副変速機を備えたパートタイム4WDで悪路走破力は抜群

ノマドを含めたジムニーシリーズでは、悪路走破力を高めるため、4WDシステムも一般の乗用車用とは異なる。今の乗用車用の4WDには、前後の駆動系の間に多板クラッチを配置して、走行状況に応じて前後輪に最適な駆動力を配分する方式が多い。動力性能の高い車種は、前後の駆動系の間にデファレンシャルギアを装着して、常に4輪を駆動する。これらを総じてフルタイム4WDと呼ぶ。

一方、ノマドを含めたジムニーシリーズが搭載する4WDはパートタイム式だ。4WDにシフトすると、前後の駆動系が直結状態になる。多板クラッチやデファレンシャルギアなどを備えないため、カーブ時に前後輪の駆動力を調節できない。従って4WDの状態で急カーブを曲がると、ブレーキが掛かったような状態になる(タイトコーナーブレーキング現象)。そこで舗装路は2WDで走り、4WDは駆動輪のスリップによってタイトコーナーブレーキング現象が生じにくい雪道や悪路だけで使う。

舗装路で4輪を駆動できないことはパートタイム式の欠点だが、直結式4WDだから悪路走破力は高い。副変速機も装着され、4輪駆動時にはハイ/ローレンジの切り替えが可能だ。後者ではギヤ比が低くなって駆動力が増幅される。ハイ/ローの切り替えが可能だから、5速MTは実質10速、4速ATは実質8速の変速比が得られる。

【フロントサスペンション】車軸式の構造で悪路における耐久性を向上

乗用車のフロントサスペンションはストラットなどの独立式が主流だが、ノマドを含めたジムニーシリーズは、耐久性の優れたリジッドタイプ、つまり車軸式を採用している。

【3リンクリジッドアクスル】激しい場所でも駆動力を確実に伝達

車軸式サスペンションは耐久性が高く、なおかつ設計の仕方によっては、デコボコの激しい悪路でもタイヤの路面接地性を十分に確保できる。駆動輪の空転を抑えられる。

路面とシャシーの間隔を広げて走破力を向上

車軸式サスペンションにより、デコボコの激しい場所でもタイヤを路面に接地させ、しかも路面とシャシーの間隔も十分に確保できる。悪路に最適なサスペンションを開発した。

【ローレンジ付きパートタイム4WD】駆動力の調節をしやすい

ローレンジに入れると、すべてのギヤについて、速度に対してエンジン回転数が高まる。駆動力が増強され、悪路の走破力を向上できる。悪路向けのSUVには必須のメカニズムだ。
副変速機の切り替えレバーは、サイドブレーキレバーの右側に装着されている。前方から2WDのハイレンジ/4WDのハイレンジ/4WDのローレンジにシフトできる。

【ベンチレーテッドディスクブレーキ】放熱効果に優れたブレーキ

ジムニーノマドでは、前輪のディスクブレーキがベンチレーテッドタイプになる。2枚のディスクを重ねた形状で、その間に空気が通るため、放熱効果が優れている。

衝撃に強い耐久性に優れた新開発ラダーフレームを採用

ジムニーシリーズでは、梯子(ラダー)のような形をした耐久性の高いフレームに、ボディ、エンジン、サスペンションなどを架装している。ラダーフレームの中央付近には、Xメンバーも装着されてボディ剛性を高め、捩れが生じにくい構造としている。

【ジムニーノマド探究/インテリア】後席の広々感と座り心地を大幅に向上! 「大人4人」が快適に乗れた

【SUZUKI・ジムニーノマド探究/インテリア編】 ジムニーノマドは車内が広く後席も快適で、なおかつ荷室の容量にも余裕を持たせた。 前後席を連結させてリラックスできる、フルフラットシートも採用され、さまざまな用途に使える実用性が備わる。

【ジムニーノマド探究/設計思想】悪路走破力と高い実用性が決め手! プロユースから日常域まですべての使い勝手をカバー!!

【SUZUKI・ジムニーノマド探究/開発コンセプト編】 ジムニーノマドは、5ドアのボディを備えた悪路向けのSUVでは、かなりサイズが小さい。 そこにファミリーで使いやすい室内空間と、悪路の走破に必要な機能を凝縮させた。 ほかのSUVとはまったく違う設計思想が息付く。

違うのはボディサイズだけじゃない! ノマド、シエラ、ジムニーの3モデルを徹底比較してみた

【ジムニー、シエラ、ノマド3車種比較 エンジン&ボディサイズ編】 ジムニーノマドの登場で、3つの個性的なジムニーシリーズが出そろった。 そこで軽自動車のジムニー、小型車サイズのジムニーシエラ、5ドアの ジムニーノマドを比較して、その個性と選び方を考えてみたい。

自動車誌MOOK『ジムニー ノマド購入ガイド』より