高級ミニバンとして不動の地位を築いた3代目 30系(販売期間:2015年1月~2023年5月)

2023年6月にヴェルファイアとともにモデルチェンジが行われた3代目アルファードは、従来の高級ミニバンという枠を超え、高級セダンの代替にもなる「大空間高級サルーン」をコンセプトに開発され、上質な乗り心地と優れた操縦安定性が与えられた。

エンジンは2.5L直列4気筒と3.5L V型6気筒の2種の自然吸気エンジンに加え、2.5L直列4気筒ハイブリッド+E-Fourをラインアップする。

市場人気は高く、過走行の中古車でも価格150万円程度であり、豪華仕様の「エグゼクティブラウンジ」は1000万円を超える値がつけられている個体もある。3代目アルファードの中古車としては依然として高値の状態にあると言えそうだ。

3代目アルファードは2017年1月のマイナーチェンジが実施され、先進安全機能が強化された。このマイナーチェンジ前後で価格帯にも多少の差が生じており、走行距離6万km以下の前期型が200万円〜400万円、同条件の後期型は250万円〜600万円が目安となる。

状態の良い個体が200万円から250万円程度で購入できるのであれば、3代目アルファードの中古車は非常に魅力的な選択と言えよう。また走行距離を問わなければ、300万円以下のエグゼクティブラウンジも少なからずみつかる。

しかし、これ以上の金額を出すのであれば現行型の新車購入も検討するべきだ。トヨタが現在進めているアルファードの増産体制が整うことで、アルファードの新車が手に入りやすくなる可能性も考慮しておくとよいだろう。

高級路線へ舵を切り始めた2代目 20系(販売期間:2008年5月~2014年12月)

2代目アルファードは「上品」「洗練」をテーマに、初代を正常進化させるかたちでリファインされ2008年5月に登場した。

2列目がキャプテンシートとなる7人乗り仕様の最上級グレードには、電動リクライニング機構&オットマンが備わる本革仕立ての「エグゼクティブパワーシート」を装着。明確に高級感を打ち出し始めたアルファードは2代目からと言えるだろう。

搭載エンジンは2.4L直列4気筒自然吸気エンジンと3.5L V型6気筒自然吸気エンジンの2種。2011年11月のマイナーチェンジで2.4リッター直列4気筒ハイブリッドエンジンが追加されたが、中古車市場での流通量は極めて少ない。

走行距離6万km以下の前期型は100万円〜150万円が相場で、なかには100万円を切る個体も見られる。後期型はやや高い100万円〜250万円だ。

2代目は価格と年式を考慮すれば、現状もっとも手頃な中古のアルファードと言えるだろう。ただし、2代目アルファードの中古車はエンジンに注意を払う必要がある。

アルファード/ヴェルファイアを含む、この年代の多くのトヨタ車に搭載された2AZ-FE型2.4Lエンジンは、オイルの異常減少が多発したことで知られている。

トヨタは保証延長による無償修理で対応したが、すでに保証期間は終了しており、現在エンジンオイル消費に起因するトラブルが生じた場合の修理費用は自己負担となる。

なかにはまったく症状が出ない個体もあるが、状態の良い中古車を選んで探し出すのは容易でない。メーカー修理済みのエンジンを搭載した個体であっても、症状が再発する場合もあるとのことから2代目アルファードの中古車はややリスキーと言わざるを得ない。

どうしても2代目の購入を希望するのであれば、3.5Lエンジンモデルを選ぶのが無難だろう。また2代目アルファードおよびヴェルファイアではステアリング周りに遊びが生じ、ガタツキが発生するトラブルも報告されているため、購入時に確認しておくことをおすすめする。

今でも堂々の風格を備える初代 10系(販売期間:2002年5月~2008年4月)

それまで商用バンベースとなる後輪駆動が常識であったミニバン群に対し、FFレイアウトを採用することで優れた乗降性と居住性を実現した初代アルファードは、国産ミニバン最大級の室内空間を持つ「最上級ミニバン」として2002年5月に誕生した。

エンジンは2.4L直列4気筒自然吸気エンジンと、3.0L V型6気筒自然吸気エンジンのガソリンモデルが2種。2.4Lのハイブリッドモデルも存在したが、流通量が少ないため探すのは困難だろう。

搭載される2.4Lエンジンは2代目にも引き継がれた2AZ-FE型だが、初代ではオイル減少のトラブルは発生していないため、2.4Lエンジンモデルを選ぶなら初代の方が安心感は高いと言える。

ただし年式が古いため初代の流通量は減少傾向にあり、すでに良好な個体を見つけることは困難になりつつある。走行距離6万km以内の良好な個体を探すとすれば、価格は50万円〜100万円が目安となるだろう。

初代は新しいアルファードに比べれば高級感では劣るものの、サイズ感はおおむね同じとなる。安く手に入れて、大型のミニバンとして使い倒すなら最良の選択だ。

ただし、年式が古いクルマなだけに経年劣化には注意したい。セルモーターやオルタネーター、エアコンコンプレッサーやスライドドアなど、多くのクルマに共通する代表的な故障については覚悟をしておこう。