「S耐」の名で親しまれ、日本のレース界における参加型カテゴリーの最高峰であるスーパー耐久シリーズ。不況の影響で一時は参加台数が大幅に減少したものの、近年では国内で最も盛り上がっているシリーズのひとつだ。2025年においてはエントリー数が70台を超え、史上最多を更新する見込みだという。
それを受け、今シーズンに向けて一部のクラス区分が変更に。また、開幕戦の舞台となるモビリティリゾートもてぎでは、これまで全車両が混走していたが、今年は2グループに分かれてレースを行うことになった。
今回はもてぎでのグループ2に出走する7クラスのうち5クラスの概要と参加車両を見ていく。

ST-Xクラス
ST-Xクラスで争うのは、FIAからホモロゲーションが発行されているGT3公認車両と、GT3規格に準ずる車両。
GT3はいまや世界の“ハコ車”レースのスタンダードと言える存在で、日本ではS耐のほか、スーパーGTシリーズのGT300クラスで走っている。
GT3は自動車メーカーが自社のスポーツカーをベースに開発・製造し、市販したレーシングカーで競う、いわゆるカスタマーレーシングカテゴリーに分類され、GT3は現在その頂点に位置する。
S耐ではその速さから総合優勝を争う最速のカテゴリーだ。近年のこのクラスでは日産GT-R NISMO GT3やレクサスRC F GT3といった国産GT3マシンのほか、メルセデスAMG GT3などが活躍している。

ST-1クラス
ST-1クラスではST-2~5クラスに分類されないレーシングカーが走る。参加台数は少ないものの、ポルシェ911のカップカーやKTM X-Bowを受け入れるなど、ある意味最も個性豊かなクラスとなっている。
先日のもてぎテストではD’station Racingがポルシェ911を投入した。

ST-2クラス
ST-2クラスにエントリーできるのは、排気量2400ccから3500ccまでの四輪駆動、または前輪駆動のクルマ。現在このクラスではトヨタGRヤリスやホンダ・シビック タイプRが主役となっているが、生産終了から10年が経とうとしている三菱ランサーエボリューション10もいまだ現役で、存在感を示し続けている。

ST-3クラス
ST-3クラスのマシンは、排気量2400ccから3500ccまでの後輪駆動車。この数年は主にレクサスRC350や日産フェアレディZがしのぎを削るクラスとなっている。過去には4ドアのトヨタ・クラウンが参戦していた。

ST-Qクラス
ST-Qクラスではほかのどのクラスにも該当しない、STMOが参加を認めた開発車両が走る。2021年のクラス創設以来、水素やカーボンニュートラル燃料に対応したエンジンを搭載した自動車メーカーの開発車両などが参加している。自動車メーカーの技術開発の場ということもあり賞典外のクラスではあるものの、エントラントは毎戦本気の走りを見せている。

