電スロ×フルコンで拓くFDチューンの新章!
チューニングに「安心感」という選択肢を
ハイパワー化が進んだFD3Sで悩みの種となるのが、低μ路や気温の低い時期に顕著となるリヤタイヤの空転、つまりトラクション不足だ。この“FRチューンドのジレンマ”を、先進的な制御技術で解決しようとするのが、京都を拠点とするロータリーチューナー“オートクラフト”である。

同社が注目したのは、現代車では当たり前となった“トラクションコントロール(以下、トラコン)”の導入。FD3Sにフルコンと電子制御スロットル(以下、電スロ)を組み合わせ、誰もが安心して楽しめるチューンドロータリーを目指すというアプローチだ。

「以前は“走りを楽しむならトラコンは不要”と考えていました。しかし、ある欧州車に乗った際に制御の素晴らしさに驚かされ、その考えが変わりました。そこで、まずはGR86に純正とは別マップで独自のトラコンを追加してみたところ、想像以上に乗りやすかった。ならばFD3Sにも活かせるのでは?と考えたのが始まりです」と語るのは代表の白髭さん。


FD3Sの電スロ化はハードルが高そうに思えるが、実際にはGCGターボから専用電スロキットがリリースされている。ボッシュ製82φ電スロや純正インマニに対応するアダプター、専用スロットルペダルがセットになっており、スロットル周りの構築は比較的スムーズに進むという。むしろ、パイピング製作やフルコン導入に伴うハーネス処理のほうが手間になるそうだ。

制御にはハルテック製フルコン「エリート1500」を採用。純正ハーネスを加工せずに使用できるプラグインアダプターを利用し、前後車速信号の差からスリップを検出。ストリートユースを想定し、車速30km/h以上で制御が介入する設定となっている。

今回は“気軽に先進制御を導入する”というコンセプトのもと、トラコンに絞ったシンプルな構成だが、拡張性も十分に残されている。四輪の回転を個別にモニターすることで、より精密な制御を加えることも可能。スロットル特性のモード切り替えやフラットシフト、ローンチコントロール、アンチラグといった機能追加も視野に入っている。

「今回のようなシンプルな構成でも、90年代設計のFD3Sにとっては大きな進化です。トラコンを得られるだけでなく、フルコン制御によるエンジンフィールの向上、電スロ化によるリニアなレスポンス、さらに経年劣化が気になるスロットル周りのリフレッシュ効果もありますからね」と白髭さん。

費用は一式で100万円から。電スロキット、フルコン、パイピング製作、セッティングまでを含めた価格と考えれば、決して安価ではない。しかし、これまで以上に気持ち良く、安全に乗れるFD3Sを目指すなら、十分に価値ある選択だろう。
●取材協力:オートクラフト京都 京都府京田辺市大住大峯1-7 TEL:0774-64-6466
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