東邦ガス技術研究所(愛知県東海市)で500時間以上に及ぶ実証試験を行い、水素混合時の信頼性やCO₂削減効果が確認されている。実証試験では、発電設備に必要な電力需要の変動に応じた高い調整力や、安定運転が可能であることを検証するため、さまざまな運転パターンを模擬した試験も実施。異常燃焼などのリスクはなく、都市ガス専焼仕様と同じ運用が可能なことが確認された。

水素混合率は、従来のガスエンジンからの変更範囲を最小限にすべく最大15%に設定された。運転モードは、都市ガス13A専焼モードと水素混焼モードがあり、負荷運転中に任意に切り替えられる。また、水素混焼仕様では、エンジン始動時に都市ガスのみを用いる仕様とすることで、停電発生時の初期負荷投入量を都市ガス専焼仕様と同等にでき、BCPへの対応も可能にしている。

また、将来の水素利活用を検討している顧客に向け、「水素レディ」パッケージが併せて発売される。これは、初期導入時は都市ガス専焼仕様のみだが、あらかじめ水素混焼に必要な機器や機能を組み込んでおき、水素混焼仕様への現地改造時に工事期間を短縮するものだ。

省エネルギーによる環境負荷低減が期待できるコージェネレーションシステムは、カーボンニュートラルの実現に向け、一層推進すべき分散型エネルギーリソースの一つとされている。大規模災害などによる停電時にも対応可能な電源であることから、レジリエンスの強化という点でも期待されている。MHIETは、水素利用の拡大および分散型電源の普及を推進し、低・脱炭素社会の実現と社会全体のレジリエンス向上に貢献していく。

※強靭性、回復力、弾力性などを意味し、具体的には災害に強いインフラの整備、早期復旧のための事業者との連携強化、情報発信の強化といった取り組みを指す。