履き比べて分かるNANKANGスポーツタイヤの実力
輸入タイヤの中でも特に日本で人気の高いメーカーが、台湾に拠点を抱える『ナンカン』。1959年に創業してから、日本市場を意識したタイヤ開発を行なう企業として知られており、コストパフォーマンスの優れたタイヤをラインナップしている。

今回は、そんなナンカンから発売されているハイグリップタイヤをフォーカスを当てたい。というのも、同社のスポーツタイヤには、CR-S、AR-1、NS-2R(TW120とTW80)の3銘柄があり、日本への輸入を手掛けているオートウェイのHPでは、NS-2RのTW120を除き、どれもドライ性能は10段階評価で最高の10(NS-2RのTW120はドライ性能9)と表記されているからだ。
つまり、どれも最高のドライ性能…という評価になるわけだが、より具体的なキャラクターの違いを導き出そうというのが、今回のサーキットテストの趣旨だ。なお、3銘柄の価格はCR-Sが最も高く、NS-2R(TW120)の約2倍。中間がAR-1で、ややNS-2Rに近い設定という位置付けだ。

テストは筑波サーキット・コース2000を占有し、おなじみ飯田アキラ選手がドライバーを担当。晴天のドライ路面の中、CR-S、AR-1、NS-2R(TW120)を履き比べてタイムアタックを行ないつつ、それぞれのタイヤが持つ特性をインプレッションしてもらった。

テストに使用した車両は、ガレージヤマゴウのGR86。吸排気+ECUチューンに、スピリット製のオリジナル車高調や、ウインマックス製のビッグキャリパー&ローターを装着したユーザーライクな仕様。
タイヤは全銘柄265/35−18で、ホイールはエンケイ『レーシングレボリューションNT03RR』のサイズ9.5Jプラス46×18インチで統一。空気圧は冷間時に1.6キロで、温間時で1.8キロになるよう調整した。
NS-2R 1万6600円/本:1分5秒615

まずはNS-2Rから。センターに縦溝があり、両サイドの斜めの溝も多いため、ウエット性能はオートウェイのHPで9の評価。ブロックパターンも連続していてブロック剛性は高そうだ。今回はTW120でテストを行なった。

「乗り心地も良いし、ハンドルを切った時もちょっとダルさみたいなものがあって、グリップ力もちょっと落ちるのかなぁ…と思ったんだけど、攻めてみたらそんなことはなかった。しっかりグリップさせるゴムを使っているみたいで、タイヤ全体の強さと固さがバランス良くまとまっているね。いろんな乗り方をした時に素直に答えてくれるタイヤで、扱いやすくオールマイティ。タイヤの限界もゆったりしているので、リカバリーしやすく安心感がある。ストリートからサーキットまで走りたい人や、初心者の人にお薦めしたいタイヤだね」。
AR-1 2万820円/本:1分5秒048

続いてAR-1。縦溝が無く、斜めのパターンだけで構成されたトレッド面。見た目だけなら一番グリップしそうな雰囲気を持っている。トレッドウェアも80とかなり低い数値で、かなり柔らかいコンパウンドを使用しているのが特徴だ。

「CR-Sとグリップ力のピークはほぼ同じなんだけど、少しゴムが動くというか柔らかさを感じる。リヤタイヤがグリップしているからなんだろうけど、サスのセッティングを変えないままだとアンダーが強くなってタイムが伸びなかった。ただ、熱の入りは良いので、タイヤの前後バランスに合わせてサスペンションをセッティングできる人だったら、サーキットだけでなく、ジムカーナにも向いているタイヤだと思うよ」。
CR-S 3万3620円/本:1分3秒342

最後は今回テストした3種のタイヤの中で最も高価なCR-S。イン・アウト指定があり写真の右側がアウト側になる。3本の縦溝がウエット時の排水性を確保し、ドライの時はアウト側の広く連続したトレッド面で剛性感を高めつつ、グリップ力を稼ぐデザインになっている。

「グリップ力のピークはAR-1と大きく変わらないけど、トレッドの強さや、レスポンスや路面の追従性は、見た目と違ってCR-Sの方が圧倒的に高かった。ただ、ピークが高い分、限界を超えると前後バランスが砕けてしまう感じが強いですね。それと、熱が入りにくいので、ウォームアップに時間が掛かります。この辺りの“見極め”ができる、タイムアタックをする人に向いているタイヤですね」。

ちなみにこのCR-S、他の銘柄と同様の265/35−18サイズを持ち込んだのだが、明らかにトレッド幅が広かったのも特徴。

今回紹介した3本は、いずれもタイヤ通販サイトのオートウェイから購入が可能。18インチ以外にも多彩なサイズが展開されているので、スポーツ走行を嗜むすべてのクルマ好きはお見逃しなく!
※記事内のタイヤ価格(送料・税込)は2025年2月時点のものとなります。
●問い合わせ:オートウェイ TEL:0120-941-927
【関連リンク】
オートウェイ
https://www.autoway.jp