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今日は何の日?

■アルファードにもハイブリッドモデルが誕生

2003(平成15)年7月30日、トヨタは2002年にデビューして人気を博している高級ミニバン「アルファード」のハイブリッドモデル「アルファード・ハイブリッド」を追加した。アルファード・ハイブリッドは、車重の重い大型ミニバンでありながら低燃費を実現した。

トヨタ「アルファード・ハイブリッド」
2003年にデビューした「アルファード・ハイブリッド」

日産エルグランドに対抗して登場したアルファード

2002年にデビューした「アルファード」
2002年にデビューした「アルファード」

トヨタの高級ミニバン「アルファード」は、2002年5月にデビューした。1997年にデビューして高級ミニバンのパイオニアとして大ヒットした日産自動車の「エルグランド」に対抗する狙いがあった。

1997年にデビューした日産「エルグランド」
1997年にデビューした日産「エルグランド」。高級ミニバン市場を開拓して大ヒット

エルグランドを意識して開発されたアルファードは、落ち着いた気品あるデザインと木目やメッキパーツなどを多用したゴージャスなインテリア、さらに豊富なシートアレンジの3列シートによって最上級の快適性と高級感を実現。パワートレインは、最高出力159ps/最大トルク22.4kgmを発揮する2.4L直4DOHC、220ps/31.0kgmの3.0L V6 DOHCの2機種エンジンとSuper ECT(4速AT)の組み合わせ。駆動方式は、FFと4WDが用意された。

車両価格は、標準(L)グレード275万円(2.4L)/299万円(3.0L)に設定。アルファードの最大の特徴は、FRベースのエルグランドにはなかったFFプラットフォームを利用した圧倒的な室内空間と豪華な装備であり、発売の翌2003年には6000~7000台/月を販売し、アッという間に高級ミニバントップの座をエルグランドから奪取したのだ。

ミニバン専用THS-Cを搭載したアルファード・ハイブリッド

トヨタ「アルファード・ハイブリッド」
2003年にデビューした「アルファード・ハイブリッド」
「アルファード・ハイブリッド」のリアビュー
「アルファード・ハイブリッド」のリアビュー
2001年にデビューした「エスティマ・ハイブリッド」
2001年にデビューした「エスティマ・ハイブリッド」

アルファード誕生の約1年後の2003年7月のこの日、アルファード・ハイブリッドが投入された。トヨタのハイブリッドモデルとしては、「プリウス」、「エスティマ・ハイブリッド」、「クラウン・マイルドハイブリッド」に続く第4弾となる。

「アルファード・ハイブリッド」のコクピット
「アルファード・ハイブリッド」のコクピット
アルファード・ハイブリッドのシートアレンジ
アルファード・ハイブリッドのシートアレンジ

ハイブリッド専用のフロントグリル、同バンパー、ヘッドランプ、リアコンビネーションランプ、エンブレムなどが標準車とは異なる。全長が40mmプラスされただけで内外のディメンションに変更はない。またインテリアについては、ハイブリッド専用の黒木目調インナーメイプル柄センタークラスターパネルや金属調ワイドマルチAVステーションパネルなどが装備された。

アルファード・ハイブリッドの1~3列シート
アルファード・ハイブリッドの1~3列シート

アルファード・ハイブリッドのハイブリッドシステムの基本メカニズムは、エスティマのミニバン用に開発されたTHS-Cと同じ。フロントに131ps/19.4kgmの2.4L直4 DOHCエンジンと13kW(17.7ps)/11.2kgmのモーターの組み合わせ、これにCVTを連結したハイブリッドシステムである。

アルファード・ハイブリッドの主なスペック
アルファード・ハイブリッドの主なスペック

さらに、リアにも18kw(24.5ps)/11.0kgm後輪駆動用モーターを搭載した電気式4輪駆動システム“E-Four”を採用。通常はFFだが、必要に応じてリアモーターで後輪を駆動するオンデマンド型4WDであり、これに4輪を独立して制御する電子制御ブレーキシステム(ECB)が組み合わされた。

エスティマ・ハイブリッドに対して、ハイブリッド用ニッケル水素バッテリーの高出力化やエネルギーマネージメントの改良などにより、アルファード・ハイブリッドは車重2tながら17.2km/L(10・15モード)の低燃費を達成し、ミニバンのフラッグシップとなった。

THSの進化の過程で消えていったTHS-Cハイブリッド

1997年の初代「プリウス」から始まったトヨタのハイブリッドシステムは、2003年の2代目プリウスでTHS IIへと進化。そして、2003年の「レクサスGS450h」には、FR用の2段変速式リダクション機構付きのTHS IIが登場した。

THS-Cシステム構成
THS-Cシステム構成

さらに、2009年5月の3代目プリウスでは、変速機構のないリダクション機構付きTHS IIが採用された。このリダクション機構付きTHS IIが、その後多くのハイブリッド車に採用され、トヨタのハイブリッドのベースとなっている。

トヨタ ハイブリッドシステム THS
トヨタ ハイブリッドシステム THS

一方、THSの派生型ハイブリッドシステムであるTHS-Cは、室内空間を広く取らなければならないミニバン向けに開発したもので、上記のように「エスティマ・ハイブリッド」と「アルファード・ハイブリッド」に採用された。しかし、エスティマ・ハイブリッドは2006年6月のフルモデルチェンジでTHS IIに切り替え、アルファード・ハイブリッドも2008年に生産を終了。その後、リダクション機構付きTHS IIを搭載した新型が、2011年9月に登場した。これにより、ミニバン用THS-Cはラインナップから完全に消えたのだ。

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THS-Cは、THS進化の過程でミニバン専用として開発された。当時としては最良なシステムだったのだろうが、当然THSと異なるシステムが存在することは開発やコスト面で負担が多い。THSが進化して、セダンやSUV、ミニバンなどどんな車種にも適用できるようになったため、THS-Cは消えていったのだ。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。

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