Lamborghini Revuelto SV
レヴエルトの正常進化型として

世界中のカーエンスージアストから、毎年熱い視線を集めるアメリカのカリフォルニア州モントレーを中心に開催される、モントレー・カーウィーク。その幕開けを飾るエクスクルーシブなイベント、「ザ・クエイル・ア・モータースポーツ・ギャザリング」で、ランボルギーニは今年もきわめて魅力的な2台の限定車を世界初公開した。
ひとつは同社にとって初のV型12気筒ミドシップ車となった「ミウラ」の生誕60周年を記念して、ランボルギーニのパーソナリゼーション部門であるアド・ペルソナムと、デザイン部門のチェントロ・スティーレが「レヴエルト」をベースに共同開発した、99台の限定生産を計画する「レヴエルト ミウラ 60°オマージュ」。そしてもう1台がレヴエルトのパフォーマンスをさらに高めた正常進化型ともいえる1963台の限定車「レヴエルト SV」だ。
「スーパー・ヴェローチェ」を意味する「SV」の称号が、ランボルギーニにとっていかに大きな価値を持つものであるのかは、これまでに誕生したSVモデルの変遷を知る者には容易に想像できるところだろう。その始まりは今から55年前、1971年にミウラの最終進化型として誕生した「ミウラSV」。その後1996年には「ディアブロSV」、2009年に「ムルシエラゴ LP640-4 SV」そして2015年になると「アヴェンタドール LP750-4 SV」が登場し、SVの血統は確実に受け継がれてきた。ちなみにムルシエラゴ LP640-4 SVは350台の限定生産車、アヴェンタドール LP750-4 SVは600台のクーペに加えて、500台のロードスターが限定生産されている。
コンセプトは「劇的な大躍進」

今回発表されたレヴエルト SVに掲げられた1963台という限定数は、ランボルギーニの創業年である1963年に敬意を表したものだ。レヴエルトがロードスターボディを持たないこと、そして前作から10年という時間の流れの中で、ランボルギーニがいかに大きな成長を遂げたのかを考えれば、この数字はまずは適切な選択と考えてよいだろう。当然のことながら発表時点で、この1963台のほとんどにはオーナーが決定していることは確実だ。
さっそくレヴエルト SVの詳細に迫っていこう。その開発コンセプトとして掲げられた言葉は「The Quantum of Driving」。Quantumとはそもそも物理学において量子を示す言葉だが、英語ではQuantum Leapというフレーズもまた一般的だ。それが意味するのは「劇的な大躍進」、あるいは「飛躍的な進化」といったところだろうか。ランボルギーニは、レヴエルト SVのドライビング体験を、スタンダードなレヴエルトとはまったく異なる次元へと変貌させることを、何よりも強く意識していたのだ。
レヴエルト比80%増のダウンフォース

レヴエルト SVがより走りに特化したモデルであることは、さらにダイナミックで刺激的な姿へと変貌したボディデザインにも明確に表れている。それはもちろんエアロダイナミクスをさらに最適化するためのもので、フロントスプリッターとアンダーボディは、最大限のパフォーマンスを発揮するようにデザインされ、フロントバンパーにフィットされるフィンはボディサイドのエアフローをさらに理想化。サイドクーラーへと効率的に導かれるエアによって、より高い冷却効果が実現している。
さらにランボルギーニはダウンフォースの前後バランスを前方寄りに見直すことで、コーナリング性能の向上にも大きな効果を生み出すことに成功した。トータルのダウンフォース量はレヴエルト比で80%増という数字にまで達している。ダウンフォースとドラッグから計算される空力効率は60%も改善され、さらにはブレーキの冷却性能も同様の比較において12%の向上を果たすことになった。
大幅に強化された電気モーターとバッテリー

パワーユニットの基本的な構成は、レヴエルトのそれと変わらない。すなわち「L545」型と呼ばれる6498ccのV型12気筒DOHC自然吸気エンジンを核として、その後方に横置きされた8速DCTの上部にラジアルフラックス式エレクトリックモーターを配置。さらにフロントアクスルには2基のアキシャルフラックス式エレクトリックモーターを組み合わせるという構成だ。
V型12気筒エンジンの最高出力は825PSと、レヴエルトのそれから変化はないが、合計3基のエレクトリックモーターが発揮する最高出力は190PSから295PSへと大幅に強化されている。また搭載されるリチウムイオンバッテリーの容量も、レヴエルトが3.8kWhだったのに対して、SVでは7.3kWhへと増加。
ちなみにこのバッテリーシステムは、レヴエルト比で最大で4倍もの性能安定性を持ち、いかなる走行環境下でも安定した出力性能を実現するという。システム全体の最高出力、そして最大トルクは1065PS、1425Nm。これは最高出力ではレヴエルトより50PS高い数字だ。
制御システムに6Dセンサーを搭載

パワートレインはもちろんのこと、レヴエルト SVはそのシャシーでも多くのトピックスを秘めている。GT3レーシングカーにも使用される、4ウェイの手動調節式ダンパーを採用したサスペンションは、オンロードでもサーキットでも常に最適化されたダンピングを約束し、ドライバーはダイレクトかつ安全に、レヴエルト SVのパフォーマンスを妥協なく味わうことが可能だという。
ブレーキシステムにも、新たに新型のCCM-R Plus カーボンセラミックブレーキが採用された。これによって200km/hから完全停止までの制動距離はわずか110mにまで短縮され、またブレーキのコントロール性も大幅に向上した。このブレーキシステムは常にリアルタイムで監視され、コーナリング時などでの車両の動きをより高精度で把握できるようになった。総合制御システムの中核として、新たに車両の重心近くに6Dセンサーを搭載しているのも特長だ。前後のホイールはSV専用の「3D-Superlight Dromos」。フロントに20インチ、リヤに21インチ径を設定し、組み合わせられるタイヤの中には、ブリヂストンによって専用開発されたセミスリックの「Potenza Race R」もある。
新ドライビングモード「Pilota」

エクステリアと同様に、こちらもよりシャープで機能的な雰囲気に変化したキャビンに身を委ねると、レヴエルト SVのオーナーがまず気づくのはカーボンファイバーシェル構造を採用したスポーツシートの優れたサポート性だろう。ランボルギーニはさらにオプションでモノコックカーボンファイバー製のレーシングシートを設定。もちろんオーナーはキャビンをより個性的に演出するため、12色のコントラストレザーカラーなどを選択することもできる。メーターディスプレイの仕様もSV独自のもの。ステアリングホイールの右側には、このSVで新採用されたドライビングモード「Pilota」をチョイスするためのロータリーノブもレイアウトされ、5段階の専用トラクションコントロールシステムの設定など、きわめて高度なドライビングセッティングの使い分けが可能となっている。
最高速で345km/h、0-100km/hを2.4秒で、また0-200km/h加速を6.7秒でこなすレヴエルト SV。PHEVのシステムを持つ(ランボルギーニはそれをHPEVと呼ぶが)このニューモデルは、前でも触れたとおりリチウムイオンバッテリーの搭載量も増加しているから、おそらくゼロエミッションのEV走行が可能な距離も、レヴエルトに対して大きなエクストラが得られているに違いない。それはただ単にレヴエルトの進化型というのではなく、ランボルギーニがこれから進むべき技術革新の方向性を、明確に示したモデルとも考えられるのではないか。

