クルマ作りの楽しさと苦労をそのまま届ける、匠の技が宿る1台
ルビーストーンレッドに染まった、魂のレストアFC3S
群馬県の鈑金塗装店ガレージ・クエスト代表の東野さんと、相棒のヒロシさんが軽妙なやり取りを繰り広げながらレストアしたり、カスタムカーを製作したりするYouTubeチャンネル『51マシーンズ』。その中で毎年の恒例企画と化しているのが、1台のクルマを起こしてWeKFestジャパンに出展するシリーズだ。

東野さんが18歳の時に初めて買ったクルマがFD3S型のRX-7。また乗りたいなと出物を探していたところ、「FCならありますよ」と声が掛かったそうだ。

エンジンは埼玉県のロータリースペシャリストであるアニバーサリーレーシングファクトリー(A-RF)で仕上げた13BのNA仕様。最高1万rpmまで回るとの話に興味を引かれたのだが、長らく放置されていた車両で、起こすには覚悟がいる状態だったという。
東野さんがそう説明する通り、特にドア、ルーフ、フェンダーで顕著だった凹みの修正や塗装の作業はガレージ・クエストで、配線の引き直しや美観を整えるエンジンの作業は、同じく群馬県にあるプロショップ、ガレージ・インフィニティーの小林さんが担当した。

エアコンやパワステは撤去。オルタネーターのカバーなど細かい部品はバレル研磨に掛ける一方、ローターハウジングは手作業でポリッシュを掛けるなど、手間の掛かる作業を経て実現された。鈑金作業で塞いだ穴の数は100を超えるという。


エキマニもおそらくA-RFのワンオフと思われるものが装着されており、磨きを掛けた。エンジン制御用のF-CON Vプロも最初から助手席前にマウントされていたので、そのまま活用。

ガレージ・インフィニティーはAE86のチューニングにも長けたショップ。AE111の純正マスターシリンダーを流用したマスターバッグレスの手法を、そのままFC3Sに活用した。配管もキレイに引き直し、内装を元に戻すと全く見えなくなる室内側も手を抜かずに作業している。



インマニとスロットルボディはFD3Sから流用し、グレッディのコンプレッションチューブも装着。点火系はデスビレス&ダイレクトイグニッション化しており、MDIでスパーク力もアップ。KOYORADのアルミラジエターは最初から赤の放熱塗装が施された仕様を購入したが、思った以上に赤の主張が強かったため再塗装している。

ホイールは東野さんが「どうしてもFCに履かせたかった!」と拘ったBBSのRS。サイズは17インチで深めのダブルステップリムと合わせてバレル研磨。ついつい見入ってしまう足元の美しさを実現した。車高調はTEIN製をチョイス。


MOMOのステアリングを備えるインテリアも美しさをキープ。ブリッドのフルバケットシートに合わせて、リヤシートやドアも同じトリムで張り替え作業を実施した。レーシングハーネスは同じ群馬県にあるムーンテックのオリジナルアイテムだ。

卓越した技術で美しく整えられ、ゴムモール類も新調されたボディは、「ポルシェの944をイメージした」というルビーストーンレッドで塗装。


そして、今年5月に開催されたWeKFestジャパンでは、見事にマツダ車の1stアワードを獲得。クルマを作っていく楽しさと、その成果がアワードという形で評価される喜びを、動画を通して多くのクルマ好きに届けることに成功したのだ。
PHOTO:Akio HIRANO/TEXT:Hideo KOBAYASHI
⚫︎取材協力:ガレージ・クエスト 群馬県前橋市野中町311-2 TEL:027-289-9466/ガレージ・インフィニティー 群馬県渋川市半田3120-4 TEL:0279-22-5606
【関連リンク】
ガレージ・クエスト
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ガレージ・インフィニティー
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