低速超小型モビリティ導入による外出促進効果や、低速車が実装され普及した際の交通円滑性等について検証

ランドカーをベースにした実験用車両

低速超小型モビリティ(ミニカー)は、自動車よりコンパクトで小回りが利き、環境性能に優れ、地域の手軽な移動の足となる1~2人乗り程度の車両。

このたびの実証実験は、地域活性化と高齢者のQOL(Quality of Life)向上と、安心して利用できる自立的な移動手段の普及を目指すもの。低速超小型モビリティ導入による外出促進効果や、低速車が実装され普及した際の交通円滑性等について検証を行う。

少子高齢化が進み、高齢ドライバーによる事故、免許返納による移動困難者の増加、また公共交通機関のドライバー不足など、人々の移動や交通に関わるさまざまな社会課題がクローズアップされている。実証実験の対象地域である水窪地区は、浜松市北部の中山間地に位置し、とくに高齢者の日常移動に課題のある地域のひとつだ。

中山間地の水窪地区(浜松市)で行われる実証実験の様子

実証実験では、地域住民からモニターを募集し、低速超小型モビリティを1カ月間貸与。モニターの交通行動観察や使用前後のヒアリング調査等を行う。実証実験車両には、ヤマハ発動機のアメリカにおける製造拠点YMMC(Yamaha Motor Manufacturing Corporation of America)製の電動ランドカー「DR2-PTV(国内未販売)」をベースに日本の保安基準に適合させた車両を用いる。定員1人、最高速度は20km/h未満。第一種原動機付自転車に区分されるが、運転には普通自動車免許が必要となる。

ヤマハ発動機では、地域のラストマイル移動サービスとして、2014年からグリーンスローモビリティ(※)の普及に取り組んでいる。今回の実証実験では、アメリカの一部地域でコミュニティ内移動に使用されているPTV(パーソナル・トランスポーテーション・ビークル)を用い、地域のニーズに合った高齢者の自立的な移動手段としての社会実装を目指す。岐阜大学は、実証で得られるアンケートデータ、車両挙動データの分析を通じて、社会受容性や交通安全性の検証など、社会実装に向けた取り組みによって、貢献する。
※車速20km/h未満で公道を走ることができる電動車を活用した小さな移動サービス。その車両も含めた総称