まずは千葉県内の6か所で、7月14日からサービス開始
インバウンドの影響で国内の宿泊施設の混雑、高騰が進むほど、車中泊をする人が増加している。昨今は日本でもキャンピングカーが定着しており、道の駅では夜になると多くの車両が集まる様子が見られる。しかし一方で、十分な車中泊装備を持っていない車両のユーザーは、エンジンのかけっぱなし、騒音、ゴミの放置、駐車スペースでのキャンプ行為といったマナー違反をするケースも少なくない。
キャンピングカービルダーで構成される業界組織「日本RV協会」は、昨今のこうした社会的な影響を鑑みて、車中泊施設「RVパーク」の普及に努めている。RVパークは2500円から5000円程度の料金を払うことで、1台分の駐車スペース、トイレ、水道などが使える車中泊専用施設だ。
場所によってはシャワーや風呂が付いている施設があり、また別料金で電源設備を使うこともできる。一般的な休憩設備に比べると1台分の駐車スペースが広く取られており、サイドタープの使用や火を使った調理ができるのも、道の駅などと違う点。また袋1枚分程度のゴミ処理をしてくれるサービスも付いている。
道の駅などと違って有料となるが、その分だけ気兼ねなく使えるし、メリットが少なくない。使用にあたっては、事前の予約が必要だが、空いていれば当日の問い合わせでOKな所が多い。
日本RV協会はRVパーク以外にも、宿泊施設や入浴施設、レストランなどの空いた土地を活用した車中泊専用設備を展開している。しかしここで問題なのは、その数である。同協会に登録されている同種の施設すべてを併せても、全国で800か所にも満たないのである。「いやいや十分だろ」という声も聞こえてきそうだが、全国をどこでも自由に旅できるのが車中泊。国内の市町村数が1718であることを考えれば、圧倒的に設備が少ないのである。
ちなみに道の駅は全国で1230駅。旅の最中、なんとか探すことができる数となっている。
2台分の駐車スペースを利用可能。ゴミ袋1枚分のゴミ処理サービス付き
そんな状況に福音をもたらしてくれたのが、コンビニチェーンの「ローソン」だ。なんとローソンが、店舗の駐車場でRVパークを展開するというのである。今回は実証実験というカタチだが、ローンチで施設が設置されるのは千葉県内の6か所。
- ローソン一宮東浪見店 (住所:千葉県長生郡一宮町東浪見562)
- ローソン御宿新町店 (住所:千葉県夷隅郡御宿町新町仙人塚417-19)
- ローソン天津小湊店 (住所:千葉県鴨川市内浦1909)
- ローソン富浦インター店 (住所:千葉県南房総市富浦町福澤873)
- ローソン南房総岩井海岸店 (住所:千葉県南房総市久枝35-1)
- ローソン富津湊店 (住所:千葉県富津市湊1238-1)
上記のコンビニにおいて、2025日7月14日からサービスが開始される。ちなみに筆者の経験で言えば、千葉県内のコンビニは駐車スペースが非常に広く、大型トラック専用スペースも設けられている。また周囲が田園風景であることが多く、車中泊をする環境的にはなかなかいい場所だ。

その上、トイレは目の前だし、食べ物だけでなく、冷えた飲み物やアイスクリームも24時間販売されているのである。夜は売店が閉まる道の駅よりも、数倍便利と言えるのではないだろうか。
ローソンのRVパークは、店舗の駐車スペースを転換活用するものだが、利用者には通常2台分のスペース利用を可能にする。また、延長コードなどを使った電源利用が可能で、ゴミ袋1枚分のゴミ処理サービス付きだ。まさに他のRVパークと遜色のない利便性といえる。
ちなみに利用に際しては、RVパーク専用サイト(https://rv-park.jp)で予約行い、そこで事前のクレジットカード決済が必要だ。料金設定は2500〜3000円の予定だ。
気になるのは、コンビニの駐車場の一部をRVパークとして転用した場合のトラブルだ。株式会社ローソン広報部の中里慧介さんに聞いてみた。
「たしかにそういった心配もありますが、予約時にプロフィールが分かるクレジットカード決済をご利用いただきますので、トラブルの可能性は低いと思います。また、道の駅などと違って24時間スタッフがいるのがコンビニの利点ですので、その部分でも施設のアドバンテージがあるのではないでしょうか」
とりあえずローンチでは6か所ということだが、問題なければ全国での展開も考えたいということだ。車中泊派には非常に嬉しいニュースだが、こうなれば他のコンビニチェーンもぜひRVパーク参入を考えていただきたいところだ。