで番号が読み取れない状態であっても違反になるという趣旨が示されている。

つまり、土ぼこりや泥、水あかなどで文字が覆われてしまった場合も、法律上は見逃せない状態という扱いになるのだ。

条文のどこにも「雪」という単語は登場しない。しかし、「識別できるかどうか」という基準に照らすと、雪で番号が読めない状態は汚れと同じく問題のある表示と認識されることは、言うまでもないだろう。

とくに高速道路料金所や有料道路のゲート、交通監視カメラなど、ナンバーを読み取る設備が設置された区間では、識別不能な状態がそのまま制度の運用に支障を与えかねない。

雪によってたまたま覆われただけ、という事情があったとしても、番号が判別できない状態で走り続ければ、「識別に支障がある表示」に該当する可能性があるのだ。

その場で違反の取り締まりをされるケースは少ないが、いずれにせよナンバープレートは特に気をつけなければならない。

なお、このことに関して、警視庁関係者は次のように話す。

「ナンバープレートが雪で見えなくなったからといって、直ちに違反として取り締まるわけではありません。仮に警察官が気づいてお声掛けするような場面では、まずは注意で終わることがほとんどだと思います。

ただ、本来であれば乗車前の見回りでナンバーの状態には気づけるはずですから、雪で覆われているようなときには、出発前にしっかり落として数字や文字が認識できる状態に戻していただくことを推奨しております。

また、故意にナンバープレートを隠しているかどうかは、見た目でもある程度わかります。自分で雪を付けたような跡があったり、わざと見えづらく加工しているような場合には、その場の状況も含めて担当した警察官が判断することになりますが、いずれにせよ指摘を受けた際は、その場できちんと雪や汚れを落としていただければと思います。

安全面だけでなく、道路交通全体の運用のためにも、走り出す前に一度ナンバーの状態を確認してから出発してもらえると安心です」このように、雪で覆われていて見えないからといって「その場でアウト」というふうにはならないのが実情のようだ。

しかし、あくまで法律は「見やすいように」「識別に支障がないように」という条件を示しており、その条件を満たさない具体的なケースのひとつとして、雪の付着が含まれる可能性があるという位置づけになる。

そのため、冬のドライブでは、降雪地域のドライバーほどナンバーの状態をこまめに確認する意識が重要といえるだろう。

雪道の写真
雪以外にもナンバープレートの汚れや傷は確認が必要だ。

走り出す前だけでなく、サービスエリアやコンビニの駐車場などでクルマを降りたタイミングで、一度クルマの周りを見ておくと安心である。とくに、夜間や吹雪の中では、ドライバー自身がナンバーの状態を目視で把握しづらい。

結果として、本人の自覚がないまま「番号標の表示義務を満たしていない状態」で走っていた、という状況にもなり得ると言うわけだ。

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年末年始の帰省やスキーシーズンは、降雪と長距離移動が重なりやすい時期だ。渋滞で停車時間が増えると、その間に雪が積もり、再発進する頃にはナンバーが完全に埋もれていることもある。

自然現象だから仕方がないという受け止め方もあるが、雪による視認性低下は例外扱いにはならない。安全のためにも、ほんのひと手間を惜しまないことが大切だ。