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今日は何の日?■3代目エスクードが海外名を統一して輸出開始
2005(平成17)年7月11日、スズキは同年5月に国内販売を始めた3代目「エスクード」を、「グランド・ビターラ」の海外名に統一して輸出を開始した。エスクードは、初代から仕向け地によって「VITARA」や「GRAND VITARA」など様々な車名で輸出をしていたが、今回から海外名を統一した。

ジムニーの小型車版として登場したエスクード

エスクードは、「ジムニー」の海外での人気の高まりを受け、さらにその上の本格的な小型オフローダーとして1988年5月に誕生した。

そのため、基本的なメカニズムやシャシーはジムニーのノウハウを生かして開発され、軽量・高剛性を両立させた3分割のサイドフレームとクロスメンバーからなるラダーフレームを採用。パワートレインは、最高出力82psの1.6L直4 SOHCエンジンと、5速MTおよび3速ATの組み合わせ。駆動方式は、トランスミッションと2速のトランスファーを一体構造したパートタイム4WDである。

フラッシュサーフェス化したボクシーなボディラインに前後に配置したブリスターフェンダーは、本格オフローダーのような武骨さがなく、乗用車感覚のライトなオフローダーを演出。日本はもとより海外でも人気モデルとなった。
アメリカンな雰囲気で上級化した2代目
海外市場でも人気となったエスクード、1997年11月にデビューした2代目は特に北米を意識して若干サイズアップし、スタイリングも初代のシンプルな直線基調から、曲面基調のダイナミックなアメリカンな雰囲気に変貌した。

パワートレインは、最高出力107psの1.6L直4 SOHC、140psの2.0L直4 DOHCの2種エンジンと、5速MTおよび4速ATの組み合わせ。駆動方式は、走行中に2WDと4WDの切り替えができる「ドライブセレクト4×4」に加えてFR仕様も追加された。
また、新開発の5リンクリジッドリアサスペンションの採用と、新設計の高剛性ラダーフレームのボディが相まって、乗り心地や操縦安定性が一段と向上。1998年には、5ドアに160psの2.5L V6 DOHCおよび92psの2.0L直4 SOHCインタークーラーターボ・ディーゼルを搭載し、3ナンバー車幅のワイドボディ仕様も登場した。
2代目エクスードは初代より大きく上級化したが、初代のラダーフレーム構造とパートタイム4WDという本格派のメカニズムを引き継ぎ、堅調な販売を続けた。
フルタイム4WDに進化した3代目はグランド・ビターラとして海外へ

2005年5月にデビューした3代目は、“エスクードのオリジナリティと本格オフロード性能を継承し、進化させた新しいSUV”というコンセプトでエスクードの伝統を維持しながらすべてが刷新された。

スタイリングは、広い前後のトレッドと張り出したフェンダーにより、ダイナミックさと安定感をアピール。インテリアは、シートや内装材を黒色基調として質感の高い落ち着いた雰囲気を醸し出し、インパネにはスポーティな大径3連メータが装備された。

最大の特徴は、ラダーフレームからビルトインラダーフレーム構造へ、パートタイム4WDからLSD付センターデフ方式フルタイム4WDシステムへの変更、さらに新開発の4輪独立サスペンションなどが採用されたこと。これにより、オフロード走行性能をより向上させるとともに、ライト感覚のオフローダーとしてオンロードでの快適な走りに磨きがかかった。

パワートレインは、145psの2.0L直4 DOHC、184psの2.7L V6 DOHCの2種エンジンと、5速MTおよび4速/5速ATの組み合わせ。駆動方式は、前述のフルタイム4WDのみとなった。
また安全性能については、横滑りを抑えるESP(車両走行安定補助システム)やEBD付4輪ABS+ブレーキアシスが標準装備され、オプションだがSRSカーテンエアバッグとフロントシートSRSサイドエアバッグも採用された。


そして、国内販売から2ヶ月後の同年7月のこの日、輸出を開始。輸出向けは、初代の1988年より「ビターラ(VITARA)」、「グランド・ビターラ(GRAND VITARA)」、「サイドキック(SIDEKICK)」などの車名で、欧州・北米を始め世界各国で販売され人気を獲得していた。今回3代目エスクードから、海外向けとして「グランド・ビターラ(GRAND VITARA)」に車名を統一し、中南米や大洋州などを皮切りに欧州、北米、アジア、中近東と世界各地域での販売を開始したのだ。

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日本車は、そのクルマ固有の車名が付けられているので、国によってその名前が他の商品名とバッティングしたり、不適切なものを連想する場合があると、国や地域によって車名を変えることが多い。いっそのこと、ベンツやBMWのような欧州車のように、固有の車名でなく排気量を表すような数字の車名にすれば面倒なことは起こらないという考え方もある。ただ日本人にとっては、記号的な車名は味気なく分かりづらいと考える人が多いようだ。
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