旧モデルをカスタマイズする「アップグレードファクトリー」

東京オートサロン2026のトヨタブースはGR一色。モータースポーツに直結、あるいはそれを彷彿させる展示に統一されていた。 しかし、ご存じの通りトヨタにはスポーツ系に限らず多種多様な車種があり、特に発売間もないモデルのカスタマイズを期待していたファンも多かったのではないだろうか。

そんなファンの受け皿となっていたのが、トヨタRAV4だ。GRブースにその姿はなかったが、正面に位置する豊田自動織機のブースには、新旧RAV4が並んでいた。 なぜ、トヨタの関連会社である豊田自動織機のブースなのか? 詳しい人ならお察しの通り、RAV4は豊田自動織機が企画・設計・デザインに深く関わり、長草工場で生産を一手に引き受けているモデル。豊田自動織機なしには今のRAV4はないと言っても過言ではない、いわば「生みの親」的な存在なのだ。

今回の豊田自動織機ブースでは、新型RAV4をベースとした「GR SPORT」のカスタマイズパーツ装着車(ほぼ市販前提)や、「ADVENTURE」グレードベースの「アウトドアスタイルコンセプト」に加え、旧型となった「50系RAV4」の「ハーフ&ハーフ」カスタマイズモデルが展示されていた。

50系RAV4アップグレードファクトリー例のハーフ&ハーフ車両

なぜ、いま50系なのか? 実はこれ、トヨタグループがRAV4を皮切りに始動させる「アップグレードファクトリー」という新事業の意思表示なのだ。 「アップグレードファクトリー」という言葉を耳にした人もいるだろう。もともとはサブスクリプションサービスの「KINTO」で展開されていたものだが、今後は一般の既販車についても、新車注文時にしか選べないような(あるいは新車時には存在しなかった)大掛かりなカスタマイズやアップグレードを、ユーザーに提供しようという試みだ。

展示では、車両の右半分をノーマル、左半分をカスタマイズ仕様とすることで、その変化を分かりやすく表現。 その左半分のカスタマイズ内容を見てみよう。 まずは発売中のものから。ヘッドライトは50系後期のものへ換装。これだけで顔つきがリフレッシュされ、「わかる人にはわかる」鮮度の高さを演出している。 また、ショックアブソーバーとサスペンションの交換により、50mmの車高アップとともに、新車のようなシャキッとした走りを実現している。

販売検討中のメニューでは、以前からそのワイルドさが好評だった「GORIGORI BLACK(ゴリゴリ・ブラック)」塗装を、フロントバンパー、リヤスキッドプレート、アーチモールに施工。街乗り仕様のクルマが一変して、本格オフローダーの風貌へと変身する。さらに、ゴリゴリブラック塗装風フィルムをフロントフードとフェンダーに貼ることで、ワイルド感は一層加速。18インチアルミホイールには、かつての特別仕様車に採用されていた装備を装着している。 その他、内装ではUSB-AからUSB-Cへの変更や、置くだけ充電、リモコンスターターといった電装系のアップデートパーツも販売中。これらは今後、順次トヨタ系ディーラーで購入可能になる予定だという。 単に新車を売るだけでなく、愛車を大事にする人へ向けた「ありそうでなかった」画期的なメーカー純正カスタマイズ。トヨタグループが総力を挙げて企画した、クルマ愛にあふれるサービスと言えるだろう。

早くもGR SPORT用GRパーツをお披露目

もちろん、最新モデルの提案にも抜かりはない。 昨年のジャパンモビリティショー2025でも話題となった「RAV4 GR SPORT」には、初お披露目となるGRパーツが装着されていた。 主なアイテムを紹介すると、まずは「エアロフィン(通称:お魚フィン)」。ドアミラーとAピラーの間に装着される3段積みの小さなフィンで、走行風を整流し、風切音の抑制と操縦安定性の向上を図る。 「ドアスタビライザー」は、ストライカー部分に装着することでボディ剛性を高める定番の人気アイテム。さらに、実績のあるヤマハ発動機製の「パフォーマンスダンパー」は、車体の微振動を吸収し、正確なハンドリングと上質な乗り心地を両立させる。 足元を固めるGR専用デザインのホイールは、標準装備ではなく後付け用品として開発中のもの。エアキャップにはさりげなくGRマークが入る。 内装では、専用のフロアマットやラゲージマット、さらに爪傷を防ぐドアハンドルプロテクターなど、実用性と個性を両立させるアイテムが揃っていた。

RAV4 GR SPORT 用品装着車

海外パーツも盛り込んだアウトドアスタイルコンセプト

一方、コンセプトカーの「アウトドアスタイルコンセプト」は、RAV4を知り尽くした豊田自動織機ならではの遊び心が満載だ。 ボディカラーは、旧型で人気を博しながら新型ではドロップしてしまった「アーバンカーキ」を彷彿とさせる専用グリーン。RAV4の新たな魅力を引き出すカラー提案だ。 フロントバンパー下部やフェンダーアーチモールに施された「ゴリゴリブラック塗装」は、凸凹とした質感のチッピング塗装で傷に強く、実用性とワイルドさを兼ね備える。 さらに、本来のグレードには設定のない上級グレード用LEDランプの採用や、北米仕様のアンバー色サイドマーカー、フロント補助ライトなど、海外純正パーツを盛り込んだ仕様は、「日本でも売ってほしい!」というファンの声をあげてもらうための提案だ。

RAV4アウトドアスタイルコンセプト

北米で最も売れる乗用車の1台として、RAV4がもたらす「楽しみの広がり」を存分に感じさせてくれた豊田自動織機ブース。これからのRAV4ライフがますます楽しみになる展示であった。