豪華な2列目シートとインテリアは最新のミニバンにも劣らず

エルグランドもオデッセイも、全長5m弱のボディサイズで7人乗りを可能とするLクラスミニバンだ。ほとんどのグレードで8人乗り仕様も選べる点はエルグランドの強みと言えるだろう。ボディの全長と全幅に大きな差はないが、全高は100mm以上違うためエルグランドの方が大きく感じられるはずだ。しかし、オデッセイの室内高はエルグランドと同等であり、両車の居住性に大きな差はない。

どちらも2列目シートはMクラスのミニバンよりも重厚感ある作りとなっているうえオットマン機能や、背もたれの中折れ機構が備わるため快適な姿勢を取りやすい。フル乗車時の2列目空間はどちらも同じくらいだが、オデッセイは座席を内側に寄せて後方へ大スライドが可能であり、乗員4名以下ならエルグランドよりも広い2列目空間が確保できる。

3列目シートは頭上、膝周り空間ともに十分な広さが確保されているが、どちらも座面高が低めで高身長の人は膝が立ち気味の着座姿勢になってしまう。また、オデッセイの3列目シートは荷室床面にスッキリと格納できる構造であるぶんシートの作りは簡素でクッションも薄めだ。3列目シートを多用するなら、シートの収納性では劣るものの座り心地で勝るエルグランドが向くだろう。

日産 エルグランド 350ハイウェイスター プレミアムアーバンクローム
ボディサイズ=全長4975mm×全幅1850mm×全高1815mm
ホイールベース=3000mm
車両重量=2020kg
タイヤサイズ=225/55R18(前後)

ホンダ オデッセイ e:HEV アブソルート EX ブラックエディション
ボディサイズ=全長4860mm×全幅1820mm×全高1695mm
ホイールベース=2900mm
車両重量=1950kg
タイヤサイズ=225/50R18(前後)

エルグランドとオデッセイとの燃費差は約2倍 

エルグランドには、2.5Lの直4エンジンと3.5LのV6自然吸気エンジンが用意されている。エンジンのダウンサイジング化とハイブリッド化が進んだ現在では、最高出力280ps/最大トルク344Nmを発揮する3.5LのV6エンジンによる余力ある走りはエルグランドならでは魅力的と言えるだろう。

対するオデッセイの排気量はわずか2.0Lだが、低中速は常時モーターで走行し、高速走行時のみエンジンの動力を直接使って駆動できる2モーター式ハイブリッドシステム「e:HEV」だ。

オデッセイに搭載されるモーターのスペックは最高出力184ps/最大トルク315Nmであり、出足の加速感は低回転で大トルクを引き出せるモータードライブのオデッセイが優れ、中高速域の動力性能では排気量で勝るエルグランドが優れる。

ただし燃費性能は圧倒的にオデッセイの方が優れる。エルグランドのWLTCモード平均燃費は8.4km/L、対するオデッセイは19.9km/Lだ。燃費性能の低さはエルグランド最大のウィークポイントとなる。

日産 エルグランド ハイウェイスター プレミアムアーバンクローム
エンジン形式=V型6気筒ガソリンエンジン
排気量=3498cc
最高出力=280ps/6400rpm
最大トルク=344Nm/4400rpm
トランスミッション=CVT
駆動方式=2WD(FF)

ホンダ オデッセイ e:HEV アブソルート EX ブラックエディション
エンジン形式=直列4気筒ガソリンエンジン+モーター
排気量=1993c
最高出力=145ps/6200rpm
最大トルク=175Nm/3500rpm
トランスミッション=電気式CVT
駆動方式=2WD(FF)

大排気量エンジンを搭載したエルグランドの新車購入はラストチャンス

両車の最上級グレードである、エルグランド「350ハイウェイスター プレミアムアーバンクローム」の価格は567万8200円、オデッセイ「e:HEV アブソルート EX ブラックエディション」は516万4500円だ。

なお、オデッセイのスタートプライスは480万600円であり、エルグランドの3.5リッターモデルのもっとも安価なグレードとおおむね同額となる。

オデッセイの役割と車内機能はすべてステップワゴンに引き継がれているが、より高級感ある装備と外観に加え、低い全高による高速走行時の安定感はエルグランドに対してだけでなくトヨタ アルファードにも勝るオデッセイの魅力だ。現に、今でもオデッセイは毎月500〜1000台程度の数が売れている。

ランニングコストや先進安全装備で大きく劣るエルグランドの販売台数はオデッセイ以下だが、エルグランドには3.5L V6ガソリンエンジンという個性がある。

2026年度中に発売予定の次期エルグランドには、1.5Lの第3世代e-POWERが搭載されると報じられている。ランニングコストが大幅に引き下がることは確実だが、現行型エルグランドのような中高速域での余裕感やガソリンエンジン駆動ならではの味わいは期待できそうにない。

また、今後大排気量ガソリンエンジンを搭載した国産ミニバンが登場する可能性も限りなく低いだろう。希少な大排気量エンジンを搭載したエルグランドを新車購入できるのは今が最後の機会だ。

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