車中泊をするなら断然アトレー!その差って何だ?




両車のボディサイズはほぼ同じであり、室内空間も同等と言ってよいだろう。ただし5ナンバーと4ナンバーでは法規上の理由で後席の居住性に大きな差が出る。
4ナンバーのアトレーは後席膝周り空間がエブリイワゴンに比べて明らかに狭いうえ座面高も低く、平均的な身長の成人男性では膝が立った無理な姿勢を強いられる。アトレーの後席はクッションも薄く、あくまで補助席といった扱いだ。
その代わりアトレーは、後席を畳めば荷室床面はフルフラットになる。荷室長はどちらも1800mm以上を確保しているため大人2人が横になれるだけの十分な広さが備わるが、エブリイワゴンは背もたれとの間にわずかな段差ができるうえ、床面にシートキャッチが飛び出るため車中泊に際しては厚手のマットが欲しいところだ。
床面素材はエブリイワゴンが起毛のカーペットであるのに対し、アトレーは防水マットとなっておりアウトドアレジャー用途にも向く。さらにアトレーは荷室壁面の張り出しが少なく車中泊の際にも圧迫感は少ない。また、アトレーは後席ウィンドウが一般的な上下開閉ではなく、常時手で開けられるポップアップ式となっており車中泊時の換気もしやすい。
エブリイワゴンの強みは、スズキ スペーシアなどと比べても遜色ない後席空間の広さと快適性だ。標準ルーフに比べて全高が95mm高いハイルーフが選べる点もエブリイワゴンの大きなメリットがあるが、車中泊をするなら明らかにアトレーの方が適している。
スズキ エブリイワゴン PZターボ 標準ルーフ
ボディサイズ=全長3395mm×全幅1475mm×全高1815mm
ホイールベース=2430mm
車両重量=1000kg
タイヤサイズ=165/60R14(前後)
ダイハツ アトレー RS
ボディサイズ=全長3395mm×全幅1475mm×全高1890mm
ホイールベース=2450mm
車両重量=970kg
タイヤサイズ=145/80R12(前後)
動力性能と燃費性能は互角!乗り心地はエブリイワゴンに軍配


どちらも前席下に3気筒ターボエンジンを搭載して後輪を駆動するセミキャブオーバーであり、4WDモデルはどちらもスイッチ操作ひとつで走行モードが切替可能な電子制御式パートタイム4WDとなる。
エンジンスペックはアトレーの方がわずかに低回転からパワーが出る特性だが、大きな違いは感じられないだろう。燃費性能を比べても大差はなく、両車のWLTCモード平均燃費はエブリイワゴンが15.1km/L(PZターボ)、アトレーは14.7km/L(RS)だ。
乗り心地に関してはエブリイワゴンが勝る。とくにシートの作りの違いも相まって、後席の乗り心地は雲泥の差に感じられるだろう。
しかし、アトレーも定評あるDNGAプラットフォームの採用に加え、柔らかめのサスペンションセッティングとすることで乗り心地にも配慮されており、ハイゼットカーゴやエブリイバンなどの商用モデルと比べれば優れた乗り心地を示す。
スズキ エブリイワゴン PZターボ 標準ルーフ
エンジン形式=直列3気筒ガソリンターボエンジン
排気量=658cc
最高出力=64ps/6000rpm
最大トルク=95Nm/3000rpm
トランスミッション=CVT
駆動方式=2WD(FR)
ダイハツ アトレー RS
エンジン形式=直列3気筒ガソリンターボエンジン
排気量=658cc
最高出力=64ps/5700rpm
最大トルク=91Nm/2800rpm
トランスミッション=CVT
駆動方式=2WD(FR)
趣味で荷室を活用するならアトレーの総合性能がピカイチ




「エブリイワゴン PZターボ」の価格は183万8100円、「アトレー RS」は176万円だ。両車には約8万円の価格差がある。
安価であるのにも関わらず、アトレーのRSグレードにはアダプティブクルースコントロールが標準で備わる。対するエブリイワゴンの先進安全装備はアトレーに対して明確に劣っており、車線逸脱抑制装置を比べてもハンドル支援どころか警報機能止まりだ。
アトレーは電動スライドドアの機能も充実しており、予約スイッチを押しておけばキーを持ってクルマに近づくだけで自動でスライドドア開くウェルカムオープン機能なども搭載される。
さらに、自動車税は5ナンバーのエブリイワゴンが年間1万800円であるのに対して、4ナンバーのアトレーは5000円と維持費もわずかに安い。車両価格や維持費、装備の充実度などを総合するとアトレーの方が明らかに買い得だ。
しかし4ナンバー特有の使いづらさは残る。とくにアトレーの後席の居住性と快適性はエブリイワゴンに大きく劣る点であり、簡素なリアシートに加え、リアヒーターダクトも4WDを選ばなければ備わらない。後席に人を乗せる機会が多いならリアシートにスライド機構やリクライニング機構、アームレストまで備わるエブリイワゴンがおすすめだ。
アトレーは後席の居住性を犠牲とする代わりに、特定用途に特化した性能が持たされている。2名以下乗車が多く、趣味などで荷室を活用する用途なら非常に高い総合性能を発揮してくれるだろう。
車両本体価格
スズキ エブリイワゴン PZターボ 標準ルーフ:183万8100円
ダイハツ アトレー RS:176万円
