ボディスタイルの中でも最も魅力的な車の一つであるシューティングブレークだが、単なるワゴンと一線を画すこのスタイルを、路上で見かけることは稀だ。しかし、イアン・カラム氏が洗練された2ドアワゴンを提案、超富裕層向けに完成させた。

イアン・カラム 「ヴァンキッシュ」 シューティングブレーク 予想CG

カラム氏は、アストンマーティン、フォード、ジャガー・ランドローバーといった数々のブランドで輝かしい経歴を持つデザイナーで、現在、自身の独立系事務所を率いている。同氏のポートフォリオには、クラシックミニのリメイクから、今年初めに発表された象徴的なジャガーEタイプの現代的解釈まで、目を引く作品が数多く含まれている。そして彼の最新作は、2001年型アストンマーティン「ヴァンキッシュ」を、個性的なシューティングブレークとして再解釈、センセーショナルな外観を誇っている。

アストンマーティンV12ヴァンキッシュ(2001年型)

スタンダードヴァンキッシュも確かに魅力的だが、DB9のような時代を超越したデザインとは程遠いとの声もある。イアン・カラムは、シューティングブレークへの改造にあたり、フロントエンドにもいくつかの変更を加えた。大型のセカンダリーグリルと、オリジナルのフォグランプがあった場所に新しいエアインテークが追加されている。

イアン・カラム 「ヴァンキッシュ」 シューティングブレーク 予想CG

また、LEDデイタイムランニングライト付きの新しいヘッドライトと、アグレッシブな新しいボンネットが装着されている。頭上には、純正ルーフから進化した、パノラミックルーフを装備、わずかに盛り上がったリアへと続き、紛れもないシューティングブレークのシルエットを形成し、世界一美しいワゴンと言えそうだ。
ボンネットの下には、最高出力580psを発揮する、アップグレードされた6.0リットル自然吸気V12エンジンを搭載。カーボンファイバー製のインテーク、改良されたカムシャフト、そして最新のエンジンマッピングを備えている。

イアン・カラム 「ヴァンキッシュ」 シューティングブレーク 予想CG

シャシーには、ビルシュタイン製ダンパー、カーボンセラミックブレーキ、ワイドトレッド、そして剛性の高いスタビライザーバーが採用され、ヴァンキッシュのグランドツーリングらしさを損なうことなく、ハンドリング性能が向上しているという。
足まわりには、ブラックとシルバーのアルミホイールを装着、スモークテールランプ、そして再設計されたリアディフューザーで仕上げられている。

イアン・カラム 「ヴァンキッシュ」 シューティングブレーク 予想CG

ヴァンキッシュ 25 シューティングブレークの価格は未定だが、カラム氏は、誰かが資金を出してくれたら喜んで製作すると語っているようだ。もちろん数億円の値がつくことは間違いないが、希少性、パフォーマンス、そしてディテールの融合を考えると、コレクターがガレージの空きスペースを測りたくなるような魅力を放っているのは間違いないだろう。