直4・NA仕様で280ps&29.8kgmを発揮!

ビッグトルクが武器の快速5人乗りセダン!

2007年に登場した3代目となるシビックタイプRがFD2だ。それまでの3ドアハッチバックから4ドアセダンとなったことには賛否あったが、その実力で否定派を完全に黙らせた武闘派である。

というのも、インテグラタイプR(DC5)比で5割増しとされたボディ剛性に加えて、それに相応しく強化されたシャシー性能を獲得。搭載するK20Aエンジンは、圧縮比アップやスロットルボディの大径化、高効率ポートの採用で、DC5よりも5ps&0.9kgmアップを実現した225ps&21.9kgmを発生させるなど、高い戦闘力が与えられたからだ。

さて、ここで紹介するのはエンジンを京都の“インパクト”で、サスペンションを東京の“ディージャック”でチューニングしたFD2。2010年式の最終型を新車で購入した“masa”さんの愛機となる。

「この前はスイフトスポーツ(ZC31S)に乗っていたのですが、ちょうど2人目の子供が生まれたんです。ZC31Sのラゲッジにはベビーカーが載せられなかったので、GDBやCT9Aといった4ドアスポーツへの乗り換えを検討しました。でも、この2台はデフが前後にあるしターボだし何かと金が掛かるな…と。それで、FD2が魅力に感じたんです」とmasaさん。

FD2を手に入れると、友人やディージャックの影響で、富士スピードウェイでのスポーツ走行にのめり込んでいく。FD2では定番のDC5用ギヤ流用による4/5/6速クロス化も実施。駆動系や足回りチューンを重ねてマシンを熟成させていった。また、家族でのドライブや奥さんが通勤にも使用する1台だけに、ユーティリティも重視する。

「3人目の子供が生まれたので、本来は4人乗りのFD2ですが、ベースグレード(FD1)の3人掛けリヤシートを流用して5人乗り化しています。ディージャックには、乗車定員を減らすことは多々あるけど増やして公認を取ったのは初めてだ…と言われましたね(笑)」とのこと。

そして、走行距離が11万kmになったタイミングで、オーバーホールを兼ねたエンジンチューンに踏み切る。K20Aに多彩な排気量アップメニューを用意するインパクトだが、重量のあるFD2にはベストだと提示された、K24Aブロックを使用する2.4L化を実施することに。

腰下にはCP製ピストンやBC製コンロッドを組み、純正の11.7から12.6にハイコンプ化。さらに、戸田レーシング製A3カムの投入などのヘッドチューンに加え、燃料系の大容量化やハルテックによるフルコン制御を施すことで、280ps&29.8kgmを発生。2.4L化と13mmリフトのハイカムに、吸排気系の見直しが生み出す大トルクは、軽量なDC5を相手に遜色ない速さを見せ付ける。

それまでのタイプRがワイヤー式なのに対し、FD2は電子制御スロットルを採用。純正も64φと大径だが、グラムス製72φに換装することで2.4Lフルチューンエンジンが要求する吸気に対応させる。制御はハルテック・エリート1500が担当。燃料系の緻密なコントロールに加え、ビッグスロットルを開き始めはマイルドで扱いやすく最高のレスポンスに導く。

マフラーはインパクトのワンオフメイド。メインパイプ径は60φ→70φで「K型エンジンでパワーを出すには70φが必要ですが、市販品にはほぼ存在がなく、ストリートで使える音量に収めるにはワンオフするしかないんです」とはインパクト園田さん。どの箇所で60φから70φにするかが性能面でのキモになるそうだ。

リヤサスはスプリングとダンパーが別置きになるFD2。直巻きスプリングだと走行時の負荷で曲がりやすいため、対策として当時はFD2用の設定がなかったKYBにオーダーした樽型スプリングを装備する。スキルアップとともにレートが上がり、現在は20kg/mmとのこと。ちなみに、ダンパーはオーリンズ製、アッパーシートはテイン製という3コイチ仕様だ。

片側16mmワイドのフロントフェンダーに収めるのは、9.5Jプラス47×18インチのボルクレーシングCE28SLだ。タイヤは255/35R18のシバタイヤ280TW。ブレーキはワンメイクレース用のブレンボキャリパーと310φローターで強化。なお、リヤのサイズは8.5Jプラス52と225/40R18となっている。

SEIBON製のボンネット、モデューロ製のフロントバンパーを装備するエクステリア。サイドステップは黒く塗装した純正で、リヤバンパーもパラシュート効果を低減するダクト処理やボトム部のカット加工により、リヤビューにはスパルタンな雰囲気が漂っている。

「富士スピードウェイのベストタイムはスポーツラジアル装着で1分57秒1。ファミリーカーでもあるので限界はありますが、目標の55秒台入りに向けてスペックも磨いていきたいですね」とmasaさんは語ってくれた。セダンならではのタイプRとして、FD2の魅力を全域で高めるメイキングは、セダン乗りにとって大いに参考になるものだろう。

●取材協力:インパクト 京都府久世郡久御山町野村村東91-3 TEL:075-754-7405

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