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今日は何の日?■2代目(NB型)ロードスターのビッグマイナーチェンジ
2000(平成12)年7月18日、ライトウェイトスポーツとして世界的な人気を誇るマツダ「ロードスター」の2代目(NB型)がビッグマイナーチェンジをうけた。エンジンに可変バルブタイミング機構の採用やボディ剛性の強化などの性能向上に加えて、内外装についても変更が加えられた。

人馬一体をキーワードに開発された初代(NA型)
初代ロードスター「ユーノス・ロードスター」は、1989年にデビュー。ユーノスは、当時マツダが展開していた5チャンネル(販売系列)のひとつで、高級車などのスペシャリティカーを扱う販売チャンネルの名称である。

初代ロードスターは、現在もマツダで継承されている開発コンセプト“人馬一体”をベースに開発された第1弾。リトラクタブルヘッドライトを装備した、能面“若女”をモチーフにした和のテイストを生かしたオープンスポーツで、コンパクトな軽量ボディが特徴だった。
パワートレインは、最高出力120psを発揮する1.6L直4 DOHCを縦置きしたフロントミッドシップで、トランスミッションは5速MT、遅れて4速ATも追加された。特にハイパワーではなかったが、重量を車体中央に集中させた50:50の理想的な前後重量配分と軽量化ボディによって、レスポンスに優れた走りと高いハンドリングが楽しめた。

初代ロードスターは、斬新なライトウェイトスポーツのオープンモデルとして、標準グレードの5速MT車が170万円、4速AT車が174万円と、誰でも入手できる低価格で国内外で大ヒットした。翌1990年の販売台数は2万5000台を超え、世界中でライトウェイトスポーツ旋風を巻き起こした。
キープコンセプトで正常進化した2代目(NB型)
1998年に初めてのモデルチェンジで2代目へと移行。ユーノスブランドが終了したことから、ロードスターの単独ネームとなった。

2代目は、基本的にはキープコンセプトだが、リトラクタブルヘッドライトから固定式ライトになり、各機能がブラッシュアップされ、パワートレインには1.8L直4 DOHCと6速MTが追加された。最高出力は160psまで向上し、さらにターボエンジンの追加によって最高出力は172psに達した。

車両価格は、1.8L標準グレード(6速MT)が218.5万円に設定され、2代目ロードスターも引き続き人気を獲得。2000年には、英国のMGBを抜いて、2人乗り小型オープンスポーツカーとして生産累計台数53万1890台で世界一となり、ギネスブックに認定された。
ビッグマイナーチェンジによって商品力強化
2000年7月のこの日に行われたマイナーチェンジの最大の特徴は、1.8Lエンジンに“S-VT(シーケンシャルバルブタイミング機構)”と呼ばれる吸気側連続可変バルブ機構が搭載されたこと。S-VT搭載エンジンによって、出力向上と燃費および排ガスの低減が図られた。



特に出力向上については、低中速回転域でのトルクが向上したことで、レスポンスよく伸びやかな加速を実現。また、圧縮比アップ(9.5→10.5)や充填効率の向上なども追加して、最高出力160ps(従来比+15ps)/最大トルク17.3kgm(従来比+0.7kgm)を発揮した。なお、1.6Lエンジンの125ps/14.5kgmに変更はない。

エクステリアについては、マルチリフレクター&プロジェクター式のヘッドライトを、カットのないクリアなアウターレンズと組み合わせ、バンパー下部のエアインテークをマツダのアイデンティティ“ファイブポイント(五角形)”形状に変更。インテリアでは、インパネのメーターに白色文字盤を採用、さらにホールド性の向上のためにバケットタイプのハイバックシートが搭載された。


ボディは、フレーム後部の板厚を増すなど補強され、曲げおよびねじり剛性が改善。サスペンションとブレーキについても専用チューンが加えられた。


精悍さが増したフロントフェイスやインテリアの質感向上に加えて、パアーアップや剛性強化によって走りとハンドリング性能を高めたビッグマイナーチェンジ。車両価格は1.8Lエンジンの標準グレードが217.8万円、トップグレードが243.8万円と比較的リーズナブルな設定だった。

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長く多くの人に愛され続けているロードスターのフルモデルチェンジのインターバルは、他のモデルと較べると長い。しかし、その間も今回のような大がかりなマイナーチェンジでファンの心をガッチリ掴んでいることもロードスターの強みである。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。
