Ferrari Hypersail

耐久レースをイメージしたハイパーセイル

3つの接触点で航行を安定させる画期的な設計が採用された「フェラーリ ハイパーセイル」。
「フェラーリ ハイパーセイル」のネーミングは、世界耐久選手権(WEC)に参戦するハイパーカー規定マシン「フェラーリ 499P」をイメージして採用された。

フェラーリは、セーリング界において前例のないチャレンジとなる「フェラーリ ハイパーセイル」プロジェクトを立ち上げた。このプロジェクトは、モータースポーツの伝統と技術革新を融合。ハイパーセイル(Hypersail)という名称は、フェラーリが紡いできたレース活動、そして耐久レースにおいて最高のパフォーマンスを体現するハイパーカーに敬意を表している。

チーム代表のジョヴァンニ・ソルディニ(Giovanni Soldini)が率いるフェラーリ ハイパーセイルは、オフショアセーリング(外洋を舞台に行うヨット競技)に特化した、研究開発プラットフォームとして活動。テクノロジーとイノベーションの探求をターゲットに、専門の海洋技術者との緊密な協力のもと、フェラーリが持つ専門知識を活かし、設計・開発・試験航行を行う。

フェラーリの会長を務めるジョン・エルカンは、フェラーリ ハイパーセイルについて次のようにコメントした。

「フェラーリ ハイパーセイルは、私たちの限界を超え、技術的な地平を拡大する新たな挑戦となります。同時にこれはフェラーリの伝統とも完全に調和しており、3度目のル・マン24時間レース優勝を果たしたハイパーカーからインスピレーションを得ています」

「オフショアレース用ヨットを設計・開発することは、耐久性に関する究極のチャレンジとなるでしょう。チームを率いるジョヴァンニ・ソルディニは、このプロジェクトの重要な柱です。彼のセーラーとしての業績だけでなく、ヨットの開発と建造における比類ない経験を私たちは高く評価しています」

内燃機関を排した革新的モノセルヨット

現在、イタリアで製造中の「フェラーリ ハイパーセイル」。
現在、イタリアで製造中のフェラーリ ハイパーセイル。完全なエネルギー自給自足型ヨットとして開発されており、航行中の動力は太陽光、風力、運動エネルギーを含む、再生可能エネルギー源のみを使用する。

フランス人船舶設計家のギヨーム・ヴェルディエ(Guillaume Verdier)が設計を担当。全長100フィートの航行型海洋レース用モノハル・プロトタイプヨットには、3つの接触点で航行を安定させる画期的な設計が採用された。今回、ヴェルディエは1基のフォイルを支える支持構造として傾動式キールを導入、残る2基の接触点は、舵に装着されたフォイルと交互に機能する2基の側方フォイルとなっている。

フェラーリのスポーツカー開発からの技術移転も積極的に行われる予定だ。自動車の分野で培った専門知識をベースに開発された航行制御システムを搭載し、海洋を長時間航行するモノハル艇の性能と安全性を確保するため、自動車用エアロダイナミクスと構造計算のプロセスも導入される。このシステムは途中停泊なし、外部支援なしの航海を実現する。

航行中の動力は、太陽光、風力、運動エネルギーを含む再生可能エネルギー源のみを使用。船内には内燃機関は一切搭載されず、フォイル、キール、舵の制御・運動システム、船内の全コンピュータシステムと計器類を動作させるための電力は、航行中に自律的に生成される。

また、このプロジェクトはオープンイノベーションをベースとしており、フェラーリと、パートナーやサプライヤー間で緊密な協業とアイデアの交換、さらには外部専門家の活用を目的に掲げている。このアプローチは、エアロダイナミクス、エネルギー効率、パワーマネージメント、運動エネルギーの分野におけるシステム開発に採り入れられるという。

フェラーリ ハイパーセイルは、現在イタリアで建造がスタートし、2026年に進水を予定している。その後、最初の海洋試験航行が実施される。

「フェラーリ ハイパーセイル」を動画でチェック!

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