「S耐」の名で親しまれ、日本のレース界における参加型カテゴリーの最高峰であるスーパー耐久シリーズ。不況の影響で一時は参加台数が大幅に減少したものの、近年では国内で最も盛り上がっているシリーズのひとつだ。2025年においてはエントリー数が70台を超え、史上最多を更新する見込みだという。

それを受け、今シーズンに向けて一部のクラス区分が変更に。また、開幕戦の舞台となるモビリティリゾートもてぎでは、これまで全車両が混走していたが、今年は2グループに分かれてレースを行うことになった。

今回はもてぎでのグループ2に出走する7クラスのうち5クラスの概要と参加車両を見ていく。

フィットとメルセデスAMGが混走!? 参加型レース最高峰『スーパー耐久シリーズ』ではどんなクルマが走ってる?

プロではなく、アマチュアのドライバーが主役となるいわゆる参加型レースの国内最高峰シリーズであるスーパー耐久シリーズ。3月22~23日にモビリティリゾートもてぎで開催される開幕戦『もてぎスーパー耐久 4 Hours Race』を前に、各クラスでどんなクルマが走っているのかおさらいしよう。 Photo:Mobility Land

ST-Xクラス

ST-Xクラスで争うのは、FIAからホモロゲーションが発行されているGT3公認車両と、GT3規格に準ずる車両。

GT3はいまや世界の“ハコ車”レースのスタンダードと言える存在で、日本ではS耐のほか、スーパーGTシリーズのGT300クラスで走っている。

GT3は自動車メーカーが自社のスポーツカーをベースに開発・製造し、市販したレーシングカーで競う、いわゆるカスタマーレーシングカテゴリーに分類され、GT3は現在その頂点に位置する。

S耐ではその速さから総合優勝を争う最速のカテゴリーだ。近年のこのクラスでは日産GT-R NISMO GT3やレクサスRC F GT3といった国産GT3マシンのほか、メルセデスAMG GT3などが活躍している。

2024年のST-Xクラスを制したメルセデスAMG GT3(写真は2024年のもの)

ST-1クラス

ST-1クラスではST-2~5クラスに分類されないレーシングカーが走る。参加台数は少ないものの、ポルシェ911のカップカーやKTM X-Bowを受け入れるなど、ある意味最も個性豊かなクラスとなっている。

先日のもてぎテストではD’station Racingがポルシェ911を投入した。

ST-1クラスにエントリーするKTM X-Bow(写真は2024年のもの)

ST-2クラス

ST-2クラスにエントリーできるのは、排気量2400ccから3500ccまでの四輪駆動、または前輪駆動のクルマ。現在このクラスではトヨタGRヤリスやホンダ・シビック タイプRが主役となっているが、生産終了から10年が経とうとしている三菱ランサーエボリューション10もいまだ現役で、存在感を示し続けている。

ST-2クラスでいまだに現役で走っている三菱ランサーエボリューションX(写真は2024年のもの)

ST-3クラス

ST-3クラスのマシンは、排気量2400ccから3500ccまでの後輪駆動車。この数年は主にレクサスRC350や日産フェアレディZがしのぎを削るクラスとなっている。過去には4ドアのトヨタ・クラウンが参戦していた。

ST-3クラスに参戦するレクサスRC350(写真は2024年のもの)

ST-Qクラス

ST-Qクラスではほかのどのクラスにも該当しない、STMOが参加を認めた開発車両が走る。2021年のクラス創設以来、水素やカーボンニュートラル燃料に対応したエンジンを搭載した自動車メーカーの開発車両などが参加している。自動車メーカーの技術開発の場ということもあり賞典外のクラスではあるものの、エントラントは毎戦本気の走りを見せている。

水素を燃料として使用するエンジンを搭載するトヨタGRカローラ。ST-Qクラスには継続して参戦し続け、当初は気体水素を使っていたが、2023年には液体水素にスイッチするなど進化してきた。(写真は2024年のもの)