ジャパンモビリティショー2023にて、レクサスLF-ZCとサイモン・ハンフリーズ チーフ ブランディング オフィサー。

次世代BEVの高性能版

レクサスLF-ZC

レクサスがジャパンモビリティショー2023年で発表したコンセプトモデルは、LF-ZCと近未来のフラッグシップ、LF-ZLだ。まず注目したいのは、LF-ZCだ。
ポイントは
・2026年導入
・次世代EVプラットフォームを採用(ギガキャストの採用)
・新しいソフトウェアプラットフォーム「AreneOS」搭載
・次世代電池パフォーマンス版(角形)を採用
・航続距離1000km
・駆動方式はDIRECT4(AWD)
・CD値0.2以下の空力性能

である。

まずは、2026年導入だ。ボディサイズを見ると、Dセグ・セダンのカテゴリーに属する。

タイヤは245/45ZR20を履いていた

レクサスLF-ZCコンセプト
全長×全幅×全高:4750mm×1880mm×1390mm
ホイールベース:2890mm
航続距離:1000km

BMW i3(3シリーズのBEV)
全長×全幅×全高:4872mm×1846mm×1481mm
ホイールベース:2966mm
航続距離:592km
LF-ZCの目標スペックがいかに野心的かわかる。短いホイールベースの間にハイト(高さ)の低い次世代電池パフォーマンス版を搭載することで、圧倒的な航続距離を実現する目論みだ。

BMW i3は3シリーズの中国向けロングホイールベース仕様がベースで、主要市場は中国である。

レクサスLF-ZCが中国マーケットを強く意識しているのは、航続距離が「CLTCモード」になっていることからもわかる。CLTCは中国の乗用車テストサイクルだ。

次世代BEVプラットフォームを採用

トヨタJMSプロローグ2023で展示されたギガキャスト(リヤ。bZ4Xの場合を想定したもの)

レクサスLF-ZCは、次世代BEV専用プラットフォームを使う。現行のbZ4XやレクサスRZは、e-TNGAを使っているが、LF-ZCではそこから刷新する。

ポイントは、車体をフロント/センター/リヤに3分割した新モジュール構造「ギガキャスト」を採用すること。

アルミ合金の大型一体鋳造技術を研究開発しているトヨタ。それがギガキャストだ。これをLF-ZCでは前後に使う。

これまでの「トヨタ・テクニカルワークショップ2023」「トヨタ・モノづくりワークショップ2023」「トヨタJMSプロローグ2023」の会場でもリヤのギヤキャスト(bZ4Xのリヤをギガキャストで作った場合のもの)しか公開していない。技術的にはリヤよりもフロント部分のギガキャストの方が難しいというから、すでにフロント部分のギガキャストも技術的に目処が立っている、ということなのだろう。

ギガキャストがトヨタの次世代BEVのボディ構造を変える!どんな技術なのか?

トヨタは、TOYOTA TECHNICAL WORKSHOP2023でさまざまな新技術・先行開発を披露した。そのなかで次世代電池と並んでひときわ注目を浴びたのが「ギガキャスト」である。「クルマ屋が考える最適形状を高い生産性の一体成形で実現」するアルミダイカスト技術だ。 TEXT:鈴木慎一(SUZUKI Shin-ichi)

https://motor-fan.jp/mf/article/145116/

ギガキャストを使うことで締結部が低減でき剛性を上げることができる。操作に対してリニアで自然なフィーリングが実現できるという。

電池はボディセンター部に搭載する。そうすることでフロント/リヤは構造上の影響を受けず電池の進化を素早く車両に取り込むことができる。

生産工程でも組立中のクルマが自走し次の工程へ移動する「自走組立ライン」が実際に動き出すわけだ。

トヨタが描く「未来の工場」とは? 工程と工場投資の1/2の鍵は新モジュール構造と自走生産にあり【トヨタモノづくりワークショップ2023_5】

トヨタ自動車は「トヨタモノづくりワークショップ」を開き、6月の「トヨタ テクニカルワークショップ」で公開した将来技術を具現化する“モノづくり”の現場を公開した。元町工場(愛知県豊田市元町)にある大きな建屋の一角には、2026年の導入を目指して開発を進めている次世代BEV(電気自動車)の生産実証ラインが設けられている。次世代BEVを生産するラインは、新モジュール構造と自走生産を行なうことなどで、工程と工場投資の1/2(2分の1)を目指すという。 TEXT:世良耕太(SERA Kota) PHOTO & FIGURE:TOYOTA

https://motor-fan.jp/mf/article/166523/

次世代パフーマンス版電池を使う

トヨタは、次世代電池を数種類開発している。

左から、現世代電池(bZ4Xが搭載)、次世代パフォーマンス版、次世代普及版バイポーラ型、パフォーマンスとバイポーラ型の融合、そして右端が全固体電池だ。現世代と全固体電池以外は、画像処理により見えなくなっている(トヨタ・テクニカルワークショップ2023no
現場ではもちろん、見ることができたが)。
次世代電池の進化の方向を示した図。

現行のbZ4Xが使っている電池から
・次世代パフォーマンス版(角形)
・次世代普及版(バイポーラ型:LFP系)

その先に、
・次世代パフォーマンス版のバイポーラ型があり、
その次が
・「全固体電池」というロードマップになっている。今回LF-ZCに使うのは、「次世代パフォーマンス版(角形)」である。この電池は、バッテリー端子を横に配置することで電池のハイト(高さ)を抑えることができる。もちろん、電池の材料もbZ4Xから進化している。電池の高さを抑えつつもエネルギー密度を高めたことで、航続距離1000kmが実現できるわけだ。

次世代電池パフォーマンス版の低ハイト仕様
こちらは、少しハイトの高い(その分、電池容量も大きくなる)仕様
トヨタのBEV 航続距離1000kmの全固体電池は2027-28年。それまでに3種類も次世代電池が用意されているとは!

各社が鎬を削る次世代電池開発。当面のゴールは全固体電池だが、トヨタはその手前の「次世代電池」として3種類もの電池を準備している。急速充電時間10分、EV航続距離1000kmは技術的に見えているのだ。 TEXT:世良耕太(SERA Kota)

https://motor-fan.jp/mf/article/145404/

駆動は前後モーターによるAWD。それも前後のトルク配分を最適に制御するDirect4を採用する。操舵は、ステア・バイ・ワイヤーだ。

「Bamboo CMF Concept」を採用

レクサスの目指すサステナビリティの考え方の表現としてシグネチャーマテリアルにBambooを選定。成長が早く、CO₂吸収量が多いなどの機能性の高さと美しさを両立している。

デザインテーマは「Provocative Simplicity 」

LF-ZCは、挑発的な存在感と研ぎ澄まされたシンプルなデザインを目指し、レクサスの独自性を発展させた。空力性能の目標はCD値0.2。BEVならでは機能/構造をデザインの特徴とすることで、低重心で凝縮感のある美しいフォルムを実現している。

すべてのコンポーネントをコンパクト化することで、低重心で凝縮感のあるフォルムと伸びやかな室内空間を両立。低いフードから連続するスリークなシルエット、後方に絞り込んだキャビンで高い空力性能とワイドスタンスと追求。

BEV Digitalized Intelligent Cockpit 

「Eyes on the road(常に路面を注視している状態)」を追求し、ヘッドアップディスプレイと同じ原理でフロントウィンドウに情報を映し出す遠視点メーターを採用したほか、車体の両サイドにデジタルミラーを搭載。
助手席前の大型モニターはエンターテインメントや多彩なアプリの拡張ができるオープンプラットフォームとして、モビリティの未来の可能性を拡げた。

全高は1390mmと高くないが、低ハイトバッテリーの採用で、前席乗員を前方に低く着座させることができる。その結果、室内空間は広く、フルフラットなフロアやパノラマルーフによる頭上の広がりで、外観からは想像できない開放的なインテリアデザインを実現している。

従来のコックピットでは広い範囲に散らばっていた各種の操作機能をステアリング両サイドのデジタルパッドにすべて内蔵。シフトやドライブモードセレクターなどの車両に関する操作系は左のデジタルパッドの中に、音楽やエアコン、電話やAIからの提案に対する応答などの快適装備系は右のデジタルパッドに格納する。

レクサスLF-ZC
全長×全幅×全高:4750mm×1880mm×1390mm
ホイールベース:2890mm
航続距離:1000km(CLTCモードによる目標値)
CD値:0.2以下(目標値)