先代プレリュードは純正アクセサリーをレベルアップした原点

ホンダアクセスの純正アクセサリーを装着した現行プレリュードと先代プレリュード

20余年ぶりにホンダがプレリュードを復活させたのに合わせ、ホンダの純正アクセサリーメーカーであるホンダアクセスが先代プレリュード(5代目)をレストア、当時モノのアクセサリーを装着したデモカーを仕立てたことが話題となっている。

じつは筆者、レストアされた先代プレリュード純正アクセサリー仕様を見たことは何度もあったが、ようやくそのハンドルを握ることができた。しかも、現行プレリュードの純正アクセサリー仕様と比較試乗ができるという貴重な機会に恵まれたので、その感想を共有したいと思う。

現行型と先代…こう記すと、フルモデルチェンジ前後の車両を並べているように思えるが、さにあらず。ご存知のように先代プレリュードは1996年に誕生しており、長いブランクがあった。現行プレリュードは、ほぼ四半世紀ぶりに名前が復活したモデルであり、新旧プレリュードにはそれだけの時間差がある。

FFのスペシャリティカーという共通点はあっても、メカニズム面を同じ土俵で比較するのには意味がないだろう。

それでも、公道で乗り比べて驚いたのは、先代プレリュードの乗り味がそれほど古く感じなかったことだ。

先代プレリュードの高回転志向2.2L VTECエンジン~今回はパフォーマンスを引き出すことはなかった~と、現行プレリュードのハイブリッドパワートレインのキャラクターはまったく異なるかと思いきや、2.2L VTECエンジンはトルクに余裕が感じられるもので、試乗車はMTだったがシフトチェンジが煩わしいと感じることはなかった。このあたりスペシャリティカーとしての余裕感は、プレリュードにとって不可欠の要素なのかもしれない。

ホンダアクセスの純正アクセサリーを装着した現行プレリュードと先代プレリュードを公道試乗した

それはさておき、ホンダアクセスが先代プレリュードの純正アクセサリー仕様をレストアしたのには意味がある。写真からもわかるように、この5代目プレリュードにはハイマウント形状のトランクスポイラーや、大胆な形状のフロントアンダースポイラーといったエアロパーツが純正アクセサリーとしてラインナップされた。

じつは、ホンダアクセスとして初めてといえるトータルバランスを考えたエアロパーツであり、そのバランスを整えるために風洞実験を行ったというほどエポックメーキングな存在なのだ。まさに、走りにつながる純正アクセサリーの原点であり、だからこそ新型プレリュードに合わせて、ホンダアクセスがレストアする意味があるのだ。

ホンダアクセスの純正アクセサリーを装着した先代プレリュード
先代プレリュードの2.2L VTECエンジン

純正アクセサリーとして初のフルエアロというだけではない。インチアップのアルミホイールやローダウンサスペンションといったハンドリングに関わるアイテムを純正アクセサリーとして初めてラインナップしたのが、この5代目プレリュードのときだった。

レストアされた先代プレリュードを見て驚いたのは、ガラスサンルーフのウインドディフレクターまで空力を意識した独自デザインとなっていること。このあたりも風洞実験にて効果を確認しているというから、まさしくホンダアクセスのエアロダイナミクス開発の原点といえる一台なのだ。

そうした空力へのこだわりは、現行プレリュード用のエアロデバイスにも受け継がれているという。現行プレリュードの純正アクセサリーにおいてエアロパーツといえるのは、テールゲートスポイラーとフロントロアースカートの2点となっているが、この2点のために風洞実験を行い、リフトバランスを整えているという。

とくにテールゲートスポイラーの、中央を凹ませたウイング形状や大きめの翼端板には、そうした風洞実験での苦心や空力性能へのこだわりが感じられる。

新旧プレリュードの乗り味において、ホンダのスペシャリティカーとしての共通性も感じたが、じつは純正アクセサリーの開発姿勢についても新旧で通じるものがあるというわけだ。

ホンダアクセスの純正アクセサリーを装着した現行プレリュード
現行プレリュードのハイブリッドパワートレイン

しなるアルミホイール、実効空力エアロとして結実

ホンダアクセスのアルミホイール「MS-050」は現行ヴェゼル専用にデザインされている

先代プレリュードにおいて、純正アクセサリーとしてのフルエアロやインチアップホイールの開発が始まったと記したが、そうした知見は年を追うごとに溜まっていく。現在では、ホイールや空力によって走り味を整えるというアプローチはホンダアクセスの十八番であり、純正アクセサリー開発における欠かせないテーマともなっている。

新型プレリュードの試乗に合わせて、ホイールと空力における純正アクセサリーの最高峰といえるアイテムを試すこともできた。具体的には、ヴェゼルの専用アルミホイールと、シビックタイプRのテールゲートスポイラー(ウイング部分を交換)である。

まずは、ヴェゼルの専用アルミホイールについて報告しよう。

ホンダアクセスMS-050ホイールを履いたヴェゼル e:HEV RS
クローズドから公道まで、様々なシチュエーションで比較試乗した
純正アクセサリーのアルミホイールMS-050ホイールを履いたヴェゼル
標準状態のヴェゼルRS

ヴェゼル専用アルミホイールの名前は「MS-050」。ホイールもサスペンションの一部という発想から、ヴェゼルの純正装着タイヤや車体剛性などとバランスさせた18インチアルミホイールとなっている。

アルミホイールといえば、高剛性・軽量化が重要と思いがちだが、ホンダアクセスのMS-050はあえて”しならせる”という発想で設計されているのが特徴。その狙いは、タイヤの接地面圧を高めること。これにより、乗り心地やハンドリングにホンダアクセスの味付けを加えようというわけだ。

今回は、ヴェゼルに追加設定されたRSグレードをサンプルに、標準装着ホイールとホンダアクセスMS-050を履いた2台で比較することができた。当然ながら、タイヤ銘柄もサイズも同じ条件だ。

舗装の荒れた路面を走っていると、コツコツ感があるのはRS専用サスペンションの特徴だが、ホンダアクセスMS-050ホイールを履いた個体では、そのコツコツした入力がマイルドになるフィルターがかかったようになる。もっと直接的に表現すると、滑らかな印象に変わる。

路面の整ったクローズドコースでは、ハンドリングの向上が感じられた。ステアリングフィールの濃度が高まった印象さえある。実際の操作感は変わらないまま、ハンドル操作に重厚さが感じられるという不思議なフィールに変化したといえば伝わるだろうか。

ともかく、アルミホイールだけで走り味が変わることは間違いない。

実効空力テクノロジーから生まれた純正アクセサリーのカーボン製テールゲートスポイラーを装着したシビックタイプR
テールゲートスポイラーを付け替え比較試乗した

先代プレリュードの高々としたウイング形状のトランクスポイラーの系譜を受け継いでいるのが、シビックタイプRのテールゲートスポイラーだ。これは、ウイング部分だけをカーボン製のオリジナルデザインに交換するという純正アクセサリー。ウイング下面に施されたシェブロン(鋸歯)形状や、大きくなった翼端板形状が特徴となっている。

クローズドコースにて、標準装着品と純正アクセサリーのウイングを交換して、その違いを確認するというのが、今回の試乗内容だ。

驚くことに、ホンダアクセスの開発テーマは『日常の速度域で体感できる”実効空力”の効果』となっている。はたして、1速で走行するようなシチュエーションでウイング性能の違いが確認できるのだろうか。

結論をいえば、たしかに実効空力の成果は体感できた。

開発テーマとしては前後リフトバランスを整えたり、路面への接地感を高めるといった内容になっているが、低速でのフルロックターンで実感できたのは、リアの接地感が高まっていること。FFにもかかわらず、ターンからの立ち上がりでアクセルを踏み込むと、リアが車体を押し出すような感覚さえあった。

この実効空力スポイラーについては、もっと高速領域で試したこともあり、その際には直進安定性への寄与が大きいことを確認していたが、まるでリア駆動のような振る舞いをみせるほど走り味を変化させていることに気づいたのは、恥ずかしながら今回の試乗がはじめてだ。

おそらく、シビックタイプRにホンダアクセスのテールゲートスポイラーを装着しているオーナー氏であれば、もっと深い部分での効果を実感しているだろう。日常的に実効空力を味わえるオーナー氏が本当にうらやましい。

今回試乗したヴェゼルやシビックタイプRに限らず、ホンダアクセスの純正アクセサリーを装着していると、標準状態とは異なる味付けを感じる瞬間は多々あるはずだ。こうした変化を知れば知るほど、ホンダの純正アクセサリーを選ぶインセンティブになっているのだろうと、あらためて確認できた。

なにより、アルミホイールやエアロパーツによる走り味の原点が、先代プレリュードにあったことも覚えておきたいと思った。スペシャリティカーという、まさに特別な存在があったからこそ、純正アクセサリーがレベルアップしたといえるからだ。

試乗には2022年式シビックタイプRを使用した