外国メーカー車の新規登録状況

2025年11月の外国メーカー車市場では、輸入車全体として大きな拡大局面には至っていないものの、一定の販売規模を維持する動きが確認されている。

日本自動車輸入組合(JAIA)の公表データによれば、2025年11月の外国メーカー車(乗用車・貨物車・バスを含む)の新規登録台数は18,464台となった。前月との比較では大きな変動は見られず、輸入車市場は概ね横ばい圏で推移している。

この18,464台には、ガソリン車やEV、ハイブリッド車(HV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)といったすべてのパワートレインが含まれている。そのため、海外のEV動向を把握する際には、ブランド別の登録状況や車種構成から間接的に読み解く必要がある。

実際、ブランド別に見ると、EVを主力とするメーカーでは登録台数の積み上がりが確認されており、輸入車市場の中でもEVが一定の存在感を保っている構図がうかがえる。

このように、2025年11月の外国メーカー車市場は、販売台数そのものは安定的に推移しつつ、内訳ではEVの比重が徐々に高まりつつある段階にあると整理できる。

海外自動車メーカーの動向

BYD:200台超を維持し、着実に存在感を拡大

BYDのEV「SEALION 6」

JAIAのブランド別新規登録台数によれば、2025年11月のBYD(乗用車)の登録台数は204台であった。BYDは日本市場において乗用車ラインアップを事実上EVに限定しているため、この数字は実質的にEV販売台数に近いものと考えられる。

このBYDの登録実績を支えているモデルの一つが、SUVタイプのEVである「BYD Atto 3」だ。当モデルは、実用性を重視したボディサイズと十分な航続距離を備えたモデルとして、日本の利用環境にも適した仕様となっており、初めてEVを検討する層にとっても選択肢となりやすい存在だ。

コンパクトSUVという人気の高いカテゴリーに属する点も、BYDの販売拡大を下支えしている要因の一つといえる。

また、同月にはBYD製バスが6台登録されており、乗用車に限らず公共・業務用途を含めた展開も進められている。販売規模は依然として限定的ではあるものの、BYDは日本市場で着実に実績を積み上げている段階にある。

Hyundai:小型EVを中心に販売実績を積み上げ

Hyundai・IONIQ 5

2025年11月のHyundai(乗用車)の新規登録台数は99台となった。これは前年同月(35台)と比べて大きく増加しており、外国メーカーの中でも伸び率が目立つ動きである。

Hyundaiも日本市場ではEVを主軸とした展開を進めており、この99台はEV販売台数に近い水準と捉えられる。こうした販売実績を支えているモデルの一つが、クロスオーバーEVとして評価の高い「IONIQ 5(アイオニック5)」である。IONIQ 5は、独自性のあるデザインに加え、室内空間の広さや先進的な装備を備えたモデルとして知られており、実用性と先進性を重視するユーザー層から支持を集めている。

日本市場においても、IONIQ 5は輸入EVの中で比較的認知度の高いモデルの一つであり、Hyundaiブランドの存在感を高める役割を果たしていると考えられる。

さらに、同月にはHyundai製バスが7台登録されており、乗用車に限らず公共・業務用途を含めた分野でもEV展開が進行している。こうした動きから、Hyundaiは主力EVモデルを軸に、日本市場で段階的に実績を積み上げている状況にあるといえる。

テスラ:最大級の存在感を持つが、台数は非公表

テスラ・Model S

テスラについては、JAIAの統計上、ブランド名が個別に公表されていない。普通乗用車の登録は「Others(その他)」という区分にまとめられており、2025年11月はこの区分が907台(うち普通乗用車898台)となっている。

この「Others」区分には複数のブランドが含まれるため、JAIA公式資料のみからテスラの台数を断定することはできない。ただし、日本市場における販売実態や過去の傾向から、テスラが外国メーカー車EVの中で大きな比重を占めている可能性が高いとみられている。

テスラのラインアップの中でも、日本で比較的広く認知されているのがSUVタイプの「Model Y」である。実用性の高いボディ形状に加え、荷室容量や使い勝手を重視する層に適したモデルとして位置づけられており、輸入EVの代表的存在として比較検討の軸になりやすい。

一方で、上級セダンにあたる「Model S」は、テスラのフラッグシップとして高い動力性能や長距離走行性能を備え、先進性や高性能を重視するユーザー層に訴求するモデルといえる。

テスラの販売は月次で変動しやすく、在庫状況や納車タイミングの影響を受けやすい点も特徴である。そのため、2025年11月の動きについても、単月の増減だけで中長期的なトレンドを判断することは適切ではない。

海外EVの特徴と課題

外国メーカー車EVは、国産EVと比較すると、EV専業メーカーや電動化で先行してきたブランドが多く、車両全体の完成度やEVとしての作り込みが高い点が特徴である。また、ボディサイズやデザインの選択肢が幅広く、日本車には少ない個性的なモデルが用意されている点も強みといえる。

一方で、販売拠点や整備拠点には地域差があり、居住エリアによっては購入やメンテナンスの利便性に不安を感じやすい。アフターサービス体制や長期的なサポートへの懸念が、購入時の心理的なハードルとなるケースも少なくない。

今後は安定段階から成長局面へ移行できるかが鍵

2025年11月時点の外国メーカー車EV市場は、急拡大には至っていないものの、一定の販売規模を安定して維持している段階にある。国産EVの投入が本格化する2026年以降、競争環境は一段と厳しくなると見込まれる。

その中で、外国メーカー車EVが先行者としての立場を維持できるのか、それとも数ある選択肢の一つにとどまるのかは、販売・サービス網の拡充、購入後の安心感の向上、日本市場に適した車両設計と価格戦略をどこまで進められるかにかかっている。