
e-POWERは日産独自の電動パワートレインであり、エンジンを発電専用とし、駆動はすべて電気モーターのみで行なうシリーズハイブリッドシステムだ。電気モーターのみで駆動するため、力強くレスポンスの良い加速と高い静粛性が特徴で、複雑な機構を必要とする他のハイブリッドと比較しても、より滑らかでEVのような運転体験が提供される。またEVと同じように、回生ブレーキにより減速エネルギーを電気に変換してバッテリーに戻すことが可能。第3世代e-POWERはこのコンセプトをさらに進化させ、セグメントトップとなる燃費を実現し、最大航続距離もディーゼル車並みを誇る。
新世代のe-POWERは、モジュール化された新開発の5-in-1 e-POWERパワートレインユニットが採用されている。このユニットはモーター、発電機、インバーター、減速機、増速機といった5つの主要部品がコンパクトで軽量な一つのケースに統合されている。モーターの最高出力は11kW向上し151kW、バッテリー容量は2.1kWhと従来と同様のスペックを維持しながら、ユニット自体の高剛性化と軸構造の最適化により、走行時の音や振動が大幅に低減されている。
本ユニットに組み合わされるエンジンは、1.5L 3気筒のターボエンジンを採用し、e-POWER専用に完全新設計された。日産独自技術であるSTARC燃焼コンセプトを採用することで、シリンダー内燃焼の安定化を実現し、熱効率42%が達成された。これにより、低速時でも静かで効率的な運転が可能だ。効率を最大化するための大型ターボや最終減速比の変更により、高速走行時のエンジン回転数を従来より約200rpm低くすることで、騒音の抑制にも寄与する。e-POWER専用設計とすることで、従来搭載していた可変圧縮比技術は不要となり、また潤滑油を0W16にすることで、エンジン内部の抵抗を低減している。また、オイルメンテナンスの距離も15000kmから20000kmに延長されている。