クルマの下回りを錆びさせる融雪剤の害悪

錆対策による不利益を回避するためには早期のケアが最重要だ。愛車を長く大切に乗り続けるためには、冬の走行後におけるこまめな下回り洗浄が基本と言えるだろう。

融雪剤の主成分である塩化カルシウムや塩化マグネシウムなどは金属を腐食させる性質を持っており、付着したまま放置すると車体や足回りに深刻なダメージを与える。

とくに大きな影響を受けるのは車両の下回りだ。走行中にタイヤが跳ね上げた融雪剤混じりの水分は、下回りに付着し金属部分の酸化反応を促進させて錆を発生させる。

クルマのボディは足回りを含めて塗装で保護されているため、融雪剤の影響はすぐに表面化することはない。しかし、走行中の飛び石などで塗装が微細に剥がれた箇所があると、そこを起点として錆が発生し、融雪剤に含まれる塩分がさらなる錆の進行を助長する。

一度発生した錆を完全に除去するのは困難であり、放置すれば最終的には金属の深部まで侵食してボディに穴を開け、クルマの寿命を大きく縮めてしまう。

修復するとなると多額の費用を要するだけでなく、穴の部位によっては車体の強度不足により車検を通過できなくなる恐れもある。また、錆の発生は将来的な査定額にも大きく影響する。

融雪剤を落とすには高圧洗浄機がベスト!洗車頻度は最低でも月に1〜2回

ブレーキ周りは精密であるうえトラブルが起こると事故に発展しかねないため、高圧洗浄機の水を直接当てるのではなくホースなどの流水を使って洗い流すのが望ましい。

融雪剤は水に溶けやすい性質を持っているため、高圧洗浄機やホースの水を使用して洗い流すだけでも、錆の進行を大幅に遅らせることができる。

車の下回り構造は複雑であり、自動洗車機の下回り洗浄では融雪剤を落としきれない場合も多いため、融雪剤の除去には高圧洗浄機を積極的に使いたい。

とくに複雑な形状をしているマフラーやサスペンションなどは塩分が残留しやすいため、流水を当てる角度を変えながら入念に洗浄してやる必要がある。また下回りだけでなく、ホイールハウス内もしっかりと水で流してやろう。

もちろん融雪剤はクルマの上屋にも付着する。上屋は下回りほど錆びやすくはないが、ドアの隙間や部品の合わせ目など複雑な形状の箇所は融雪剤が残留しやすい。とくに傷があると、そこから錆が広がるため下回りのついでにクルマ全体を洗い流してやろう。

融雪剤は水に溶けやすいと言っても、時間が経って固着すると除去が難しくなる。帰宅後すぐに洗車するのが理想だが、いくらクルマが大切でも走行する度に洗車するのは非現実的だ。月に1〜2回ほどを最低限の目安として、高圧洗浄機で念入りな下回り洗浄を実施したい。

冬場は寒さで洗車が億劫になりがちだが、こうしたひと手間が数年後の車両状態を左右することになる。

「塗装による保護」と「こまめな下回り洗浄」がクルマの寿命と価値を左右する

タイヤ交換などで頻繁に器具が触れるジャッキアップポイントも、塗装が剥がれやすく錆の起点になりやすい。こうした細かな箇所の塗装剥がれはDIY補修の方が手軽だ。

洗浄は錆防止の基本だが、日々の洗浄だけで錆の発生を完全に防ぐことは難しい。そのため、融雪剤からボディを保護する下回り塗装やコーティングが重要となる。

車検の見積書などに「アンダーコート」や「ノックスドール」と記載された項目を見たことがある人も多いだろう。「アンダーコート」は下回り塗装を指し、「ノックスドール」とは下回り防錆塗料の商品名だ。

施工費用は使用塗料や車体サイズによって異なり、簡易塗装なら5000円前後だが、ノックスドールのような本格的な防錆塗装は軽自動車で3万円、普通車なら5万円からが相場となる。また従来のブラック塗装だけでなく、美観を損なわない透明タイプのコーティング施工例も増えている。

クルマの部品のなかでもボディ骨格だけは交換がきかないため、ボディの寿命を延ばすことは実質的にクルマの寿命を延ばすことと同義となる。中古車価格は下回りの錆の状態によって10万円単位で変動することも珍しくなく、車両の管理状態が売却時の査定額にも大きく影響する。

錆の発生防止には塗装による下回り保護と、こまめな洗浄によるケアの両方が必須だ。この2段構えの対策が、クルマの寿命と価値を決めると言っても過言ではない。