その名はジャガー「EタイプGTO(グランド・ツーリング・オープン)」

Eタイプは、ジャガーが1961年から1975年にかけて販売したスポーツカーで、「史上最も美しい車」の一台と称されている。それでもECDは、よりシャープなボディ、リメイクされたV12エンジン、そして新たな名前「GTO」を備えた、クラシックカーのリメイクに成功した。

他に類を見ないEタイプを創り上げるため、ECDは英国の職人たちにカスタムボディパネルを依頼した。デザインは、オリジナルのシリーズI EタイプとジャガーDタイプ・レーサーからインスピレーションを得ている。新しいボディには、専用のボンネット、カスタマイズされたテール、そして機能的なルーバーが採用されている。また、車体はメタリック・ブリティッシュ・レーシング・グリーンで再塗装されているのも特徴だ。
完成したボディはアメリカへ送られ、シリーズII Eタイプのシャシーに搭載された。その後、ECDはテキサス州オースティンの「チームCJ」に、自然吸気のジャガーV12エンジンの再構築とチューニングを依頼した。特注のエキゾーストシステムにより排気効率が向上し、冷却性能もアップデートされたほか、最新の燃料噴射システムも採用されている。出力はなんと400PSを超え、そのすべてが後輪へと送られ、最高のパフォーマンスを発揮する。
改造はそれだけではない。車高とダンピングの調整が可能な新型サスペンションが追加された。さらに、新しいステアリングラック、フロント6ピストン、リヤ4ピストンのブレーキキャリパー、そして15インチのTurrino Wireホイールセットとピレリタイヤも装備されている。
キャビン内だが、クラシックカーのレストアや改造では、スクリーンを取り付けたり、新しいレザーを張り付けたりして終わりにしてしまうことがよくあるだろう。しかし、ECDはそうではなく、キャビンはオリジナルと同等の雰囲気を保ちつつ、よりラグジュアリーな仕上がりを実現、レザー仕上げのカスタムシートも装備している。ブラッシュドアルミダッシュボードには、クラシックなメーターとトグルが備え付けられており、本物だからこそ感じられる、より洗練された雰囲気を醸し出している。
モダンなタッチも存在する。 EタイプGTOには、Bluetoothオーディオシステム、オートヘッドライト、パワーロックが装備されているが、これらはすべて目立たない構造になっており、1960年代の名車が持つクラシックな雰囲気を再現している。
ECDの最高経営責任者であるスコット・ウォレスは、「これは決して実現しなかった、しかし常に実現されるべきだったジャガーGTOです。世界最大のヘッジファンド、ブリッジウォーター投資委員会は、私たちにレストアの域を超え、完全にオリジナルのものを作るという課題を与えました。私たちはジャガーの歴史を尊重するだけでなく、進化させようとしたのです」と語ったようだ。
ジャガーは、近い将来、3000万円クラスの車を販売する超高級 EVブランドへと変わるが、このような伝統の継承も必要ではないだろうか。


























