【ボディサイズ比較】もっともコンパクトなヤリスクロス! 車内はWR-Vが一番広い

まずは、取り回しや室内空間に関わるボディサイズについてを比べてみよう。
いずれの車種もコンパクトSUVとして平均的なサイズで、極端に運転しづらいといった不満は出ないだろう。室内空間についても、すべての座席で必要十分なスペースが確保されている。
そのなかでも飛び抜けて車内が広いのは3車の中で最新のWR-Vだ。ヤリスクロスとキックスの後席空間は同じくらいだが、WR-Vは同社のヴェゼルより広い後席空間を実現している。
| 車種名 | ヤリスクロス | WR-V | キックス(先代) |
| ボディサイズ mm | 4185×1765×1590 | 4325×1790×1650 | 4290×1760×1605 |
| ホイールベース mm | 2560 | 2650 | 2620 |
| 室内寸法 mm | 1845×1430×1205 | 1945×1460×1280 | 1920×1420×1250 |
| 荷室容量 リットル | 390 | 458 | 2WD:423 4WD:276 |
| 最低地上高 mm | 170 | 195 | 170 |
| 最小回転半径 mm | 5.3 | 5.2 | 5.1 |
荷室容量もWR-Vがもっとも大きく、次点が僅差でキックスだ。5名乗車時の荷室長はキックスがWR-Vを上回るが、4WDモデルはドライブトレーンが荷室空間を大きく圧迫するため、荷室容量の順位はヤリスクロスと入れ替わる。



荷室の使い勝手に関しては、数々の工夫が凝らされたヤリスクロスがもっともユーザーフレンドリーだ。
WR-Vとキックスのリヤシートはオーソドックスな6:4分割可倒式であるのに対し、4:2:4分割式を採用するヤリスクロスは長物が積みやすいように配慮されている。また、荷室床面高を左右独立2段階で切り替えられる機構も備わり、用途や荷物に応じて限られたスペースを有効利用しやすい。
また、パワーバックドアや荷室にAC電源口がオプションで追加できるのは3台のなかでヤリスクロスだけなので、中古車を探す場合に意識しておくと良いかもしれない。
【パワートレイン比較】燃費はヤリスクロスの圧勝! 静粛性はe-POWERのキックス

ヤリスクロスはモーターとエンジンを協調動作させるパラレルハイブリッドモデルと、純ガソリンエンジンモデルの2種類がラインナップする。
キックスには、エンジンで発電しモーターで走行するシリーズハイブリッドシステム「e-POWER」が搭載され、WR-Vは純ガソリンエンジンのFWDのみとパワートレインは三者三様だ。
| 車種名 | ヤリスクロス (ハイブリッド) | ヤリスクロス (ガソリン) | WR-V | キックス(先代) |
| エンジン | 1.5L直列3気筒 | 1.5L直列3気筒 | 1.5L直列4気筒 | 1.2L直列3気筒 |
| トランスミッション | 電気式無段階変 | CVT | CVT | – |
| エンジン最高出力 kW(ps)/rpm | 67(91)/5500 | 88(120) / 6600 | 87(118)/6,600 | 60(82)/6000 |
| エンジン最大トルク Nm(kgf)/rpm | 120(12.2)/3800〜4800 | 145(14.8) / 4800〜5200 | 142(14.5)/4300 | 103(10.5)/4800 |
| モーター最高出力 kW(ps) | 前:59(80)後:3.9(5.3) | – | – | 前:100(136) 後:50(68) |
| モーター最大トルク Nm(kgf) | 前:141(14.4)後:52(5.3) | – | – | 前:280(28.6) 後:100(10.2) |
| WLTC燃費 km/L | 2WD:27.8〜30.84WD:26.0〜28.7 | 2WD:18.3〜19.84WD:17.1〜18.4 | 2WD: 16.2〜16.4 | 2WD:23.0 4WD:19.2 |
いずれの車種も過不足ない動力性能が与えられているが、パワートレインの違いで乗り味はずいぶんと異なる。とりわけ走行時の静粛性や振動に大きな違いが感じられるだろう。
ヤリスクロスはエンジンとモーターがそれぞれの効率よく動作するため燃費性能に優れ、どのような状況での走行でもそつなくこなしてくれる。しかし、エンジンの音や振動が車内に伝わりやすく、とくにハイブリッドモデルはモーター走行時の静粛性が高いだけにエンジンの稼働音が気になりやすい。

WR-Vとヤリスクロスのガソリンエンジンを比べてみても、3気筒エンジンのヤリスクロスよりも4気筒エンジンを搭載するWR-Vのほうが振動は小さい。
3台のなかで静粛性がもっとも優れるのはキックスだ。
先代キックスは2022年のマイナーチェンジで4WDが追加されるとともに、最新の第2世代e-POWERに刷新。モーター出力の強化に加えて充電タイミングが見直され、周囲の音に紛れ込ませてエンジンを稼働させるためエンジン音が気になりづらくなった。中古車を探す場合、この2022年以後のモデルを意識してみよう。

強力なモーターによる加速と運転疲労を軽減するワンペダルドライブが相まって、キックスは電気自動車のような運転感覚だ。
【価格・総合比較】トータルバランスが秀逸なヤリスクロス

| 車種名 | 新車時価格 | 中古車価格(概算・オプション装着車含む) |
| ヤリスクロス(ハイブリッド) | 243万3200〜323万4000円 | 160万~380万円 |
| ヤリスクロス(ガソリン) | 204万6000〜286万0000円 | 150万~340万円 |
| WR-V | 214万9400〜254万9800円 | 200万~340万円 |
| キックス(先代) | 308万3300〜348万1500円 | 120万~340万円 |
ヤリスクロスのもっとも大きな特徴はトータルバランスの高さだ。ガソリンモデルとハイブリッドモデルのどちらも燃費がもっともよく、新車時価格も手頃だったうえ機能性の高さでライバルに差をつけている。現在の中古車市場でも「値ごろ感」は変わらず、またタマ数も多いため、選択肢はかなり幅広くなるはずだ。

WR-VはガソリンエンジンのFWDしか選べない点に加え、レバー式サイドブレーキが採用されるなど、装備面ではヤリスクロスには一歩譲る。しかし室内空間やシャシー性能といったクルマの本質的な部分では、ヤリスクロスと同等かそれ以上のまとまりを見せる。
キックスは、先代モデルと言っても新車時の価格が高かっただけあって内装の質感がもっとも高く、e-POWERによる滑らかな走行フィールと静粛性は頭一つ抜け出ている。室内空間はヤリスクロスとおおむね同等だが、機能や利便性ではやや及ばない。

トータルバランスに優れるヤリスクロスは、どのような用途であっても一定以上の満足度が得られるだろう。それに対して、ライバルはそれぞれ突出した性能を持っていると言える。
広い後席や荷室空間を第一に望むなら、WR-Vがもっともコストパフォーマンスが高くなるだろう。また、電気自動車のように走行できるe-POWERのキックスは、乗っておくべき価値のあるクルマかもしれない。加えて新車時の価格が高めだったので、中古車で「良い買い物」ができる可能性は最も高いかもしれない。
いずれの車種もコンパクトSUVとして十分な性能が備わっているが、個性的とも言えるほどに得意とする分野が異なる。実際に試乗して用途に適したクルマを見極めるとよいだろう。


