【続報】原付が50cc以下から125cc以下に変更(ただし最高出力制限あり)。警察庁が報告書を正式発表|ホンダは125cc以下に集中、ヤマハは50cc以下を廃止

写真左はホンダ スーパーカブC125(排気量123cc)、写真右はホンダ スーパーカブ50(排気量49cc)。
警察庁の有識者検討会は2023年12月21日、原動機付自転車(排気量50cc以下)の車両区分の見直しを議論してきた道交法上の定義を、現行の排気量50cc以下から125cc以下に変更するのが理想的(ただし最高出力を4kW以下/5.4ps以下に制限することが条件)とする報告書をまとめた。かねてから声高に叫ばれていたバイクメーカーやバイク関連団体の意見・要望に対し、ようやく国が動き始めた経緯のある今回の案件。すでにホンダは日本のみで販売されている50cc以下の生産を縮小し、125cc以下に集中。ヤマハはホンダによって委託生産されている50cc以下を廃止し、新基準に適応した125ccエンジンを搭載したヤマハ製の商品を日本に投入する予定だ。
REPORT●北 秀昭(KITA Hideaki)
警察庁の発表資料 https://www.npa.go.jp/news/release/2023/20231219001.html

50cc以下から125cc以下になる理由とは? これまでの経緯を振り返る

今回検討される原付免許の排気量の見直し。きっかけとなったのは、厳しい排ガス規制。厳しい排ガス規制は、125ccよりも50cc、つまり排気量が小さくなるほどクリアするのが困難になるのが特徴。クリアするには高い技術力が必要で、研究・開発に多大な時間とコストを要する。

来る2025年11月、国内で新たな排ガス規制が適用される。しかし50ccの改良には多大なコストがかかる。追い打ちをかけるように、国内では円安による資材高騰が直撃。以上を考慮し、メーカーは「メーカーの努力だけではもう無理。50ccの生産は採算不可能」と判断し、国に“最後通達”した(メーカーはこの10年間、再三、国に訴えてきた)。

筆者は10年ほど前から、メーカーや関係各社を対象にこの問題を取材。当時の国(警察庁)の姿勢はかたくなで柔軟性がなく、「原付免許を125cc以下にしたら事故が増える」という、根拠に欠ける理由を盾に、「原付は50cc以下であるべき」という姿勢を頑として崩さなかった。

ここにきて、なぜ国(警察庁)は原付の排気量見直しに同意したのか? この30年間、国民の所得は下がり続け、GDP(国民総生産)は2023年、ついにドイツに抜かれ、日本経済は右肩下がり。これも要因の一つだろう。

頭が固くて柔軟性のなかった国(警察庁)は、メーカーの(言い換えれば日本経済の)危機的状況をようやく理解し、重い腰を上げるに至った。“国の安全を守っている”というメンツにこだわり、「日本(俺たち)には日本(俺たち)のやり方がある」「メーカーが自助努力しろ」という一方的かつ排他的なルールで押し切っていられる状況ではなくなったわけだ。

バイクの世界はとっくの昔に、125ccを中心に動いている。日本の原付は、50cc以下という“ガラパゴス”から、125ccの世界基準を受け入れ、2023年に来てようやく変わろうとしている。

警察庁の有識者検討会がまとめた報告書

警察庁の有識者検討会は、2023年9月11日より検討会を開催。車両の走行評価や関係者からのヒアリングを通じ、3回に渡り、50ccと125ccの車体の大きさの違いによる安全性や運転の容易性等を重点に検討。

2023年12月21日に発表された報告書は、上記の検討事項をまとめたもの。

・125cc以下の二輪車の最高出力を、現行の原付一種と同等レベルの4kW(5.4ps)以下に制御。原付免許で新基準の二輪車を運転できるようにする

・一般の運転者を対象とした試乗会について。現行原付4車種(ベンリィ・ギア・タクト・C50)、新基準原付4車種(PCX・リード125・C110・Vision110)

・習熟運転者を対象とした走行評価について

・新基準原動機付自転車に係る走行評価結果について

・不法改造(原付一種の125ccから原付二種の125ccへの不法改造)の防止措置について

等々、検討結果が様々な角度から詳細にまとめられている。

「二輪車車両区分見直しに関する有識者検討会」報告書についてhttps://www.npa.go.jp/news/release/2023/20231219001.html

↑報告書概要
↑道路交通法及び道路運送車両法における車両区分
↑新基準原付の加速性能について

ホンダは50cc以下の生産を縮小し、125cc以下に集中。ヤマハは50cc以下を廃止

上記の報告書を見ても分かる通り、原付の排気量を125cc以下に見直す案は、実現に向けて着々と進んでいる。2023年12月3日付の日本経済新聞によれば、ホンダは排ガス規制への対応や効率化のため、日本のみで販売されている50cc以下の原付の生産を縮小し、125cc以下に生産を集中させる方向に舵を切った。

またヤマハの日髙社長は、2023年12月22日に行われた記者会見で、現在ホンダによって委託生産されている原付を廃止し、新基準に適応した自社製125ccエンジン搭載モデルを国内に投入する予定だと発表。「ヤマハが開発した、125ccのプラットフォームを利用した4kW以下の商品を日本に投入していく」と語った。

「原付免許で、既存の125ccに乗れる」わけではない

「時速30km/h規制」「2段階右折義務」「2人乗り禁止」も継続

バイクの世界は遠の昔に、125ccを中心に動いている。欧州や中国、アセアン諸国での原付の基準は125cc。日本の原付は125ccの世界基準を受け入れ、50cc以下という“ガラパゴス”からようやく抜け出そうとしているが……。

今回の報告書では、原付の排気量基準は「50cc以下から125cc以下」に変更。ただしエンジン車は最高出力を4kW以下/5.4psに制限することが条件。つまり「原付免許で、既存の125ccに乗れる」わけではない。ココがポイントだ。

今回の報告書では、125cc以下の原付は「第二種原動機自転車」とカテゴライズされている。

ネットのコメントでは、「もしも原付免許で125ccに乗ったら、事故が増えて危険だ」という見当違いな意見も多々ある。今回は便宜上、原付の排気量を125cc以下としつつ、エンジン車は最高出力を4kW以下/5.4ps以下に制限することが条件。新しい125cc以下の原付は、小型限定普通二輪免許以上が必要な125cc以下とは別物”であることを強調しておきたい。

なお、新たに導入される125cc以下の原付には、50cc以下時代と同様、これまで通り、「時速30km/h規制」「2段階右折義務」「2人乗り禁止」の交通法規は継続される。

新しい125cc以下の原付は、既存の125cc以下をベースに、

・最高出力を4kW以下/5.4ps以下にデチューン
・スピードメーターの60km/h表示化
・60km/hスピードリミッターの導入
・不法改造(原付一種の125ccから原付二種の125ccへの不法改造)を防止する措置の導入
・ダブルシートの場合、シングルシートに変更
・タンデムステップ付きの場合、タンデムステップのレス化

などが施される見込みだ。

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