日本で買えないけど欲しくなる日本ブランド車たち[その1]
2025年の自動車業界の大きな話題のひとつが、6代目プレリュードの登場だった。バブルの時代、デートカーとして一世を風靡した車名が、24年ぶりに蘇ったのだ。グライダーをモチーフにしたという伸びやかなクーペフォルムが目を引くが、2.0L 直4エンジンに2基のモーターを組み合わせたハイブリッドシステムの爽快感あふれる走りは評論家筋からの評価も高い。600万円以上と決して手頃な価格ではないが販売も好調で、9月の発売から1か月で月間販売計画300台の約8倍となる2400台を受注したことが耳目を集めた。

というわけで、プレリュードが華々しく復活を遂げた今、あのクルマの復活も期待したい。それが、インテグラだ。
初代は「クイントインテグラ」の名前で1985年に登場した。シビックとアコードの隙間を埋める2BOXモデル「クイント」の後継モデルで、リトラクタブル・ヘッドライトを採用し、ZC型DOHCエンジンを搭載するなどスポーティなイメージを前面に打ち出した。
1989年に登場した2代目は、「VTEC」エンジンを初搭載したモデルとして記憶に残っている方も多いのではないだろうか。可変バルブタイミング&リフト機構のVTECは、過給器の助けを借りることなく、1.6Lの排気量から160PSを発生。映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のヒットで人気絶頂だったハリウッド俳優のマイケル・J・フォックスを起用したテレビCMは、「カッコインテグラ」の決め台詞とともに大いに話題となった。
1993年登場の3代目で特筆すべきは、「タイプR」の設定だろう。丸型4灯から角型ヘッドライトにお化粧直しを行ったマイナーチェンジと同じタイミングで設定されたインテグラ・タイプRは1.8L VTECエンジンの最高出力を200PSまで引き上げるとともに、ボディ剛性アップや軽量化にも取り組むことで、運動性能を徹底的に向上。ホンダのスポーツモデル=タイプRのイメージを強烈にアピールした。
2001年に登場した4代目では、当初からタイプRを設定。220PSを発生する2.0Lエンジンには6速MTが新たに組み合わされるなど、戦闘力はさらに進化を遂げた。しかし、すでに世の中はスポーツクーペ受難の時代。2006年に生産を終え、翌年には日本での販売も終了し、インテグラはいったん、その歴史の幕を閉じたのだった…。
しかし、インテグラはプレリュードよりもいち早く復活していた。日本ではなく、アメリカのアキュラ・ブランドで。2022年、アキュラは6代目となるインテグラの発売を開始した。ボディ形状は5ドア・ハッチバックで、全長4719mm×全幅1829mm×全高1410mm、ホイールベース2736mm。五角形のペンタゴングリルや末広がりのヘッドライトなどアキュラのデザイン言語に則ったエクステリアは、いかにもアメリカンだ。標準グレードのパワートレインは1.5Lターボ+CVT/6速MTを搭載する。


注目なのは「タイプS」の存在だ。パワートレインはシビック タイプR譲りのK20C型2.0Lターボ+6速MTで、足まわりにもデュアルアクシスフロントサスペンションやブレンボ製4ピストンブレーキキャリパーなど、シビック タイプRと同様のアイテムを採用。そんなスペックを聞くだけで、走りの資質が高いことが容易に想像できる。
ジャパンモビリティショー2025でホンダは、アキュラRSXプロトタイプを展示した。三部敏宏社長が「来場者の反応次第で日本導入を前向きに検討したい」と語ったニュースを目にした方もいるだろう。米国生産車を日本に輸入販売することで、対日貿易赤字を問題視するトランプ政権の矛先を収める狙いもありそうだ。とはいえ、RSXはまだプロトタイプの段階で、北米での発売すら2026年後半からとまだ先の話。バッテリーEVだから、仮に日本に本当に導入されたとしてもユーザーは限定されるだろう。
だとしたら、アキュラ・インテグラの方が現実的なのでは? そんなことを考えていた私の思いに応えるかのように、今年の東京オートサロンでは、ホンダブースにアキュラ・インテグラ タイプSが登場し、来場者から大きな注目を集めていた。

果たして、インテグラの日本復活はありえるのだろうか? 実現した暁には、CMキャラクターにマイケル・J・フォックス(音楽はヒューイ・ルイス&ザ・ニュース)を起用してくれたら、おじさん世代は涙がちょちょ切れることは間違いなし、だ。








