完全なノーマル仕様ではないが、主な変更点は新しい強制吸気システムのみ

日産フェアレディZのV6ツインターボ「VR30DDTT」エンジンを搭載する、ダチア「サンドライダー」が、ダカールラリーの2026年大会で総合優勝を飾った。

市販車用パーツの開発において、その究極の性能ポテンシャルと耐久性をテストする最良の方法の一つは、モータースポーツへの参戦だ。レース中にレーシングマシンが受けるストレスの大きさを考えると、モータースポーツは自動車パーツを改良する最も効率的な方法の一つだからだ。

ル・マン24時間レースとそれに付随する世界耐久選手権、そして世界ラリー選手権への参戦は、非常に効果的なレースだ。しかし、パーツの性能を真に試したいのであれば、ダカールラリーよりも過酷なイベントは他にないと言われている。日産が世界に誇るスカイラインとフェアレディZが搭載する3.0L・60度V型6気筒ツインターボエンジン「VR30DDTT」はまさにそれを成し遂げ、高性能スポーツカーに最適なエンジンである理由を証明したのだ。

本来、日産が自ら参戦すべきかもしれないが、現在、日産は財政難に陥っており、ファクトリーレーシング活動を制限している。だからといって自社のハードウェアを他の用途に活用できないわけではない。

フランスのルノーは、この極めて過酷なレースは、主にヨーロッパで販売されている低価格帯の傘下ブランド「ダチア」にとって最適だと考えたようだ。

ダチアの車は長年にわたり、シンプルで信頼性の高い車として高い評価を得ており、ルノーはダカール・ラリーへの参戦こそが理想的な融合だと考えた。そして、WRCで9度のチャンピオンに輝いたセバスチャン・ローブや、ダカールで5度の優勝を誇るナセル・アル=アティヤといったドライバーを擁するなど、ルノーも積極的な姿勢を見せた。

ダチアは、スバルWRCやB・A・R・ホンダF1で名声を博したプロドライブ社に、ダスターベースのレーサーの設計・製造を委託。しかし、エンジンに関しては、ルノーは既に強力なV6エンジンの生産から撤退していたため、ダカールラリーには選択肢がほとんどなかったといえる。しかし、V6エンジンはダカールラリーに理想的だったのだ。

そして、ルノーは日産との緊密な関係を活かし、通常はZスポーツカーに搭載されている3.0LツインターボV6エンジン、VR30DDTTを採用した。

ダチアは2025年のダカールラリーに参戦する準備が整え、アル=アティヤを擁し、4位という最高成績を残したが、さらなる高みを目指した。さらに1年の開発期間を経て、ダチアは2026年初頭にサウジアラビアに戻り、再びダカールラリーに挑戦したのだ。

今回、アル=アティヤはラリーレイドの実力を発揮し、ダチアの2回目の挑戦でフォードのナニ・ローマにわずか9分強の差をつけて6度目のダカール優勝を果たした。

アル=アティヤを追う一番手として最も期待されたのは、トヨタ・ガズーレーシングW2RCのヘンク・ラテガン(トヨタDKR GRハイラックス)だった。しかし、数々のパンクやフロントガラスが粉砕されるアクシデント、サスペンションのトラブルなど、メカニカルトラブルに悩まされ、ステージ11でベアリングの破損で優勝の望みが断たれた。

ハイラックスを破っての優勝も、日産にとって非常に価値のあることだと思われる。

興味深いことに、ダチア・サンドライダーT1+のVR30DDTTは、日産Zに搭載されているものとほぼ同じものが採用されています。プロドライブ社は、標準エンジンが既に非常に頑丈であることを考慮し、主要な内部部品は純正のままにしている。サウジアラビアの砂漠の高温と過酷な走行条件にも十分耐えられると判断したためだ。完全なノーマル仕様ではなく、主な変更点は新しい強制吸気システムのみだったようだ。

Zのような高性能スポーツカーに搭載されるエンジンが、ダカールラリーの過酷なコースを制覇したという結果は、窮地の日産にとって非常に意味があり、復活へのきっかけとなることが期待される。