すでに風前の灯火…国内4WDセダンの現状


セダンの4WDモデルは、生産終了やグレード整理によってその数を減らしてきている。
ディーゼルモデルに4WDモデルが用意されていたマツダ 6は2024年に生産を終了し、販売当初は4WDの設定があったマツダ 3セダンや日産 スカイラインもグレード整理によって4WDモデルが消滅した。
さらに2025年10月末には、4WDモデルの設定があったトヨタ カローラアクシオの生産が終了し、レクサスISもIS300hの後輪駆動モデルを除く全グレードが11月をもって生産終了する予定となっている。
トヨタ カローラやプリウスには4WDが用意されているが、いずれもモーター駆動のE-Fourだ。現在、新車販売されているフルタイム4WDを搭載したセダンは、レクサス LSとスバル WRX S4のみとなる。
このように、セダン自体はかろうじて現在もラインナップを残しているが、セダンの4WDだけがどんどん消えていっている状況だ
4WDセダンが真っ先に消える理由

セダンにおいて4WDモデルが減少している最大の要因は、セダンの需要が低下していることに起因する。
セダンはすでに国内の主要マーケットから外れており、メーカーは限られた生産リソースをSUVやミニバン、コンパクトカーなど需要の高い車種に集中させたい。そのためセダンはもとより、さらに収益性の低い4WDモデルのラインナップを縮小せざるをえない。
雪道走行の観点でも、セダンより最低地上高が高いSUVの方が4WDとの相性がよく、トラクションコントロールをはじめとする電子車両制御技術とスタッドレスタイヤの進化によりセダンにおける4WDの必要性は以前より低くなっている。
また4WDは製造コストの増加や車両重量の増加、パワーロスを招き、燃費の悪化や車両価格の上昇といったデメリットにつながる。SUVのように悪路走破性や積載性といったわかりやすいメリットを持たないセダンでは、4WDが持つこうしたデメリットが顕在化しやすい。
多くのユーザーにとってはセダンの4WDを購入するメリットが薄く、メーカー側も4WDセダンをラインナップに置いておくメリットがない。セダンの4WDが真っ先に消えていくのは自然な流れと言える。
輸入セダンも4WDモデルは減っている

セダンの4WDモデルが減少しているのは日本国内に限ったことではない。海外市場に目を向けても、セダンの4WDラインナップは少なくなっている。
現在のジャーマンスリーのラインナップを見てみると、アウディ A3セダンに4WDの設定はなく、S3セダンやA5など高性能モデルにのみの設定だ。BMWもメルセデス・ベンツも、現行型の4WDはディーゼルモデルやMモデルおよびAMGモデルを含む高性能モデルのみとなっている。
今後、手軽に購入できる4WDセダンはさらに減っていくだろう。開発リソースの問題も背景にあり、4WDシステム自体は他車種と共用できたとしても、専用にサスペンションセッティングなどが必要となるためだ。
セダンにおける4WDは、高出力モデルの安定性を確保するための装備へと役割を変えつつあるようだ。