おすすめ度★★★ 80系トヨタ ノア/ヴォクシー 

1世代前のミニバンを検討するなら、利便性が高いうえ比較的手頃な価格であり、かつ信頼性にも優れるトヨタ ノア/ヴォクシーがもっともおすすめだ。流通量が多く、年式や走行距離、グレードやボディカラーなど、希望に合った車両を見つけやすいメリットもある。

2014年から2021年まで販売された3代目80系ノア/ヴォクシーの特徴は、良好な燃費性能と高い信頼性が備わるハイブリッドシステム「THS II」と言えるだろう。2.0Lのガソリンモデルと1.8Lハイブリッドモデルの間で中古車価格に大きな乖離が見られない点も魅力だ。

2017年7月にノア /ヴォクシー揃ってマイナーチェンジが行われており、ノアのマイナーチェンジ前のモデルの中古車価格は100万円から、マイナーチェンジ後のモデルは150万円から販売されている。

ヴォクシーの方が相場は20万円ほど高いものの、流通量が多いため比較的安価な個体も探しやすくなっており、マイナーチェンジ前のヴォクシーであれば70万円から、マイナーチェンジ後は100万円からみつけることも可能だ。走行距離5万km以内の個体なら、どちらも150万円程度を最低額として見積もるとよいだろう。

ただし購入に際しては、少なからず注意点もある。80系ノア/ヴォクシーは低圧燃料ポンプの不具合で2023年11月にリコールが発令されている。最悪の場合、エンジンがかからなくなる可能性もあるため、購入する際には対策状況の確認が必須だ。

またオプションが豊富なため、個体によって快適装備や安全装備の内容に大きな差がある点も留意しておきたい。とくに自動ブレーキ等の先進安全装備に関しては比較的短いスパンで改良を受けており、年式によって性能にも差がある。安全機能を重視するなら年式の確認も必須と言えるだろう。

おすすめ度★★☆ RP型 ホンダ ステップワゴン

2015年から2022年まで生産された5代目RP型ステップワゴンの特徴は、縦にも横にも開く「わくわくゲート」と呼ばれる独自機構のリアハッチだ。

「わくわくゲート」は通常の跳ね上げ式バックドアとして使えるうえ、バックドアの一部だけ横に開くため狭い場所での荷物の出し入れや、3列目シートへの乗り降りにも使える。また、3列目シートには床下格納式で、荷室空間を広く使える点もステップワゴンだけのメリットだ。

加えて、他社のミニバンのガソリンモデルより自動車税区分が1クラス下となる1.5Lターボエンジンであり、自動車税が安いうえ、大きなトルクを低い回転数で発生するため発進加速性能にも優れる。

2017年9月のマイナーチェンジでは、スパーダにハイブリッドモデルである「SPORT HYBRID i-MMD」が追加。同時に、それまでオプションだった「ホンダセンシング(自動ブレーキ)」が標準装備となった。なお、ハイブリッドシステムの名称はモデル末期に「e:HEV」へと変わっている。

中古車価格を見ると、マイナーチェンジ前のモデルなら100万円以下で販売されており、マイナーチェンジ後のモデルは150万円が最低価格だ。走行距離5万km以下の個体が希望なら、ガソリンモデルなら150万円程度、ハイブリッドモデルは200万円を見積もっておくとよいだろう。

購入する際はホンダセンシングの有無をまず確認したい。また、燃料ポンプとブレーキに関するリコールも発令されているため、これらについての確認も必須だ。

中古車流通量がノア/ヴォクシーに比べて少ないうえ、現行型ステップワゴンでは「わくわくゲート」が廃止されたためか中古のRP型ステップワゴンを探している人も少なからずいるようだ。程度の良い個体が見つかったら、早めに購入へと踏み切るのがよいだろう。

おすすめ度★☆☆ C27日産 セレナ

2016年から2022年まで販売された5代目C27型日産セレナは、ガラス部分だけが開閉する「デュアルバックドア」や「スマートマルチセンターシート」による使い勝手と、室内空間の広さでライバルよりも優れている。

一部グレードを除いて登場当初から「インテリジェントエマージェンシーブレーキ(自動ブレーキ)」が標準装備となっており、グレードによってはアダプティブクルーズコントロール「プロパイロット」が装備される点も大きな特徴と言えるだろう。

パワートレインは、先代から引き継がれる2.0L自然吸気エンジンと、それにマイルドハイブリッドシステムに近い機構を追加した「S-HYBRID」の2種類が存在し、2018年3月以降は優れた燃費性能と静粛性が特徴となるシリーズハイブリッドの「e-POWER」が追加された。

2019年8月のマイナーチェンジ前のガソリンモデルであれば70万円台から、マイナーチェンジ後でも100万円から購入できる個体が多く存在する。走行距離5万km程度の車両でも100万円強で販売されており、中古車価格相場はノア/ヴォクシーやステップワゴンよりも明確に安い。

しかしC27型セレナは安価であっても、おすすめできる中古ミニバンとは言い難い。とくにガソリンモデルは故障や不調を抱えた個体が多く見られる。先代C26型で頻発していたタイミングチェーンやオルタネーターの不具合は、C27型でおおむね解消されているものの、トランスミッションや可変バルブタイミング機構など、走行に直結する箇所のトラブル報告が多く聞かれる。

そのため、C27型セレナを中古で購入するならe-POWERモデルを選ぶのが賢明だと言えよう。ガソリンモデルに比べてe-POWERモデルの流通量は少なく価格も高いが、130万程度で購入できる個体も多い。e-POWERモデルも故障やリコールは相応にあるが、適切な整備を受ければ大きなトラブルに遭遇することは少ないはずだ。

またC27型セレナ e-POWERモデルの注意点として、排気量が1.2Lと小さいため高速道路などでの高負荷走行時は発電効率の限界から燃費性能が低下しがちである点は留意しておきたい。

以上の点が改良された現行型C28セレナの中古が220万円程度で販売されているため、それを大きく下回る値段で購入できるならC27型セレナ e-POWERの中古車にも十分な旨味はある。街乗りが主体であれば、1.2Lエンジンによるスペック上のデメリットも気にならないはずだ。