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編集部員がリアルに寝てみた!【車中泊テスト】

 “広さは正義”を体感したグランカングーの車中泊性能

街で見かけるだけで、なんだかオシャレ。そんな独特の空気感を持っているのがルノー・カングー。フランス生まれのMPVでありながら、“働くクルマ”っぽい実用性と、“遊び道具”のような趣味性を絶妙に両立しているのが人気の理由。キャンプやアウトドア好きから支持されているのも納得である。

今回車中泊の相棒として借り出したのは、そのロング版となる「RENAULT GRAND KANGOO Couleur(ルノー・グランカングー クルール)」。特別仕様車“クルール”シリーズならではの専用色「ベージュサハラ」をまとった1台だ。サハラ砂漠の砂をイメージしたというカラーは、アウトドアシーンとの相性が抜群。キャンプ場に置いてあるだけでも雰囲気がある。

ちなみに現在のクルールシリーズは、ランスの郵便局車両をイメージした鮮やかなイエロー「ジョン ラ・ポスト」、パリのキオスクや公園ベンチをモチーフにした深いグリーン「ヴェール パリ」が設定されている。どれも“フランスの日常”を感じさせるカラーなのが実にルノーらしい。

そんなグランカングー、通常カングーとの最大の違いはやはりサイズだ。全長は通常モデル比で420mm長い4910mm、ホイールベースも390mm延長。数字だけ見るとかなり大きく感じるが、この延長分がとにかく効いている。

そして車中泊の快適性を左右する室内は、とにかく広い。さらにグランカングー最大の武器ともいえるのが、圧倒的なシートアレンジ性だ。2列目&3列目シートは、背もたれの前倒しだけでなく、跳ね上げ式のダブルフォールディング格納、さらには取り外しまで可能。まさに“道具として使い倒せるクルマ”らしい構造になっている。

実際に2列目&3列目シートをすべて取り外すと、奥行き2280mmのほぼフラットなスペースが出現。これが最強の車中泊スタイルなのは間違いない。ただ今回は、3列目シートのみを取り外し、2列目シートを跳ね上げてダブルフォールディング格納するスタイルで就寝スペースを確保した。

それでも奥行きは約1850mmを確保。身長172cmの著者であれば、足を伸ばして余裕で寝られる広さだ。そこへ空気を入れて膨らませるインフレーターマットを敷いて就寝スペースをつくったのだが、これが想像以上に快適。横幅にも十分な余裕があり、大人ひとりならかなり贅沢に使える。しかも室内高1200mmという高さがあるため、車内で着替えたり荷物整理したりする際も圧迫感がない。

車中泊で意外と重要なのが、“天井の余裕”だ。横になったときの広さだけでなく、車内で座って過ごせる快適性は満足度にかなり直結する。その点、グランカングーは本当に優秀。座った状態でも窮屈感が少なく、まるで小さな秘密基地のような感覚で過ごせる。

しかも床面がかなりフラットなので、寝心地も良好。今回はインフレーターマットを使用したが、凸凹感や傾斜が少なく、朝までかなり快適に眠れた。……いや、正確には寒くて途中で起きた。今回泊まったのは標高高めのオートキャンプ場。4月とはいえ夜はかなり冷え込み、夏用シュラフでは完全に役不足だった。寝心地の問題ではなく、完全に装備選択ミスである。

ただ、車中泊前提で使うなら、最初に3列目シートだけでも外しておくのがおすすめ。グランカングーの2列目&3列目シートは脱着可能だが、初めてだと結構戸惑う。説明書を見ながら作業したものの、最初の一脚を外すまでがかなり大変だった。キャンプ場でいきなり外す作業は、正直戸惑ってしまうかもしれない。

とはいえ、ロック位置や解除方法さえ理解してしまえば、その後の作業はスムーズ。一度経験しておけば難しい作業ではない。ただし注意したいのはシート重量。1脚20kgを超えるため、油断すると普通に腰をやる。勢いだけで持ち上げるのは危険だ。

そして改めて便利だと感じたのが、カングー伝統の“ダブルバックドア”。一般的な跳ね上げ式バックドアと違い、左右に開く観音開きスタイルなので、狭い場所でも荷物の積み下ろしがしやすい。キャンプ場や立体駐車場など、後方スペースが限られる場面ではかなり助かる。

シートアレンジのパターンは1024通り!?

グランカングーの2列目&3列目シートは、130mmの前後スライド機能に加え、背もたれの前倒し、そこから跳ね上げ式のダブルフォールディング、さらには取り外しまでが個別で可能。そのシートアレンジパターンは、なんと1024通りにも及ぶ。すべてを比較するのはかなり骨が折れるので、スタンダードなパターンを比較してみたのが下の写真だ。

天井高は1200mm。座った状態であればもちろん頭をぶつける心配がなく、車中泊でありがちな朝起きたときにゴツん! ということもなし。着替えも楽々できるのがうれしい。


2列目&3列目シートを外したときの最大積載量は3050ℓ

3列目シートを外した際のラゲッジ積載量はカタログ値で1340ℓ。ソロ車中泊で必要なアウトドアギアであれば、付属する巻取り式のロールアップ式トノカバーで隠しても余裕があるほど。5人乗車でファミリーキャンプの荷物をすべて積み込むことだってできそう。ただスペースが広い分、荷物をしっかり固定しないと走行中にガタガタしてしまうので、コンテナボックス等を使って整理したり、ベルトで固定するといった対策が必要そう。

グランカングーの特徴でもあるダブルバックドアは、日本仕様だけに採用されている。全長が長い分、後方のスペースが狭い場所でも荷物の出し入れしやすいのはうれしい。


ロングボディなのに驚くほど軽快!東京~群馬200kmドライブで感じた“走りの完成度”

今回の車中泊旅では、東京から群馬県のキャンプ場まで約200kmを走行。正直、乗る前は「大きいし、かなりモッサリした走りなのかな?」と思っていた。しかし、いい意味で完全に裏切られた。

まず驚いたのが加速フィール。搭載される1.3Lガソリンターボ+7速ATの組み合わせは非常にスムーズで、アクセルを踏み込んだときの反応が自然。大柄なボディを無理やり動かしている感じがなく、スーッと速度が乗っていく。

高速道路での合流や追い越しでもストレスが少なく、山道の登り区間でもパワー不足感はほぼなし。キャンプ道具を積んでいても不満は感じにくそうだ。

さらに印象的だったのが安定感。全長4910mm、ホイールベース3100mmというサイズからすると取り回しに不安を感じそうだが、実際はかなり運転しやすい。もちろん最小回転半径6.2mなので小回り最強とは言えないが、視界が広く、着座位置も高めなので車両感覚はつかみやすい。

そしてロングホイールベース化の恩恵は、高速巡航時にかなり効いている。直進安定性が高く、長距離移動が本当にラク。背の高いボディなので横風やフラつきを少し覚悟していたが、実際にはかなり落ち着いた乗り味だった。

ただ唯一気になったのは後方視界。ダブルバックドアを採用しているためルームミラー越しの確認は少し独特で、久しぶりにこのタイプのクルマを運転したこともあり、最初は少し戸惑った。ただこれは慣れの問題だろうし、最近ならデジタルインナーミラー化という手もある。そこまで大きな弱点には感じなかった。

グランカングーは単なる“大きなカングー”ではない。通常カングーの魅力である使い勝手や遊び感覚はそのままに、“人も荷物も余裕で飲み込める旅グルマ”へと進化した1台だった。

そして実際に車中泊をして感じたのは、このクルマは「車中泊できますよ」というレベルではなく、“ちゃんと快適に泊まれるクルマ”だということ。広さだけではなく、積み下ろしのしやすさ、室内の使いやすさ、そして長距離移動の快適さまで含めて、アウトドア好きに刺さる理由がよくわかった。

気軽なデイキャンプから本格的な旅まで。グランカングーは、“移動を楽しむ”というクルマ本来の魅力を、改めて思い出させてくれた。


ロングボディならではのゆとりある空間、内外装をチェック

エンジンは1.3L直4ターボを搭載。最高出力131PS、最大トルク240Nmで、高速道路や山道の登り区間などでもストレスなく走れる。
グランカングーに標準装備されるのがミシュランのオールシーズンタイヤ。高速道路の冬用タイヤ規制時でもそのまま対応できる。
水平基調で視界も広く確保されているインパネまわりは、カングーとグランカングー共通。8インチ マルチメディアEAY LINKはスマートフォンとのミラーリング機能を搭載する。

グランカングーとカングーの違いをスペック比較

※ディーゼルエンジンモデルの車両本体価格は449万円。

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