

2026年3月の第3土曜日に、それまでの『トミカ』の『No.82 トヨタ SORA』に代わって登場したのが『No.82 道路保安用品運搬トラック』です。道路保安用品運搬トラックとはその名の通り、各地の道路整備会社などで一般的に使用される、カラーコーンやフェンスといった、道路工事などの際に用いられる様々な保安用品を現場まで運搬するためのトラックで、特定の特殊車両を指すわけではありません。

ただし、今回の『No.82 道路保安用品運搬トラック』を見てみると、車両の後方に向けた標識装置が車体に固定されていることから、以前からよく『トミカ』でモデル化されてきた“標識車”のリニューアル版と考えても良いかもしれません。ここでは標識車として解説して行きましょう。


標識車とは、道路の清掃、工事、事故後の復旧作業などで車線規制をする際、荷台に取り付けた標識装置を使って通行車両に規制を知らせるための車両です。道路工事標識車や規制標識車、自走式標識車などと呼ばれる事もあります。車両の分類としては基本的には工事車両ですが、渋滞予告や前方の事故発生などを伝えるための後尾警戒車としても用いられます。このため走行中の一般車両が視認しやすいよう、車体は普通、警戒色の黄色で塗られていますが、町中の工事現場などで使われるものには白や青、あるいは赤などで塗られている車両もあります。また、標識車は、低速で走行するか、あるいは停止している事が多いので、荷台の後尾には追突された際のために衝撃吸収装置を装備しています。赤白のゼブラ模様が描かれた、後尾の四角い“張り出し”が、その衝撃吸収装置になります。今回の『No.82 道路保安用品運搬トラック』には衝撃吸収装置の張り出しは有りませんので、専用の標識車より、もっと広い目的に使用される運搬トラックとしてモデル化されたのでしょう。

さて、標識車の最大の特徴である標識装置は、黄色警光灯や回転幕タイプの標識板、LED式の標識板などが組み込まれており、これらは電気で表示や点灯されます。万が一、作業中に表示が消えてしまうと大きな事故につながりかねないため、常に標識装置を点灯点滅させ続ける必要がありますが、一般に、標識装置の電源としては、車両のエンジンで発電した電力を使用します。

しかし、これは標識装置の点灯点滅のために車両のエンジンのアイドリング(一般に、エンジンは掛かっているがアクセルを踏まずにいる状態)を行なうことになります。長時間のアイドリングは、CO2排出や騒音の問題といった周辺環境への悪影響に加え、ディーゼル微粒子捕集フィルター(DPF等)の詰まりや、エンジン負担による車両の短寿命化などの不具合を生じます。そこで近年では、標識に電力を供給する専用バッテリーと発電機を備え、それらの電源を自動制御するハイブリッド電源システムを搭載している環境配慮型多電源標識車が登場しています。また、多目的道路維持作業車と呼ばれるスノープラウや小型薬剤散布装置の着脱が可能なものやトイレを装備したダイバーシティ標識車、飛散防止収納付きの道路維持作業車といった様々なタイプの標識車があります。

なお、標識車は他の特殊車両などのように、トラック(生産車)に標識装置を架装することで作られますが、名古屋電機工業や森尾電機などが標識車の有力なメーカーとして知られています。また、いくつかの標識車は、中日本高速オートサービスや西日本高速道路エンジニアリング関西といった、高速道路の維持管理のための車両管理を行なう会社との共同開発車となっています。ベース車は様々で、軽トラックや軽ワゴンから4トン・トラックまで幅広い車両が使用されています。

『トミカ』の『No.82 道路保安用品運搬トラック』は、どうやら資材運搬機能を備えた標識車をモデル化しているものと思われます。車体は特に「どこのメーカーの車両」と言うわけではなく、『No.80 プロパンガス配送車』や『No.87 散水車』などと同様、各自動車メーカーの小型トラックを想定した『トミカ』のオリジナル車両が用いられています。強いてモデル車両と言うと、『トミカ』のお兄さんとも言える『トミカプレミアム』シリーズの『tomicaトランスポーター』(各2640円・税込)にラインアップされているオリジナル・デザインのトランスポーター・トラックになります。

小型トラックとは、全長4.7m以下、全幅1.7m以下、最大積載量2000kg以下、車両総重量5000kg以下のトラックで、いすゞ エルフ、三菱ふそう キャンター、日野 デュトロ、トヨタ ダイナといった車種が該当します。街中での配送や小規模事業での利用に向いており、多くは普通免許(8t限定中型)で運転可能です。小型トラックは、普通免許で運転できる手軽さ、市街地での優れた取り回し、高い積載能力(軽トラックの約5倍)、多様な架装への対応力が主なメリットですが、その上のクラスの中型トラックに比べると積載効率はやや劣ることや、積載重量によっては準中型免許が必要になる場合があること、積み下ろしの頻度によってはパワーゲートなどの装備が求められます。総じて、小型トラックは利便性と実用性のバランスに優れ、幅広い業務に対応できる重要な車両区分といえます。
『トミカ』の『No.82 道路保安用品運搬トラック』は、一般に高速道路や町中で見られる標識車兼用運搬トラックの特徴をうまく捉えて再現しています。また、アオリの開閉、荷台に備えられた標識の昇降など、動きのある楽しいモデルにもなっています。ぜひコレクションに加えたい1台ですね。
■いすゞ 6代目 エルフ 4トン ワイドキャブ ロングボディ フルフラットロー 2WDスムーサーEx(6速) アルミアオリ 主要諸元(『トミカ』の規格と同一ではありません)
全長×全幅×全高(mm):6140×2170×2265
ホイールベース(mm):3395
トレッド(前/後・mm) :1395/1425
車両重量(kg):2820
エンジン:4JZ1-TCS型直列4気筒DOHCディーゼル インタークーラー付き2ステージターボ
排気量(cc):2999
最高出力: 110kW(150ps)/2800rpm
最大トルク:375Nm(38.2kgm)/1400-2800rpm
トランスミッション:6速AT
サスペンション(前/後):インデペンデント/リーフリジッド
ブレーキ(前/後) :ディスク/ドラム
タイヤ:(前後)215/70R17.5
■毎月第3土曜日はトミカの日!

毎月第3土曜日は新しいトミカの発売日です。2026年2月の第3土曜日には、上で紹介したように、それまでの『No.82 トヨタ SORA』に替わって『No.82 道路保安用品運搬トラック』が登場します。また、『No.43 ホンダNSX』に代わって『No.43 ランボルギーニ テメラリオ』が登場します。『No.43 ランボルギーニ テメラリオ』には、初回出荷のみの特別仕様(特別色)もあります。

