定番の容量は1000Wh程度。サブバッテリーとも上手に使い分けたい
いま車中泊派のマストアイテムとなりつつあるのが、「ポータブル電源」、通称ポタ電だ。リチウムイオンバッテリーを筐体に入れて、これにAC100V、DC12V、USB-A、USB-Cといったアウトプットを付けたものだ。充電はAC100Vをはじめ、DC12V、ソーラーパネルなどで行うことができる。

電力容量も様々で、300W程度のものから6000Wを越える大容量のものまでラインナップ。車内やアウトドアで使えるだけでなく、災害時の電力確保の一手として注目されているアイテムなのである。
キャンピングカーは、サブバッテリーという補機類用とは別の電源を確保していることが一般的だ。安価なディープサイクルタイプの鉛バッテリー、より大きな電力容量のリチウムイオンバッテリーという2種類が使われることが多い。そこに昨今、第三の選択肢として広まっているのがポタ電というわけである。
数年前までは容量が小さく、とても車中泊では使えない…と言われていたポタ電だが、わずか間に著しく進化した。容量によって2、3日なら余裕で電力が使えるし、何よりも使い方がイージーなのである。
例えば、キャンピングカーのサブバッテリーの場合、DC12Vのソケットはそのまま使えても、AC100Vのコンセントに変換する場合は別にインバーターが必要となる。ところがポタ電ではそれが内蔵されている。つまり、余分な出費が抑えられるのである。
ちなみに、昨今は容量1024Whあたりのポタ電がメインストリームになっているが、これは105Ahのサブバッテリー(1260Wh)より若干少ないくらい。多くのキャンピングカーの場合、標準での装備が105Ahサブバッテリー×1個というのが相場なので、1024Whのポタ電1個を携行していればほぼ同等ということになる。

そのため、昨今ではキャピングカービルダーも無理にサブバッテリーを標準化することなく、ポタ電用のパワーインプットを備えて親和性を高めているモデルを徐々に増やしている。サブバッテリーの場合、走行充電システムも必要となるため、室内空間が限られた軽キャンパーなどでは、かえってポタ電の方がいろいろな意味で使い勝手がいいという理由からだ。
とは言え、大きな電力を要する製品を使えば、当然使用できる時間は短くなる。例えば120Wの冷蔵庫を使うとすると、1024Whのポタ電で使えるのは5〜8時間程度。1200Wの湯沸かしポットの場合は、0.4〜0.7時間程度となる。ヘアドライヤーもターボモードにすると、おおよそ1100Wの出力になってしまう。
つまり、出力によって使用時間が大きく変わるため、使う製品を考えながらでないと、あまり実用性がなくなってしまうことになる。もちろん、これはサブバッテリーに言えることだが。

サブバッテリーの優位性は、走行充電システムを備えているため、クルマを走らせば蓄電量が回復することだ。ポタ電は、パワーステーションに接続して充電をする必要がある。そこで昨今、一部メーカーがリリースしているのが、ポタ電をクルマでチャージするシステム。DC12Vソケットで充電よりも約8倍も速く充電できるので、一晩で電力を消費してしまっても安心して次の日を迎えられるわけだ。
ちなみに、筆者は1週間以上の長旅が年に数回あるので、105Ahのサブバッテリーと1024Whのポタ電それぞれ1個を併用している。車内の電灯やDC12Vで使える製品はサブバッテリー、AC100Vの製品を稼動させる場合はポタ電と、用途によって使い分けている。

ポタ電で出力の大きな製品はあまり使用せず、ほぼガジェット類の充電にあてている。ポタ電用の走行充電システムはまだ導入していないので、RVパークの外部電源を使って数日に1回程度充電するという使い方だ。
ちなみに筆者は、ドライヤーは日帰り入浴施設で済ませて、湯沸かしはキャンプ用バーナーで行なうといったことをしている。電子レンジは使わず、調理は火力のみだ。昨今は何でも電力で動かせるようになっているが、車中泊ではいかに電気を使わないようにするかというプランも大切だ。
現在、ポタ電のメジャーなブランドとなっているが『エコフロー』『ジャクリー』『アンカー』あたりだ。どれもチャイナブランドだが、アフターサービスは意外としっかりとしている印象を受ける。ただ、深放電対策のパワーセービング機能のためか、製品に当たりはずれがあるというユーザーの声をよく聞く。この辺がリチウムイオンバッテリーの難しいところと言える。
今年の「ジャパンキャンピングカーショー2025」にはエコフローがブースを出していたが、286Whの小型ポタ電「リバー3プラス」という新製品が展示されていた。このポタ電は、下部にエクストラバッテリーを装着することで、572Wh、858Whと電力を拡張することができるのが特徴だ。
車中泊をしていても、それぞれのライフスタイルによって電力消費量は大きく異なってくるので、とりあえず駐車時に使える電気があればいいという人や、軽バンの中に置けるコンパクトなポタ電が欲しいという人にはいい製品かもしれない。

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