「五感に響く機能価値」への挑戦、「上質」と「洗練」のその先へ

レクサスESモデリスタプロトタイプ

近年のモデリスタ(トヨタカスタマイジング&ディベロップメント(TCD))が生み出すトヨタ車向けエクステリアアイテムといえば、直線的かつシャープなラインをメッキのアクセントで彩った前衛的なデザインで構成されていることが多い。

しかし、2024年1月のオートサロンでモデリスタは、「これからのモデリスタ」として「五感に響く機能価値」への挑戦を掲げ、新たなコンセプトビジュアルを発表。こうした従来の方向性からの方針転換を示唆している。その最初のきっかけについて松本室長は、

「我々のカスタマイズの分野が今後どういう役割を担っていくべきか、社内はもちろんトヨタ自動車とも議論を重ね、従来の『上質』と『洗練』に『機能』を加えよう、という方向性に決めました。それが大きな転換点でした」

と語っているが、もちろんそれだけではない。

TCD 松本宏一デザイン室長とアルファードモデリスタコンセプト

「そもそものベース車両自体、以前はバリエーション・グレードが非常に多かったんですが、近年はそれが大きく絞られるようになっています。そういう中でお客様はやはり、他とは違うものを求めるようになりましたので、従来の押し出しが強く華美な方向性から転換し、より上質な世界観を表現していくべきだと考えました」

と、新車販売の市場動向が大きく変わったことも背景にあると明かしている。

このように新たなデザインの方向性を固めたモデリスタは、2025年1月のオートサロンで、モデリスタが目指す新たなデザインの象徴として「モデリスタエンブリオ」と、トヨタbZ4Xをベースに近未来のモデリスタデザインを具現化した「モデリスタコンセプト・ゼロ」を公開。

2024年に発表されたモデリスタの新たなコンセプトビジュアル

「『ジオメトリカル・オーガニック(幾何学的×有機的=近未来的な造形)』というコンセプトを掲げているのですが、流麗かつ有機的でありながら、シャープかつ硬質で幾何学的な、相反する要素を上手くバランスすれば、新しい世界観を表現できると思い、制作しました」(松本室長)

なお、「モデリスタエンブリオ」の「エンブリオ」は「ES(Embryonic Stem=胚性幹)細胞」の「エンブロニック」に由来。ES細胞があらゆる細胞に分化できることになぞらえ、「エンブリオ」を新たなモデリスタデザインの原体に位置付けている。

モデリスタエンブリオ
モデリスタコンセプト・ゼロ

メッキから光の演出へ。「次世代モデリスタ」の姿を提案

こうして2年以上に及ぶデザインの深化を経て、モデリスタは今回、今後の市販アイテムを示唆するモデルとして、「レクサスESモデリスタプロトタイプ」と「アルファードモデリスタコンセプト」を発表した。

このうち「アルファードモデリスタコンセプト」は、ロングドレスの裾をモチーフとして、「スカートがふわりと舞ったかのような、非常にシンプルな造形を狙って与えることで、アルファードが持つ品格を表現」(松本室長)。

アルファードモデリスタコンセプト

また「レクサスESモデリスタプロトタイプ」も含め、「従来はメッキで表現していた加飾をイルミネーションに置き換えることで、新しい世界観を演出」(同)している。

レクサスESモデリスタプロトタイプ

今回メッキをイルミネーションに置き換えた背景には、「最近はとりわけレクサスの車種でメッキを採用しなくなっており、社会全体でそのトレンドへ向かいつつあるのを感じています」と、昨今の環境負荷低減に対する意識の高まりも大きいのだとか。

レクサスESモデリスタプロトタイプの間接照明加飾

これは本物の石か? “五感に響く”新たな上質感をリアルストーンで表現

そうした動向を踏まえつつ、「アルファードモデリスタコンセプト」では「ランダムな模様で陰影を作り、イルミネーションで光らせることで立体的な加飾を表現」。「レクサスESモデリスタプロトタイプ」では間接照明を用い、より控えめな加飾を実現している。

松本室長は「こうしていろんな表現手法を模索しながら、新しい光の演出を研究していきたい」というから、今後はさらに新しい手法を用いたイルミネーションアイテムの展開も期待できそうだ。

アルファードモデリスタコンセプトのイルミネーション加飾

「アルファードモデリスタコンセプト」ではさらに、従来は天然木を極めて薄くスライスした突き板を使用していた加飾パネルを、同様にリアルストーンをスライスした石目パネルに置き換えるなど、インテリアでも新たな「上質」「洗練」「五感に響く機能」を表現している。

アルファードモデリスタコンセプトの石目パネル

「レクサスESモデリスタプロトタイプ」に装着された各アイテムは2026年春頃発売予定の新型ES用品として開発されており、「アルファードモデリスタコンセプト」も今後の市販アイテムに何らかの形で結実する可能性が高い。

「お客様の声を聞いても、大多数の方から『新しいデザインの方がいいよね』と高評価いただけています。例えば家庭を持つの男性アルファードユーザーでも、この上質で洗練されたデザインならば、奥さんに『買ってもいい』と言ってもらえるかもしれません。そんな風に、なるべくユーザーの裾野を広げたいと考えています」と期待を寄せる松本室長。その想いが叶う日は決して遠くはなさそうだ。

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