ベトナムの首都ハノイの道路&交通事情

首都ハノイは、859万人が住むベトナム第2の人口を誇る都市で、政治と経済の中心地となっている。歴史のある街なので、観光地としても人気だ。市中心部には、古い建物が密集しており、狭い道も多い。

ハノイ市内中心部の幹線道路の様子。庶民の足として、スクーターが大活躍している。

そのため、運転環境としては厳しく、クルマの間を多くのバイクがすり抜けていくため、ドライバーは気が抜けなそう。ただローカルルールがあるのか、絶妙なバランスで成り立っている。

信号が変わると、バイクが乗用車を追い越し、駆け抜けていく。この環境での4輪車の運転は気を使いそうだ。

街中を詮索して驚いたのが、歩道の活用法だ。そこには歩道を占拠するオートバイたちの姿が……。なんと歩道は駐輪場代わりになっており、しかも管理する人までいるのだ。

歩道を占領するバイクたち。意外なことに、管理する人がいて駐輪場として機能している。

また一部の歩道が駐車場として使われていた。どうやら、ここにもローカルルールがある模様。まさに「ところ変われば!」である。

歩道が駐車場となっているエリアも地元ルールなのか?

ベトナムの自動車販売トップ10に日本車が5車種!

2024年の新車販売のトップ10では、3位に三菱エクスパンダー、5位にマツダCX-5、6位に三菱エクスフォース、7位にトヨタヴィオス、9位にトヨタヤリスクロスがランクインするなど、日本車が健闘している。そのため、街中でも多くの日本車に出会うことができる。
上位に挙がった車種で、日本では販売されていない車種を簡単に紹介したい。

3位の三菱エクスパンダーは、新興国向けに投入される全長4595mmのミッドサイズMPV。1.5L直列4気筒MIVECエンジンを搭載するFWD車で、3列7人乗りだ。上位モデルとして、最低地上高を高め、クロスオーバー風味のドレスアップを加えたエクスパンダークロスがある。価格は、5億6000万ドンから(約315万円)。後部ドアは、ヒンジドア仕様となってるいのも特徴。確かに街中で多く見かけた日本車の1台だ。

三菱エクスパンダー。新興国向けのMPVで、アジア各地でも人気だ。

6位の三菱エクスフォースは、登場時に日本でも話題となった最新のコンパクトSUVだ。ASEAN地域をメインターゲットに開発されて、今では世界各地で展開される三菱期待の世界戦略車でもある。全長4390mmという手頃なサイズ感の5人乗り車だ。メーターとディスプレイを一体デザインとした先進的なコクピットデザインに加え、カッコいいエクステリアも自慢。

日本でも販売されるピックアップトラック、三菱トライトン(左)と世界戦略車の小型SUV、三菱エクスフォース(右)。エクスフォースはデザインと質感のいずれも上々。人気なのも納得。

インドネシアでは、2024年より販売が開始されたばかり。1.5L直列4気筒MIVECエンジンを搭載するFWD車で、三菱が得意とする悪路走行を高めるドライブモードなども備える。価格は5億9900万ドン(約336万円)から。スタイリッシュで日本でも受けそうだが、4WDがないのがネックか。

三菱『エクスフォース』が公開!美しさと実用性にこだわったコンパクトSUVはアセアン地域の「頼もしい相棒」だ | Motor-Fan[モーターファン] 自動車関連記事を中心に配信するメディアプラットフォーム

三菱自動車工業株式会社は8月10日、新型コンパクトSUV『エクスフォース』を第30回インドネシア国際オートショーで世界初披露した。 エクスフォースは三菱がアセアン地域におけるコンパクトSUVの使われ方にを念頭に開発した5 […]

https://motor-fan.jp/article/159295/
エクスフォースは2023年発表。

7位のトヨタ・ヴィオスは、東南アジアや中近東などで活躍するコンパクト4ドアセダン。4世代目が最新型だが、ベトナムでは3世代目が現行型として販売中。

トヨタ・ヴィオス。フェイスリフトを受けた3代目が、ベトナムでは最新型となる。

全長4425mmの正統派セダンであり、現地ではタクシー仕様も目撃。1.5L直列4気筒エンジンのFWDで、MT車も用意。価格は4億5800万ドン(約257万円)。

トヨタ・ヴィオス(3代目)のタクシー仕様。現地では、ビンファストのEVタクシーが増加中だが、ヴィオスのようなコンパクトセダンも活躍中。

一見、日本とは無縁の車種と思うかもしれないが、2代目は日本仕様としてベルタが存在した。当時は、各社に小さなセダンがあったことが懐かしい。

トヨタ・ヴィオス(2代目)。懐かしのトヨタ・ベルタの海外モデルだが、日本ではすっかり見かけなくなったので懐かしい。

9位のトヨタ・ヤリスクロス。日本でも人気なのは、皆さんもご存じの通り。欧州などでは同仕様が展開されているが、こちらはプラットフォームから異なる新興国を中心に展開される海外版である。ダイハツのDNGA-Bプラットフォームを使っているのが大きな特徴であり、ボディサイズもひと回り大きめで全長が4310mmある。1.5L直列4気筒エンジンでFWDのみ。ヤリスクロス以上カローラクロス未満という存在。ガソリン車だけでなくハイブリッドも用意されているのがポイント。価格は6億5000万ドンから(約365万円)。

トップ9位に入るトヨタ・ヤリスクロスだが、ハノイでは上手く出会えず、公式写真でお許しを……。(PHOTO:TOYOTA VIETNAM)

高級車では、ランドクルーザー(ランクル)やレクサスLXをよく見かける。しかもランクルは黒塗りが多く、ショーファーカーとして活躍している様子。レクサスはRXなどを含め、SUVが人気のようだ。

トヨタ・ランドクルーザー300。銀行の前に、並ぶ新型ランクル。ひょっとして防弾仕様⁉
レクサスLX。先代と現行型を目撃!現地価格は5000万円に近い超高級車だ。
レクサスRX。こちらも現行型を発見!現地のレクサスSUVは、NX、RX、GX、LXの4車種が投入されている。

またマツダも人気が高く、CX-5をよく見かけた。2024年の売り上げ5位であることも納得だ。

マツダCX-5。世界的に人気が高いCX-5はベトナムでも大活躍!2024年のベトナム新車販売台数は5位という優秀さだ。
マツダCX-5(先代)初代も発見!国産乗用車のクリーンディーゼルを復活させた立役者は、海外でも頑張っている。

他にも珍しい”日本車”を目撃!

最も多く目にした実用車が、スズキ・スーパーキャリイだ。もちろん、日本のエクステンドキャブではなく、懐かしい1980年代に登場した8代目に近い雰囲気のもの。

スズキ・スーパーキャリイ。なんと懐かしのキャリイトラックを発見。海外では、標準仕様でもスーパーを名乗る。近年1トントラックの新型スーパーキャリイプロに切り替えられたようだ。

バン仕様のエブリィもあるが、こちらもスーパーキャリイを名乗る。ただし、エンジンは排気量が1.0Lにアップされる。既に現行型は、小型とクラックとなったスーパーキャリイプロにシフトしているが、まだまだ多く活躍していた。

スズキ・スーパーキャリイのバン仕様。こちらは現時点では、まだ新車が買えるようだ。

珍しいモデルは、トヨタ・カムリのパトカー。SUVやワゴンのパトカーは、日本のように専用カラーが施されているのだが、目撃したカムリは無地だった。ただルーフ中央に赤と青のパトライトを装着しており、ひょっとすると覆面パトカー的なものなのか、お巡りさんの任務により違うのか……。

トヨタ・カムリ(パトカー)。先代モデルをベースとした警察車両。

同行者に「街中を撮影していると、警察官に止められる可能性がある」とも言われたので、車両に近寄り確認することはやめておいたが、なかなかカッコよかった。日本でもクラウンの後は、カムリをパトカー専用車にしても良いのではと思う。

懐かしい車種も目撃できた。日本では絶命危惧種のいすゞ・ウィザード。現地ではハイランダーVスペックとしては販売されていたようだ。

いすゞ・ハイランダーVスペック。日本では、ミューウィザードとして販売されていた。懐かしい!

そして、海外専売車であった初代CX-9の後期型。前期型はCX-7と似た顔つきなのだが、この頃には魂動デザインが導入されたこともあり現代的な顔つきに。同車を発見できたのはラッキーだった。

マツダCX-9。知っている海外専売車と顔つきが違うと思ったら、フェイスリフトした後期型。なんと魂動マスクを採用していたのだ。

旧車は少なかったが、8代目となる130系クラウンを目撃。セダンでボンネットマスコット付き、もちろん左ハンドル仕様であった。

トヨタクラウン(130系)。懐かしのクラウンだが、セダンといえば、これを思い出す人も多いはず。ボンマス付きで高級感もアップ。しっかり左ハンドルだった。

電動化が徐々に進みつつあるハノイの交通事情

これ以外の日本車は画像ギャラリーでも紹介するので、そちらも要チェック。
ハノイでも大気汚染が問題となっており、電動化シフトの波が押し寄せる。オートバイを含むエンジン車の所有コスト増や進入禁止エリアの検討が始まったとの報道を聞く。

既に現地自動車メーカーのビンファストが、スクーターを含め、EVシフトを果たしているだけに、その決定は、現実味があるものだ。モータリゼーション真っ只中であるため、車両は比較的新しいものが多いが、その光景が様変わりする可能性は低くないのかもしれない。

「ビンファスト」って知ってる?2017年に設立されたベトナム初の乗用車メーカーは2023年にはナスダック上場を果たす大躍進! | Motor-Fan[モーターファン] 自動車関連記事を中心に配信するメディアプラットフォーム

「ビンファスト」とは? ビンファストは、ベトナム最大の財閥である「ビングループ」が2017年に立ち上げた新興自動車メーカーである。その翌年にベトナム初の乗用車が発表された舞台は、なんと最も歴史のある自動車ショーのひとつで […]

https://motor-fan.jp/article/1244210/
ビンファストについてはこちらも参照。