小田和正の『ラブストーリーは突然に』ではないけれど、中古車との出会いもタイミングが全て。2024年の夏、日課のように続けていたポルシェの中古車検索に動きがありました。そう気になる1台が現れたのです。

高いことに理由はないこともあるが、安いことには必ず理由がある

当時の中古車検索のやり方は、911、ボクスター、ケイマンの3車種をそれぞれ個別に検索。もちろん、大手検索サイトのシステムは優秀なので、3車種を同時に検索するだけでなく、より細かい条件を加えることも可能です。敢えて、別々に検索していたのは、それぞれの相場感を知りたかったのが理由でした。

参考:MotorFan特選中古車検索

前回もお話しましたが、中古ポルシェ相場の下限を形成する996型911、エントリースポーツとなる初代ボクスター(986型)、さらにボクスターの第2世代から加わったクーペの初代ケイマン(987型)では、年式や新車時の価格の違いもあるため、形成される相場も異なります。

ポルシェ911(996型前期)

もちろん、中古車の情報を確認する上でも、同じ車種同士の方が違いも分かりやすいこともあります。利用していた中古車検索サイトは、大手2社のもの。これは中古車店の中には、片方しか利用していない会社もあり、2か所の方が、より多くの情報が得られるため。さらに自社サイトしか掲載しないマニア好みの中古車店や個人間売買をサポートするサイトもチェック。全てが1点物の中古車の場合、情報と選択肢は多いに越したことはありませんから。

初代ケイマン(987型)

それこそ当時は、初代ボクスターならば100万円切りのものチラホラ。逆に一世代新しいケイマンでは、そこまで安いものはありません。ちなみに執筆中の最安値のボクスターは、なんと65万円!この値段で、ポルシェを持っているといえるのは、むちゃくちゃ夢がありますが、そもそも普通に乗れるの?という心配があるのも本音。実際、65万円号は、トランスミッションが故障しているようです。

初代ボクスター(986型)

中古車の場合「高いことに根拠があるとは限らないが、安いことには必ず理由がある」が鉄則。もちろん、お金持ちの親戚や知人がタダ同然や激安で譲ってくれるとか、特別なケースは除きますが(笑)。

現実的な価格ならAT車も許容すれば可能性も広がる

996型ポルシェ911のティプトロニックS(AT)のウッド仕様のシフトノブ。

MT車の台数が少ないこともあり、車両価格を「安い順」とすると、AT車がずらりと並びます。MT車は、価格帯が上昇するとチラホラ現れてくる感じ。もし現実的な価格で、ポルシェを手に入れるとなると、AT車という選択は、もはやマスト。そこでAT車でも。掲載内容をしっかりとチェックしていくことにしました。

993で初採用されたティプトロニックSでは、フロアシフトでのマニュアルシフトではなく、ステアリングスポークの左右のスイッチのみでの操作となった(写真は996のコクピット)。

AT車であることを受け入れると、300万円前後の予算でも普段使いに問題なさそうなポルシェを手にできる可能性が高まってきます。しかもフラッグシップスポーツの911だって、996なら可能性有り。趣味程度だった中古車検索が本気の購入検討にシフトしてきたのは「AT車もあり」の決断が大きかったように思えます。

参考:MotorFan特選中古車検索(ポルシェ911・AT/2026年1月21)

ただ996は最終型でも2004年式。検討していた当時でも20年落ちのネオクラシックともいえる中古車です。イベント等で出会う古いポルシェといえば、エンスージアストな方が、しっかりとお金をかけて維持してきたピカピカのものばかり。そこから20年落ちの中古ポルシェの現実を見出すことは難しいでしょう。

ポルシェ911カレラ(996型後期)「ポルシェ911 40周年モデル」

だからこそ、気になる売り物があれば、実車確認をしてみたいという気持ちが高まってきました。それは、あまりにも修理代を含めた費用が掛かりそうならば、諦めるという選択も含まれていました。

あの日あの時あの場所でキミに出会わなかったら?

そんな気持ちで検索を続けていたときに某大手中古車検索サイトで気になったのが、サイト掲載当時、最安値の911でした。モデルは予想通り「996」。年式は、2001年式なので、特に不人気と呼ばれる前期型となります。グレードは最もスタンダードな「カレラ」で、トランスミッションもATでした。

ポルシェ911カレラ(996型/2001年)

基本的な内容を見ていくと、なんと走行距離は6万kmと少なめ。カラーは日本で人気が高いホワイト。さらに左ハンドル仕様でサンルーフ付き。しかもワンオーナー車ではないですか。最も驚きだったのは、車両価格が270万円ということでした。

ポルシェ911タルガ(996型後期)

内容から考えれば明らかに安い。しかも、写真から状態が良さそうな雰囲気を感じます。今やスマートフォンでも簡単に綺麗な写真が撮れますが、それでも印象が良い写真のクルマは実物も良いことが多いと個人的には思っています。ただ唯一気になったのが「新車並行車」という記載でした。

ポルシェ911カレラ(996型後期)「ポルシェ911 40周年モデル」

それでも運命のいたずらか、なんと売主は、日頃から付き合いのある中古車屋さんだったのです。普段はポルシェどころか、ドイツ車が店頭に並ぶことはほとんどないお店ですが、以前から愛車のメンテナンスでお付き合いがあり、中古車を購入したこともあります。店主の人柄も知っているので、見せてもらうことにしました。お付き合いもあるので、率直な意見も聞けますから。善は急げということで、まずは新車並行車の中古911とはどんなものなのか。見に出かけてみることにしました。
つづく……