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バイクの法律

原付一種が50cc以下から125cc以下(新しい原付一種)になる理由

写真左はホンダ スーパーカブC125(排気量123cc)、写真右はホンダ スーパーカブ50(排気量49cc)。

「原付一種の排気量を、50cc以下から125cc以下に引き上げる」

この議論は、厳しい排ガス規制によって小排気量のバイクのエンジンが、2ストロークから4ストロークにほぼ移行完了した頃。つまり2ストロークエンジンを搭載したほとんどの公道走行用バイクが消滅した十数年前までさかのぼる。

厳しい排ガス規制は125ccよりも50cc、つまり排気量が小さくなるほど、技術面や金銭面でクリアするのが困難になる。また高い技術力に加え、高価なレアメタルを素材にした「キャタライザー」。加えて構造が複雑なコンピューター制御によるフューエルインジェクションシステム(FI/燃料噴射装置)なども必要(車体が小さくなるほど関連部品もコンパクト化する必要があり、大型車よりもコストがかかる)。結果的に研究・開発・材料・加工に高いコストを要する。

“世界基準”としてすっかり定着した125ccに比べ、国内市場のみの50cc(通称ゼロハン)の改良には、かけられるコストに限界があるのもネック(マーケットが小さい分、コストが大きくなるほど回収が困難。その代償として儲けが出なくて赤字になる。販売価格が跳ね上がる等の悪循環を招く)。これに追い打ちをかけるように、戦争による世界情勢の不安や、円安による資材高騰が直撃。

以上のことから、国内のバイクメーカーは「自助努力だけでは、50cc以下の生産は採算不可能」と判断。国に対し、「もう生産の継続は無理」と最後通牒した(メーカーはこの十数年間、再三、上記を国に訴えてきた)。

そもそも原付一種である50cc以下の生産は、決して資本主義にもとづく「メーカーの利潤追求」のためだけではない。国内では新聞配達や郵便配達などのデリバリー、金融機関やメンテナンスなどの営業や各種サービスでの利用など、「儲からないからやめます」では済まされない、重要な“社会的役割”を担っている。

国(警察庁)は、メーカーの(言い換えれば日本経済の)切迫した状況をようやく理解し、重い腰を上げるに至った(警察庁が原付一種の排気量引き上げを頑なに拒んだのは、交通事故が増えると判断したから。詳しくは下記ページを参照)。

“国の安全を守っている”というメンツにこだわり、「日本(俺たち)には日本(俺たち)のやり方がある」、「メーカーが自助努力すべし」などと悠長なことを主張している事態ではなくなったのだ。

「原付免許は125ccまで」|警察庁が検討|ようやくと動き出す国内の原付改革

2023年9月7日、警察庁は原付(原動機付自転車)免許で乗車できる排気量を、現況の50cc以下から125cc以下に見直す検討に入ると発表。対象予定は排気量125cc以下で、最高出力を4kW(5.4ps)まで抑制した車両。かねてから声高に叫ばれていたバイクメーカーやバイク関連団体の意見・要望に対し、ようやく国が動き始めた。 REPORT●北 秀昭(KITA Hideaki) 警察庁の発表資料 https://www.npa.go.jp/news/release/2023/20230907001.html

https://motor-fan.jp/bikes/article/86730/
1958年(昭和33年)8月に登場以来、国内はもちろん、世界中の人々に愛され続けてきたスーパーゼロハン、ホンダ スーパーカブ50は、街乗りはもちろん、デリバリーやビジネスにも大活躍中。写真は現行モデル(バージンベージュ)。24万7500円(税込)
新聞配達で大活躍中の原付一種ビジネススクーター、ホンダ ベンリィ プロ。24万2000円(税込)

警察庁が有識者検討会を設立。2023年9月11日より「原付一種の125cc以下化」に向けた検討会を開催

原付一種の125cc以下化に向け、警察庁は有識者検討会を設置。2023年9月11日より検討会を開催した。

検討会では車両の走行評価や関係者からのヒアリングを通じ、3回に渡り、50ccと125ccや110ccの車体の大きさの違いによる安全性や、運転の容易性等を重点に検討を行った。

2023年12月21日、有識者検討会はまとまった報告書を発表した(下記ページ参照)。

【続報】原付が50cc以下から125cc以下に変更(ただし最高出力制限あり)。警察庁が報告書を正式発表|ホンダは125cc以下に集中、ヤマハは50cc以下を廃止

警察庁の有識者検討会は2023年12月21日、原動機付自転車(排気量50cc以下)の車両区分の見直しを議論してきた道交法上の定義を、現行の排気量50cc以下から125cc以下に変更するのが理想的(ただし最高出力を4kW以下/5.4ps以下に制限することが条件)とする報告書をまとめた。かねてから声高に叫ばれていたバイクメーカーやバイク関連団体の意見・要望に対し、ようやく国が動き始めた経緯のある今回の案件。すでにホンダは日本のみで販売されている50cc以下の生産を縮小し、125cc以下に集中。ヤマハはホンダによって委託生産されている50cc以下を廃止し、新基準に適応した125ccエンジンを搭載したヤマハ製の商品を日本に投入する予定だ。 REPORT●北 秀昭(KITA Hideaki) 警察庁の発表資料 https://www.npa.go.jp/news/release/2023/20231219001.html

https://motor-fan.jp/bikes/article/95892/

国内大手二輪メーカー、ホンダとヤマハの姿勢

2023年12月3日付の日本経済新聞によれば、ホンダは排ガス規制への対応や効率化のため、国内のみで販売されている50cc以下の原付一種の生産を縮小し、125cc以下に生産を集中させる方向に舵を切った。

また2023年12月22日に行われた記者会見で、ヤマハの日髙社長は、「新基準に適応した自社製125ccエンジン搭載モデルを国内に投入する予定である」と発表。「ヤマハが開発した、125ccのプラットフォームを利用した4kW以下の商品を、国内市場に投入していく」とも語った。

ヤマハのロングセラー原付一種モデル、ジョグ(シルバー)。18万1500円(税込) 

ココに注意! 新しい原付一種(125cc以下)と既存の125cc以下(原付二種)は別物です

有識者検討会がまとめた報告書より。報告書では125cc以下の原付一種(新しい原付一種)は「第二種原動機自転車」と命名。

2023年12月21日に発表された有識者検討会による報告書では、

原付一種の排気量基準は「50cc以下から125cc以下」に変更。ただしエンジン車(内燃機関)は最高出力を4kW以下/5.4psに制限することが条件。つまり「原付免許で、既存の125ccモデルに乗れる」わけではないことを明記。

一部のネットのコメントでは、

「もしも原付免許で125ccモデルに乗ったら、事故が増えて危険」
「自動車への原付免許付帯はやめるべし」
「原付免許でお年寄りが大柄な125ccモデルに乗るのは危険だろ」

等々の意見もあり(日本は民主主義なので反対意見も非常に大事)。

繰り返すが、今回の事案は便宜上、原付一種の排気量を50cc以下から125cc以下に変更。ただしエンジン車は、最高出力を4kW以下/5.4ps以下に制限することが条件だ。

しかも検討会では車両の走行評価や関係者からのヒアリングを通じ、3回に渡り、50ccと125ccや110ccの車体の大きさの違いによる安全性や、運転の容易性等を重点に検討を行っている。

新しい125cc以下の原付一種は、“小型限定普通二輪免許以上が必要な125cc以下の原付二種モデルとは別物”であることを、あらためて強調しておきたい。

新しい原付一種(125cc以下)は、既存の時速30km/h規制、2段階右折義務、2人乗り禁止を継続

125cc以下の新しい原付一種には、50cc以下時代に規定された

・時速30km/h規制
・2段階右折義務
・2人乗り禁止

を引き続き施行。125cc以下の新しい原付一種は、市販中の125cc以下モデルをベースに。もしくは新しい原付一種&原付二種併用の完全新設計になると予測。また、小型限定普通二輪免許以上が必要な125cc以下の原付二種モデルとは異なり、新しい原付一種は、最高出力を現行レベルの4kW以下/5.4ps以下に制限(パワーダウン)するとともに、

・スピードメーターの60km/h表示化
・60km/hスピードリミッターの導入
・不法改造(原付一種の125ccから原付二種の125ccへの不法改造)を防止する措置の導入
・ダブルシートの場合、シングルシートに変更
・タンデムステップ付きの場合、タンデムステップの省略

などが施される見込み。

近年は電動の原付一種を始め、運転免許が不要な「特定小型原付」の電動バイクや電動キックボードや、歩道も走行可能な「特例特定小型原付」の電動キックボードなど、様々なNEWコミューターが登場。

電動アシスト自転車の性能も向上し、自転車に専用チャイルドシートを使えば子供2人まで同乗OK。生活が豊かになるにつれ、原付一種からお手軽・お手頃な軽自動車に乗り換える女性も増えた。

これらも影響し、1982年のピーク時に生産台数は278万台を記録したエンジン車の原付一種(50cc以下)の販売台数は、2022年で15万台。ピーク時の5%に留まっている。

戦後より庶民の足として活躍してきた50cc以下のゼロハンは、時代の流れや変化に伴い、その役割を終え、終焉を迎える。空前のゼロハンブームを知る50代の筆者としては、ゼロハンがカタログから消えることは寂しく、残念に思う。

しかし電動バイクに比べて航続距離の長い内燃機の原付一種は、まだまだ各方面で重宝されている。世界はもちろん、125ccクラスは国内でも人気のカテゴリー。原付一種の125cc以下化は、原付一種の新しい幕開けともいえる。新しい時代を築く、どんな新しい原付一種モデルが登場するか、今から楽しみだ。

ホンダの新型電動スクーター「EM1 e:」 、航続距離は”ロードパル”、乗り味は”優しい”。

「そろそろeかも」のキャッチコピーと共に5月19日に発表された電動パーソナルコミューターの「ホンダ・EM1 e:」が、全国のHonda 二輪EV取扱店から8月24日より新発売された。同日、都内の豊洲で開催された報道試乗会に参加、僅か1時間に限られたプチ試乗で、周辺一般道を散策してみた。 REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru) PHOTO●徳永 茂(TOKUNAGA Shigeru) 取材協力●株式会社ホンダモーターサイクルジャパン

https://motor-fan.jp/bikes/article/86341/
タイヤが太い!電動コミューター「Maverick S1」、運転免許不要の特定小型原付モデル『500X』が新登場

今話題の電動コミューター「Maverick(マーベリック) S1」。都市部の若者を中心に大ブレイク中のマーベリック S1シリーズは、これまで電動アシストモデル(S1-350)、原付一種モデル(S1-600)、原付二種モデル(S1-1000)の3種類をラインナップ。2023年12月24日、新たに特定小型原付モデル「Maverick S1-500X」の販売を開始。クラウドファンディングサイト「Makuake」にて特別価格で先行予約受付中だ。 REPORT●北 秀昭(KITA Hideaki) マーベリックテクノロジー https://www.mavericktechnology.jp/ Makuake内特設ページ https://www.makuake.com/project/maverick_s1_500x/

https://motor-fan.jp/bikes/article/96523/
電動キックボード、7/1から道路交通法改正|軽車両=自転車とほぼ同じ扱いに! 時速20km/h以下+16歳以上で運転免許不要。6km/h以下ならば歩道も走行可能

現況、電動キックボードに関する道路交通法はグレーゾーンにあるといえる。それを明確にすべく、2023年1月19日、警察庁は電動キックボードに関する新たな制度を発表。改正される道路交通法では、「時速20km/h以下」「運転者が16歳以上」「規定サイズ内の電動キックボード」であれば、“特定小型原動機付自転車(新設)”として、運転免許証なしで車道の走行が可能。また時速6km/hならば、歩道も走行可能としている。この制度は2023年7月1日から施行される予定。警察庁ではこの制度について、市民からの幅広い意見を募集している。 REPORT●北 秀昭(KITA Hideaki)

https://motor-fan.jp/bikes/article/64888/
免許不要の「特定小型原付電動キックボード」。ナンバーは必要? 自動車税は?

2023年7月1日より導入が開始された「特定小型原動機付自転車(以下、特定小型原付)」。これは、一定の要件を満たした電動キックボードなどについて、16歳以上であれば運転免許が不用になったり、ヘルメットの着用が任意(努力義務)となるものだ。 従来の電動キックボードなどは、免許が必要な原動機付自転車(以下、原付)に相当したため、ナンバープレートも原付用のものを装着する必要があった。 一方、新しい特定小型原付の電動キックボードでもナンバープレートは必須だが、実際にどんなものなのだろうか? また、取得する場合は、どこで申請し、いくらくらいの費用がかかるのだろうか?  ここでは、そうした特定小型原付に対応した電動キックボードなどのナンバーについて紹介する。 REPORT●平塚直樹 PHOTO●平塚直樹、YADEA JAPAN(長谷川工業)、警察庁、写真AC *写真はすべてイメージです

https://motor-fan.jp/bikes/article/88853/

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