NOB谷口ですらウエット路面では手に負えず

パワーを求め続けて完成したトリプルターボの3ローターFD3S!

FD3Sに、ユーノスコスモの20B-REWユニットを換装する例は決して珍しくない。しかし、それがトリプルターボ仕様となると話は別だ。3つのタービンが鎮座するエンジンルームの迫力たるや凄まじいものがある。この仰天チューンドを手がけたは、グランドスラムPRO町田だ。

排気レイアウトの関係で、タービンはオリジナルEXマニを介して縦に3つ並べて配置。エンジン本体は中間トルクを重視したブリッジポート加工が施され、さらにデトネーション防止のためのプラグホール拡大加工やオリジナルの1ピースアペックスシール等、くまなく手が入る。

タービンは全てHKSのGT2835R。ちなみに、重量配分を意識してエンジン搭載位置は70mm後方、20mm下方にオフセットされている。

ターボレイアウトの関係上、邪魔になるブレーキマスターバックは撤去し、ステアリングラックも移動して対応。燃料系はプライマリー、セカンダリーともに1000ccを組み込む。重要なエンジンマネージメントはHKSのF-CON Vプロが担う。

室内は完全なレーシングスペック。メインメーターは各種データを表示できるスタックを使用。シートポジションはかなり後方にオフセットされ、ドライバーが着座状態で50:50になるようにセットアップされている。ペダル類は、それぞれにマスターシリンダーを持つチルトンのオルガン式システムに変更済みだ。

エクステリアは、グランドスラムPRO町田オリジナルのフロントバンパーに、ワンオフのオーバーフェンダーを組み合わせてスタイリッシュに演出。ボンネットは純正加工、ヘッドライトは固定式を投入する。タイヤはフロントに225/40R17、リヤに275/40R17という極太を履く。

テストドライブを担当したNOB谷口は「これは怖い。アクセルを踏み込んだ時のトルク感が凄いんだよ。ブーストも大して掛かってないのに、恐ろしいくらいトルクが出ている。そこからタービンが回り始めると、もう手に負えない! ホイールスピンしっぱなしだったよ。でもハイレスポンスだし、トラクションのかかりも良い。アクセルコントロールで弱オーバーでクリアしていく乗り方が良いんだろうね。ドライでも難しい気はするけど…」とコメント。

ちなみに、テスト時はセッティング途中の段階だったため、ブースト圧は0.8キロに抑えられていたが、最終目標はブースト1.6キロで850psオーバー狙いとのこと。究極系チューンドロータリーとして、今後の進化が非常に楽しみな1台だ。(OPTION誌2000年9月号より抜粋)

「RX-7のスタイルは好きだけどロータリーは…」そんなオーナーに向けた合法の直6エンジン換装術に迫る!

ロータリーファンが決して認めないであろう、直6換装という掟破り。それでもC&Yスポーツは、公認取得を前提に構造を磨き込み、FD3Sの美点を損なわずに1JZのトルクを馴染ませた。快適装備を残しつつ、街もサーキットも軽やかに走るこの車両には、邪道の奥にある真面目さが漂う。