珍しい観音開きドア&後部座席はすべて着脱可能なグランカングー

グランカングーもリフターロングも、全長4.4mほどとなる標準モデルのボディをストレッチして7人乗りとしたMPV(マルチパーパスビークル)だ。両車のボディサイズを比べると、全長はグランカングーの方が150mm長く、ホイールベースは125mm長い。

それにより、最小回転半径はグランカングーの6.2mに対して、リフターロングは5.8mだ。3列目シートの空間は同じくらいだが、2列目は全長が長いカングーが広く、最大荷室容量はグランカングーの3050リットルに対して、リフターロングは2693リットルとなる。

両車に共通するのは、後席の5座はすべて独立シートとなりシートサイズも大きめである点だ。ただし細かなシート機能は異なる。

グランカングーはすべてのシートにスライド&タンブル機構が備わるのに対し、リフターロングは3列目シートにのみスライド機構が備わり、2列目シートは位置固定となるが前方へ低くフォールダウンさせられる。また、グランカングーは後席の5座すべてが着脱できるが、リフターロングは着脱できるシートが3列目のみだ。

しかしリフターロングの助手席には、水平位置まで倒せるギミックが備わるため、3m超の長尺物も積み込める美点がある。

違いはリアハッチにも見られる。グランカングーは観音開きの“ダブルバックドア”。対するリフターロングはハッチの上部だけを開放できる“リヤオープニングガラスハッチ”を採用。狭い場所でリヤハッチを全開放せずとも荷物の積み下ろしができる点は共通だ。

加えて、グランカングーのボディカラーはベージュサハラの1色のみだが、リフターロングはアイシー・ホワイト、ペルラ・ネラ・ブラック、シルカ・グリーンの3色から選べる。

ルノー グランカングー クルール
ボディサイズ=全長4910mm×全幅1860mm×全高1810mm
ホイールベース=3100mm
車両重量=1690kg
タイヤサイズ=205/60R16(前後)

プジョー リフター ロングGT
ボディサイズ=全長4760mm×全幅1850mm×全高1875mm
ホイールベース=2975mm
車両重量=1700kg
タイヤサイズ=215/60R17(前後)

リフターロングは燃料代が安いディーゼルエンジン! 燃費性能も良好

グランカングーのパワートレインは、標準モデルと同じ1.3L の直列4気筒ガソリンターボエンジンを搭載する。対するリフターロングも標準モデルと共通の直列4気筒ディーゼルターボエンジンだが、トルクに余裕があるためか標準リフターより70kgほど重くなっているにもかかわらず燃費性能の低下はない。

両者のWLTCモード平均燃費は、グランカングーがハイオクガソリンで14.7km/L(クルール)に対し、リフターロングは18.1km/Lであるうえ使用燃料は単価が安い軽油だ。ランニングコストの比較ではリフターロングがグランカングーを圧倒する。

リフターロングのディーゼルエンジンに最大トルク値では劣るものの、極低回転から最大トルクを発揮できるグランカングーのガソリンエンジンの性能は必要十分。エンジン単体重量が軽いこともあって、大柄な見た目にもかかわらずステアリング操作に対してノーズは反応よく追従してくれる。

なお、両者のトランスミッションは、グランカングーが湿式クラッチの7速DCT(デュアルクラッチトランスミッション)、リフターロングはアイシン製の8速ATだ。

湿式クラッチDCTは乾式に比べて高耐久だが、とくにフル乗車時の発進加速の際は変速機保護のため、クラッチが完全につながるまで過度にアクセルペダルを踏み込むことは避けたい。パワートレインの無理が利くのはリフターロングの方と言えるかもしれない。

ルノー グランカングー クルール
エンジン形式=直列4気筒ガソリンターボエンジン
排気量=1333cc
最高出力=131ps/5000rpm
最大トルク=240Nm/1600rpm
トランスミッション=7速DCT
駆動方式=2WD(FF)

プジョー リフター ロングGT
エンジン形式=直列4気筒ディーゼルターボエンジン
排気量=1498cc
最高出力=130ps/3750rpm
最大トルク=300Nm/1750rpm
トランスミッション=8速AT
駆動方式=2WD(FF)

広い室内空間のグランカングー vs 動力性能に優れるリフターロング

グランカングーの特別仕様車“クルール”の新車価格は459万円、リフターの“ロングGT”が483万円だ。

商用バンベースのMPVとはいえ、両者にはオートエアコンやディスプレイオーディオ、アダプティブクルーズコントロールは備わるため不便はない。横滑り防止装置と4輪独立のブレーキ制御を駆使した高度なトラクションコントロールも両車に搭載される。ただし、スライドドアの開閉はどちらも手動である点には注意が必要だ。

価格が高いぶん、リフターロングにはステアリングヒーターが標準装備となるなど快適装備がやや充実している。加えて、プジョーの“i-Cockpit”デザインを採用したインパネデザインはスポーティな雰囲気にまとめられているうえ、ドライブモード等の選択幅も広い。

価格が安いグランカングーのホイールは“鉄チン(スチールホイール)”だが、カングーのキャラクターによくマッチしたチョイスと言えるだろう。しかしインテリアデザインは決して安っぽい印象はなく、リフターロングよりも落ち着いた雰囲気だ。

なかでもシートギミックはそれぞれの個性が光る。パワートレインを除けば両者に大きなスペック差はないと言ってよいだろう。リフターロングと基本構造を共有するフィアット ドブロ マキシ/シトロエン ベルランゴ ロングマックスを含め、内外装の好みだけで選んでも後悔しないはずだ。

車両本体価格

ルノー グランカングー クルール:459万円

プジョー リフター ロングGT:483万円