911 GT3 RS は、ポルシェ911シリーズの中でもサーキット走行を強く意識して開発された、究極の自然吸気スポーツカーだ。GT3のさらなるハードコア版にあたり、「RS」は“Renn sport（レンシュポルト=レーシングスポーツ）”を意味し、ポルシェのロードカーの中でも最もサーキット寄りのモデルといえる。
改良新型最大の謎は、自然吸気4.0L水平対向6気筒エンジンは継続されるのか、それともターボチャージャー付きのエンジンが搭載されるのか、ということだろう。
現在ポルシェは、自然吸気4.0L水平対向6気筒エンジンを欧州の排出ガス規制に適合させるという課題を明確に認識している。ターボチャージャーの搭載やハイブリッドシステムへの介入によって対応することも可能だが、そのような変更は、非常に忠実な顧客基盤を持つGT3 RSにとって、大きな方向性の変化を意味することになる。
フロントエンドでは、フィン付きフェンダーを装備、カットアウェイホイールアーチ、新設計されたドア、アグレッシブなグラウンドエフェクトなど、現代のレース仕様スポーツカーとほぼ同一で、ベント付きデッキリッドとそびえ立つスワンネック・リアスポイラーも、フェイスリフト前の911 GT3 RSから流用されているように見える。
しかし、これがアップデートモデルであることを示すのはリヤビューだ。ナンバープレートの上、ライトバーの下には、左から右に走る黒いカモフラージュパターンが施されている。これは、ターボチャージャー付きエンジンの冷却を強化するためのベンチレーショングリルを隠していることを示唆している。
また、リヤまわりには新しいリヤライトバーや、大型化されたエキゾーストパイプを統合。形状変更されたディフューザーなど、いくつかの新要素が見られる。そして、ディフューザーの外側の縁に新しいアウトレットがいくつかあることに気づくだろう。これらは、システム内の背圧を低減するための補助的な排気口である可能性もあるし、パワートレイン全体への大きな変更を示唆している可能性もありそうだ。
さらに、ボンネットベントの形状が変更。ベーンが小型化され、根元に小さなフリックが加えられるなど、目に見える小さな変更点がいくつかある。キャビン内の変更点としては、最新の992.2 GT3に搭載されている、完全デジタル制御インターフェースの採用や、折りたたみ式カーボンバケットシートのオプション設定などが挙げられる。
パワートレインは、4.0L水平対向6気筒エンジンが推測されるが、ターボチャージャー搭載なら最高出力は現在の518psから600ps以上に、トルクは463Nmから少なくとも678Nm程度にまで向上することになるだろう。
ポルシェは2025年末に向けて多忙な時期を迎える。新型911ターボの発表までわずか数週間、そして新型カイエンの電動化も控えている。そのため、この最新GT3 RSのワールドプレミアは、今年後半か来年以降になりそうだ。
