95psのモーターをフロントに搭載する前輪駆動モデル
航続距離は少なくとも250km

フォルクスワーゲンの新しいモジュラーエレクトリックプラットフォーム(前輪駆動のMEB)が用いられた「ID. EVERY1」の全長は3880mm。過去に日本でも販売された「up!」の3600mmと、現行型「ポロ」の4074mmの中間に位置するサイズだ。乗車定員は4名で、荷室容量は305Lを確保する。

デザインについてデザイン責任者のアンドレアス・ミント氏はこのように述べている。
「私たちの大きな目標は、大胆でありながらも親しみやすいモデルを製作することでした。『ID. EVERY1』は、ダイナミックなフロント ライトや“微笑んでいるように見える”リヤなどのディテールにより、自信に満ちた外観でありながら好感の持てるデザインを実現しています。これらのデザイン要素は、この車を、単なる車を超えた存在にします。つまり、人々が共感できる個性とアイデンティティが与えられているのです」

2026年に発売予定の「ID. 2all(アイディ.2オール)」や、そのスポーツバージョンの「ID. GTI Concept(アイディ.GTIコンセプト)」と同様、「ID. EVERY1」は電気自動車のアーバンカー ファミリーに属している。これら3つのモデルはすべて、新プラットフォーム「MEB」がベースとなっている。

ID.2 all
ID.GTI Concept

「ID. EVERY1」は電動前輪駆動を採用したことにより、最適なスペースを活用できるだけでなく、最大限の効率も実現。新開発された70kW(95ps)の電気モーターを搭載し、最高速度は130km/hに達する。航続距離は少なくとも250kmになるとのこと。

また、新しく高性能なソフトウェア アーキテクチャーにより、車両を所有し続ける間、ソフトウェアの更新とアップグレードが可能となる、いわゆる「SDV(ソフトウエア・ディファインド・ビークル)」であるのも次世代モデルらしい特色だ。

フォルクスワーゲンは2027年までに9つのニューモデルを発表

2027年に登場する「ID. EVERY1」の量産バージョンは、フォルクスワーゲン ブランドによる電動モデル攻勢の一部に過ぎないという。現在「Future Volkswagen」(未来のフォルクスワーゲン)と呼ばれる労使協定に基づき、次のステップに向けて準備が進められている。このなかで、フォルクスワーゲンは2024年12月末に従業員代表団と、持続可能なモビリティの分野における経済的安定、雇用、技術的リーダーシップを組み合わせたビジョンについて合意した。拘束力のある目標と、それを達成するために合意された措置は、将来の主要なプロジェクトの基礎となる。フォルクスワーゲン ブランドは、この目標に関して明確に定義された下記3段階の計画を推進している。

⚫︎アドバンス(前進)
競争力を強化し、既存のモデルラインナップのターゲットを明確にしながら拡大していく。次の段階として、フォルクスワーゲン ブランドは、2025年秋に新しいエレクトリック アーバンカー ファミリーのコンセプトカーを発表する予定。

⚫︎アタック(攻勢をかけ)
2027年までに、前輪駆動の新しいモジュラー エレクトリック ドライブ(MEB)プラットフォームをベースにする4つの電動モデルを含む9つのニューモデルを発表。「ID. 2all」の生産バージョンは2万5000ユーロ(約400万円)未満、「ID. EVERY1」は約2万ユーロ(約320万円)となる。

⚫︎アチーブ(達成する)
フォルクスワーゲンは2030年までに、最も安全で革新的、そして最も売れている自動車を製造する、技術的にトップクラスのボリュームメーカーになることを目指している。