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今日は何の日?

■人気のX-TRAIL2代目が初公開

2007(平成19)年3月7日、スイスで開催された“ジュネーブモーターショー2007”で日産自動車が2代目「エクストレイル(X-TRAIL)」(欧州向け)を初公開した。2000年のデビュー以来、高い人気を誇るSUVのエクストレイルだが、2代目はオフロード性能に磨きをかけ、クリーンディーゼルエンジンを追加して注目を集めた。

日産2代目「エクストレイル(X-TRAIL)」
2007年にジュネーブモーターショーで公開された日産2代目「エクストレイル(X-TRAIL)」※画像は日本仕様

国内SUVトップに君臨した初代エクストレイル(X-TRAIL/T30型)

エクストレイルは、当時人気を獲得していたトヨタ「RAV4」やホンダ「CR-V」のような都会派SUVとは異なる、ライト感覚のオフローダーSUVとして2000年に誕生した。

日産初代「エクストレイル(X-TRAIL)」
2000年に誕生した日産初代「エクストレイル(X-TRAIL)」。オフロードを楽しむ若者から大人気

“4人が快適で楽しい、200万円の使える4WD”というコンセプトで、アウトドアを楽しむ若者をターゲットに開発。強靭なイメージのバンパー、立体的で大きい角型ヘッドライトとリアライトを装備した直線基調のボクシーなスタイリングが、ややオフローダー的な雰囲気を作り出していた。

日産初代「エクストレイル(X-TRAIL)」
2000年に誕生した日産初代「エクストレイル(X-TRAIL)」。オフロードを楽しむ若者から大人気

パワートレインは、最高出力150psの2.0L直4 DOHC、280psのターボの2種エンジンと、4速ATおよび5速MTの組み合わせ、駆動方式はFFと4WDを用意。4WDシステムは、日産独自の電子制御フルタイム4WD“ALL MODE 4×4”で、一般的なアウトドアの用途では十分な走破性を発揮する、いわゆるライト感覚のオフローダーだ。

X-TRAILは、200万円台という低価格の魅力もあり、ライバルのRAV4やCR-Vを抑えて、2001年から国内SUV販売台数トップの座に10年にわたり君臨した。

ジュネーブモーターショーで公開された2代目エクストレイル(X-TRAIL/T31型)

日産2代目「エクストレイル(X-TRAIL)」
日産2代目「エクストレイル(X-TRAIL)」※画像は日本仕様

2007年3月のこの日に公開されたのは、2代目エクストレイルの欧州向けモデルでその年の夏に欧州で発売。基本的には、初代のキープコンセプトでデザインも大きな変化はなく、シャシーとボディを一新し、室内空間、荷室の拡大、快適性の向上を図っている。

日産2代目「エクストレイル(X-TRAIL)」
日産2代目「エクストレイル(X-TRAIL)」のアウトドアスポーツも楽しめる広い荷室スペース

詳細な仕様は明らかにされなかったが、エンジンはガソリンエンジン2種類、ディーゼルエンジン2種類を設定。今回のモデルで初めて、ルノー社と共同開発した2.0L直4 ターボディーゼルエンジン(M9R)を採用し、高出力と低燃費を実現したという。

日産2代目「エクストレイル(X-TRAIL)」
日産2代目「エクストレイル(X-TRAIL)」※画像は日本仕様

また、最新の電子制御4WDシステムによって、オフロード性能の大幅な向上を図ったこともアピールポイントだった。

日本でデビューした2代目エクストレイル

日産2代目「エクストレイル(X-TRAIL)」
日産2代目「エクストレイル(X-TRAIL)」
日産2代目「エクストレイル(X-TRAIL)」
日産2代目「エクストレイル(X-TRAIL)」

ジュネーブモーターショーでの公開の約半年後の8月に、2代目エクストレイルは日本でデビューした。スタイリングは欧州向けと同じだが、フロントマスクが欧州向けとは若干異なっていた。

日産2代目「エクストレイル(X-TRAIL)」
日産2代目「エクストレイル(X-TRAIL)」のコクピット

パワートレインは、最高出力137psの2.0L直4 DOHC、170psの2.5L直4 DOHCの2種エンジンと、6速AT/MTおよびCVTの組み合わせ。駆動方式は、先代同様FFと先代の“ALL MODE 4×4”を進化させた“ALL MODE 4×4-i”の電子制御フルタイム4WDが用意。車両価格は、4WD仕様で215.25万~237.3万円(2.0L)、231万~253.05万円(2.5L)に設定された。

日産2代目「エクストレイル(X-TRAIL)」
日産2代目「エクストレイル(X-TRAIL)」のシートアレンジ

2代目エクストレイルの注目は、ALL MODE 4×4-iと翌2008年に世界で初めて国内ポスト新長期に適合したクリーンディーゼルエンジン車を投入したことだ。

簡単に2つの技術について説明を加える。

日産2代目「エクストレイル(X-TRAIL)」
日産2代目「エクストレイル(X-TRAIL)」の”ALL MODE 4×4-i”の切り替えスイッチ

・ALL MODE 4×4-i
初代で採用されたALL MODE 4×4は、走行状況に応じて前後トルク配分をフロント100:リア0から、悪路などで走破性を高める約50:50に切り替える方式。ALL MODE 4×4-iは、舵角センサーやヨーレートセンサー、Gセンサーなどの情報や車両挙動を判断して、旋回時などで常にドライバーの走行ターゲットラインを予測してニュートラルステアになるように前後トルク配分を高精度に制御する進化版システムである。

ディーゼル車「X-TRAIL 20GT」
日産2代目「エクストレイル(X-TRAIL)」に追加されたディーゼル車「X-TRAIL 20GT」

・ポスト新長期対応クリーンディーゼル
ディーゼル車「20GT」は、ルノーと共同開発された新開発の最高出力173psを発揮する2.0L直4ディーゼルターボ(M9R)が搭載された。排ガス低減のために、高圧(160気圧)ピエゾ式インジェクターのコモンレール噴射を採用し、排気系には、PM(粒子性物質)を低減するDPF(ディーゼル・パティキュレート・フィルター)と、NOxを浄化するためのリーンNOx触媒を装着された。ちなみにエクストレイル20GTの車両価格は、299.985万円と高額だった。

クリーンディーゼル(M9R)エンジン
日産「エクストレイル(X-TRAIL) 20GT」に搭載されたクリーンディーゼル(M9R)エンジン

ディーゼル車を含め初代をブラッシュアップした2代目エクストレイルも、発表から約1ヶ月で1万台を受注するなど、引き続きエクストレイル人気は加速した。

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当時欧州では、ディーゼル車は50%近いシェアがあり、国内でもエクストレイルに続いて三菱「パジェロ」やマツダ「CX-5」などが発売されディーゼル車に勢いがあった。しかし、フォルクスワーゲンの排ガス不正や排ガス対策にコストがかかることからなどから、現在ディーゼル車のシェアは大きく落ち込んでいる。エクストレイルも、現在はディーゼル車を廃止して、e-POWERを採用したハイブリッド車に切り替えているのだ。
日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。

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